ジュナ。
惑星『ジュナ』。
まるでスラム街のような星だった。
強くなければ生き残れない。
弱者は、翌朝には餌となる。
スカイはそこで生まれた。
両親は早くに亡くなって、妹だけがいた。
可愛い妹と二人だけだった。
「お兄ちゃん、頑張るからね?」
「無理はしないでね?」
劣悪な環境のなかで。
唯一の家族のために、唯一の妹のために。
スカイは、それこそ必死になるしかなかった。
わずかに、備わった超能力を研鑽していった。
超人として、活躍するために。
やがて──、スターに潰されるとは思ってやいなかった。
「ただいま~」 「お兄ちゃん。おかえりなさい!」
「ミル、いいこにしていたかい?」 「うんっ」
「今日のお土産は──、じゃじゃ~ん!」
「わ~い! これ、欲しかったヤツだ!」
「ミルの欲しいモノは、なんでも知っているんだよ」
完璧だった。
スターにとって、スカイになることは。
いままで、何度も、そういうのもしてきたから。
「ありがとうお兄ちゃん! 大切にするね!」
「誰だと思ってるんだよ。最強のお兄ちゃんだぜ?」
ただ、分かっていた。
可愛らしい真っ黒なタコ型の人形を抱き締めている。
その、妹の命はあと僅かだというのを。
「いいかい。ミル」 「なに? お兄ちゃん」
やさしくミルの頭を撫でた。
そこには、白髪だけしかなかった。
そっと撫でないと、ごっそり抜け落ちてしまう。
「んも~、お兄ちゃんったら」 「可愛いなあミルは」
「だって、お兄ちゃんの妹だからねっ」
その唯一の家族が、もうすぐいなくなってしまう。
それがスターには、堪えきれなかった。
スカイの命は、すでにスターの中にあった。
「ちょっと、目をつむってくれるかい?」
「エヘヘ。もう。そうしてるよ」
よほど気持ちよかったのだろうか。
たった一人の、兄にナデナデしてもらうのは。
スターは手のひらに、超能力を集中した。
「あれ~? なんか、ぽかぽかしてきたよ~」
すぐさま、ミルは眠たくなった。
丸1日、寝室で寝転んでいたのに。
まるで、麗らかな、春の日差しを浴びたように。
「お兄ちゃん。ずっと一緒にいてね?」
「ああ、ミル。ずっと一緒にいるからね」
やがて、その小さな光は。
少しだけ、大きな光と交わり。
また、同じ兄と妹として、暮らしていくだろう。
惑星『ジュナ』。
その星での出来事は。
スターにとっても、忘れられやしなかった。




