第十三話 行動
少し時間を戻して、イツ・キの行動を書きました。
少し時間をさかのぼり…
イツ・キは走っていた。
普段は『学校』につめているため、滅多に走ることなど無い。
しかし、今回は急いでいかなければならない。
イツ・キにはわかったのだ。
ここにいるのが『魔物』ではなく『闇』であることに。
そして、『闇』に対抗しうるだけの術をここにいる人間が持っていないことに。
(間に合った)
イツ・キはたどり着いた。
『闇』と対峙している者達は、影に隠れるように様子を見ているイツ・キには気がついていない。
「触手は避けろ!大元を全員でたたく。散れ!」
そんな声が聞こえた。
イツ・キはそれを聞くと動いた。
先ほどまで周りを観察していたので、その足取りは迷いが無い。
イツ・キはある木の影に回り込むと、髪にささっている飾りの一つをとった。
イツ・キはそれを一瞬手のひらで覆うと、それは僅かに光を放ちはじめた。
「行くぞ!合わせろ!」
『闇』を相手にしている一人が言った。
イツ・キもまた、それに合わせて僅かに光を放つ髪飾りを投げつけた。
それは、イツ・キの思った通りの働きをした。
皆の攻撃に上手く混じり、誰の攻撃がどう作用したのかわからず『闇』を一時引かせることが出来た。
『闇』は引き、追おうとした数人をまとめ役の男性が止め、皆の状況を把握し見回り役を決め他の人間は引いていった。
イツ・キはそれを見届けると、『闇』が向っていった方向へ足を向けた。
『闇』の気配はかなり弱く、追いにくいがイツ・キは行った。
イツ・キは『闇』の微か気配、気の流れ地形の様子を視、感じ取り、迷い無く足を進めていった。
イツ・キは考えていた。
『闇』への対応。
村に一時戻った隊の『闇』への対応。
これから自分がしなくてはいけないこと。
今回イツ・キは求められなければ援護、補助から外れないように指示されていた。
イツ・キは長く生きている。
『闇』と出合ったことは何回かあるし、対応方法もわかっている。
しかし、ここに居る人間は誰一人『闇』と関わったことが無いのだ。
間違った対応をすれば全滅もありえる。
彼らは先ほどの戦闘でイツ・キのことはすっかり頭から消えているだろう。
そうなると、イツ・キに助言、指示を仰ぐことは無い。
イツ・キが一度戻り打診すればそれは解決できるが、イツ・キはそれをしようとは思ってはいない様だ。
それは、考え合ってのことだ。
今世界は『混乱期』に差し掛かっている。
今までは伝説級だった『闇』だが、これから頻繁に出現する可能性がある。
そのとき対処できる人材を育てなければならない。
一から手取り足取りでは『闇』に対抗できない。
身体で覚えなければならない。
知っているものは、ただ助言、補助するだけ。
それでいい。
それがいい。
イツ・キが隊の人間と話した心象では、彼らは愚策にはしることは無いと踏んでいた。
ならば、助言の必要は無い。
補助をし、『闇』を退した後に、そのことを教えればいい。
そのためにイツ・キは足を進め続けた。




