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The、スター。  作者: caem
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7/9

リュガ。


 惑星『リュガ』。

 その星は闇に包まれていた。

 朝昼晩という概念はあったが。

 光が差し込むことなど、決してなかった。

 それをいいことに。

 犯罪者たちは集い、漆黒の王国をつくった。

 ──悪いことをしたらそこにいけ──

 そんな格言さえあった。

 

 

「これがアレ(・・)か?」 「はい。そのようです」


 カラカラに干からびた塊を、ただ眺めていた。


「うまくダイエットできたな。親父」


「グリオン様。どうなさいますか?」 「ふむ……」


 それは惑星『タトゥン』から届けられた。

 ありとあらゆる犯罪に手を染めている犯罪組織。

 『バッドカラテル』の首領にして、父の亡骸だった。


 かつての醜い姿ではなかったその姿に。

 2代目は──、息子はどことなく嬉しそうだった。

 ジャバダの息子、グリオンは母よりの姿だった。


「とはいえだ」

 

 その骸をしばらく眺めてから。

 つま先でゴロンとひっくり返して。


「面白くはないなあ」


 その辺だけは、父の遺伝子を継いでいた。

 そして、ピンと閃いた。


「目には目をという言葉がある」 「その心は?」


「超人には超人をだ」 「まさか……」


「スカイ(・・・)をよべ」 「……承知しました」


 宇宙は広い。

 銀河系は、どこまでも拡がっている。

 異世界は、たくさんある。

 そのなかに、スターに対抗できる人材は確かにいた。


「珍しいねえ。まさかあんたに喚ばれるなんてさあ」


 それは悪党が悪党を捉えたような構図だったが。

 何十人もの屈強な悪党でさえ、膝が震えていた。

 隙を見せたら最後、まるっと呑み込まれてしまう。


「そう言うな、スカイ。皆が怯えている」


 ながい付き合いらしい。

 グリオンはスカイをよく知っていた。


「スターは知っているよな?」 「モチのロン」


「いい加減、どちらが強いのか。決めたくはないか?」


「う~ん。やりたくはないんだけど」


 スカイは正直に言った。

 お互いに超人だと知っていた。

 もしかしたら、友達になれるかもと思っていた。


「最高のお膳立てはしてやろう」 「乗った!」


「さすがグリオン様」 「一石二鳥というヤツだ」


 超人スカイ。

 彼はスターとよく似ていた。

 だが、自由奔放過ぎていた。


 気に入らないヤツがいたら排除して。

 勝てないと分かったら媚びへつらっていた。

 その末に、惑星『リュガ』にたどり着いた。

 そこが決定的に違っていた。

 能力は、そんなに差がなかったにしても。


「あんた。スターさんですよね?」


「おまえがスカイか」


 二人の超人がぶつかり合おうとしていた。

 グリオンはモニターを見ながら。

 激しいバトルを期待していたが。

 仕組んではいけないことを悟ってしまった。


「聞いてないよ、こんなの!」 


 そもそも、土台が違った、

 勘違いしていた。


「ほらほら。そんなものか?」 「うびゃあ!?」


 スカイの超能力を、悉く上回っていく。

 スターの超能力は、さらに増していく。

 スカイがサイコキネシスを使えば。

 スターは一段階上のサイコキネシスを使う。

 スカイが未来予測を使えば。

 スターはさらに未来予測を使う。

 スカイがサイコスピアを使えば。

 スターはミラーで反撃していた。

 スカイがスプーンを曲げたら。

 スターはフォークを曲げていた。


「はあはあ、はあはあ、はあはあ、はあはあっ」


「もっと、楽しませてくれよ?」


 超人同士のバトルは、やがて一方的に終わった。

 そしてスターはスカイの頭を、ブチッと潰した。


「見ているんだろ? 2代目さんよ」


「うひいいいいいいっ!?」


 グリオンはすぐさま、その星から撤退したが。

 やがて──、あの父親のような姿になっていた。

 スカイには申し訳なかった。


 ただスターは、惑星『リュガ』をもう訪れない。

 その出来事でさえ、遠い記憶だった。



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