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The、スター。  作者: caem
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8/13

ジュナ。


 惑星『ジュナ』。

 まるでスラム街のような星だった。

 強くなければ生き残れない。

 弱者は、翌朝には餌となる。


 スカイはそこで生まれた。

 両親は早くに亡くなって、妹だけがいた。

 可愛い妹と二人だけだった。


「お兄ちゃん、頑張るからね?」


「無理はしないでね?」


 劣悪な環境のなかで。

 唯一の家族のために、唯一の妹のために。

 スカイは、それこそ必死になるしかなかった。

 わずかに、備わった超能力を研鑽していった。

 超人として、活躍するために。


 やがて──、スターに潰されるとは思ってやいなかった。


「ただいま~」 「お兄ちゃん。おかえりなさい!」


「ミル、いいこにしていたかい?」 「うんっ」


「今日のお土産は──、じゃじゃ~ん!」


「わ~い! これ、欲しかったヤツだ!」


「ミルの欲しいモノは、なんでも知っているんだよ」


 完璧だった。

 スターにとって、スカイになることは。

 いままで、何度も、そういうのもしてきたから。

 

「ありがとうお兄ちゃん! 大切にするね!」


「誰だと思ってるんだよ。最強のお兄ちゃんだぜ?」


 ただ、分かっていた。

 可愛らしい真っ黒なタコ型の人形を抱き締めている。

 その、妹の命はあと僅かだというのを。


「いいかい。ミル」 「なに? お兄ちゃん」


 やさしくミルの頭を撫でた。

 そこには、白髪だけしかなかった。

 そっと撫でないと、ごっそり抜け落ちてしまう。


「んも~、お兄ちゃんったら」 「可愛いなあミルは」


「だって、お兄ちゃんの妹だからねっ」


 その唯一の家族が、もうすぐいなくなってしまう。

 それがスターには、堪えきれなかった。

 スカイの命は、すでにスターの中にあった。


「ちょっと、目をつむってくれるかい?」


「エヘヘ。もう。そうしてるよ」


 よほど気持ちよかったのだろうか。

 たった一人の、兄にナデナデしてもらうのは。

 スターは手のひらに、超能力を集中した。


「あれ~? なんか、ぽかぽかしてきたよ~」


 すぐさま、ミルは眠たくなった。

 丸1日、寝室で寝転んでいたのに。

 まるで、麗らかな、春の日差しを浴びたように。


「お兄ちゃん。ずっと一緒にいてね?」


「ああ、ミル。ずっと一緒にいるからね」


 やがて、その小さな光は。

 少しだけ、大きな光と交わり。

 また、同じ兄と妹として、暮らしていくだろう。


 惑星『ジュナ』。

 その星での出来事は。

 スターにとっても、忘れられやしなかった。


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