リュガ。
惑星『リュガ』。
その星は闇に包まれていた。
朝昼晩という概念はあったが。
光が差し込むことなど、決してなかった。
それをいいことに。
犯罪者たちは集い、漆黒の王国をつくった。
──悪いことをしたらそこにいけ──
そんな格言さえあった。
「これがアレか?」 「はい。そのようです」
カラカラに干からびた塊を、ただ眺めていた。
「うまくダイエットできたな。親父」
「グリオン様。どうなさいますか?」 「ふむ……」
それは惑星『タトゥン』から届けられた。
ありとあらゆる犯罪に手を染めている犯罪組織。
『バッドカラテル』の首領にして、父の亡骸だった。
かつての醜い姿ではなかったその姿に。
2代目は──、息子はどことなく嬉しそうだった。
ジャバダの息子、グリオンは母よりの姿だった。
「とはいえだ」
その骸をしばらく眺めてから。
つま先でゴロンとひっくり返して。
「面白くはないなあ」
その辺だけは、父の遺伝子を継いでいた。
そして、ピンと閃いた。
「目には目をという言葉がある」 「その心は?」
「超人には超人をだ」 「まさか……」
「スカイをよべ」 「……承知しました」
宇宙は広い。
銀河系は、どこまでも拡がっている。
異世界は、たくさんある。
そのなかに、スターに対抗できる人材は確かにいた。
「珍しいねえ。まさかあんたに喚ばれるなんてさあ」
それは悪党が悪党を捉えたような構図だったが。
何十人もの屈強な悪党でさえ、膝が震えていた。
隙を見せたら最後、まるっと呑み込まれてしまう。
「そう言うな、スカイ。皆が怯えている」
ながい付き合いらしい。
グリオンはスカイをよく知っていた。
「スターは知っているよな?」 「モチのロン」
「いい加減、どちらが強いのか。決めたくはないか?」
「う~ん。やりたくはないんだけど」
スカイは正直に言った。
お互いに超人だと知っていた。
もしかしたら、友達になれるかもと思っていた。
「最高のお膳立てはしてやろう」 「乗った!」
「さすがグリオン様」 「一石二鳥というヤツだ」
超人スカイ。
彼はスターとよく似ていた。
だが、自由奔放過ぎていた。
気に入らないヤツがいたら排除して。
勝てないと分かったら媚びへつらっていた。
その末に、惑星『リュガ』にたどり着いた。
そこが決定的に違っていた。
能力は、そんなに差がなかったにしても。
「あんた。スターさんですよね?」
「おまえがスカイか」
二人の超人がぶつかり合おうとしていた。
グリオンはモニターを見ながら。
激しいバトルを期待していたが。
仕組んではいけないことを悟ってしまった。
「聞いてないよ、こんなの!」
そもそも、土台が違った、
勘違いしていた。
「ほらほら。そんなものか?」 「うびゃあ!?」
スカイの超能力を、悉く上回っていく。
スターの超能力は、さらに増していく。
スカイがサイコキネシスを使えば。
スターは一段階上のサイコキネシスを使う。
スカイが未来予測を使えば。
スターはさらに未来予測を使う。
スカイがサイコスピアを使えば。
スターはミラーで反撃していた。
スカイがスプーンを曲げたら。
スターはフォークを曲げていた。
「はあはあ、はあはあ、はあはあ、はあはあっ」
「もっと、楽しませてくれよ?」
超人同士のバトルは、やがて一方的に終わった。
そしてスターはスカイの頭を、ブチッと潰した。
「見ているんだろ? 2代目さんよ」
「うひいいいいいいっ!?」
グリオンはすぐさま、その星から撤退したが。
やがて──、あの父親のような姿になっていた。
スカイには申し訳なかった。
ただスターは、惑星『リュガ』をもう訪れない。
その出来事でさえ、遠い記憶だった。




