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The、スター。  作者: caem
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9/13

バリス。


 惑星『バリス』。

 その星は秩序の星。

 光輝く、尊き星。


 誰もが規律正しく、規則に則り。

 ただ悪人に立ち向かい、ただ勇敢に挑む。

 強きを助け、弱きを挫く。

 それをモットーに。


 正義の星とも呼ばれていた。

 いつしか、銀河警察となっていた。


「たしか……きみの担当ではなかったかね?」


「ギャラガくん」


「はいっ!」 「返事だけは相変わらずだな」


 どうして呼ばれたのかは、なんとなく分かっていた。

 きっと、あのことだろう。


「そう、あのスターだ」 「はいっ!」


「正直、うんざりしている」 「でしょうね」


「なら──、いい加減、どうにかしたまえ!!」


 握り拳が、ドンッと机に叩きつけられた。

 そのあまりの剣幕に、辺りは静寂に包まれた。


「このままでは──、銀河警察として成り立たんのだ」


「パワハラじゃんか」 「ん? なにか言ったか?」


「いえっ、なにもっ」 「とにかくだ」


 署長は部下に忠告した。


「軍隊が動くまえになんとかしたまえ」 「はいっ!」


「分かったなら、さっさといきたまえ」 「はいっ!」


 パタンと部屋をあとにした。

 スターという超人を捕まえる部署に配属された。

 彼にとって、荷が重いのは分かってはいたが。


「あんなに、怒鳴らなくても良いじゃあないかよ」


「なんか言ったかっ!?」 「いえっ! なにも!」


 そういえば。

 署長は、地獄耳だった。

 見た目でも。


「はあ~、どうすっかな~」


 唯一許された、喫煙所でモクモクと。

 若手の宇宙刑事は、たそがれていた。


「もう、辞めようかな~。ダルいし」


 実際そうして、銀河警察を辞める者も多くない。

 そして、彼らはやがて、犯罪に色を染めていく。

 

「そうなれたらラクなんだけどな~」


 吹かしていたタバコを、灰皿に捨てた。

 空っぽになったコーヒーを、ゴミ箱に捨てた。


「だけど……」


 ヴィー、ヴィー、ヴィー、ヴィー、ヴィー、ヴィー。

 けたたましい警報が鳴った。


「惑星ゴスローにて、爆弾魔のボンバが現れました」


「至急、要請を!」


 銀河警察では、若手ながらも。

 ギャラガは、優秀だった。


「スターじゃあないなら、まあいいか」


 たった半日で、凶悪犯罪者を捕まえることはできた。

 だが、ギャラガにはまだ、使命が残されていた。



「ふわ~あ、あふん」


 翌朝、盛大にあくびをして。

 ぽとぽとと、お湯を沸かして。

 いつもの、コーヒーを淹れていた。

 手作りのサンドウィッチを楽しみにして。

 宇宙ラジオを聴いていた。


「ふんふんふ~ん♪」


 鼻歌交じりの、朝餉だったが。


「ついさきほど──、銀河警察が消滅しました!」


 それは愛用のコーヒーカップが割れるほどの。

 衝撃的な出来事だった。


「え……なんなの……?」


 急いで訪れたが、職場はがらくたになっていた。

 あの、ごう慢だった署長でさえも。

 頑張ろうとしていた矢先に、膝が崩れ落ちた。

 

「ギャラガくんか……」 「署長……!?」


 たった、ひとことを聴きたくて。

 ギャラガは署長を抱えた、

 もうすぐ、逝くだろう。

 あの愚痴なんて、もう聞けないだろう。

 ああ、冷たくなっていく。


「あとは……任せた……」


 しばらくしてから。


「スターが、銀河警察を襲撃した模様です」


「みなさま、くれぐれも気をつけてください」


「くそがああああっ!!」


 ギャラガが覚悟を決めるなか。

 スターには、まるで覚えがなかった。

 惑星『バリス』には、一度も立ち寄らなかったのに。


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