↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The、スター。  作者: caem
PR
3/7

ゴロード。


「うちゅうのう~みは~、お~れ~のうみ~っとぉ」


 それはすでに鼻歌ではなく、ハッキリと口にしていた。

 とにかく、上機嫌にはちがいないだろう。

 ガキンガキンと、つるはしのようなモノをふるっていた。


「ん? こりゃまた……うわはははは。良いのが採れたぜえ」


 酒焼け声のようなガラガラ声がそこらじゅうに響き渡る。

 そこには、屈強な戦士の身体つきをしていたが。

 まるで、ファンタジー世界の住人──、ドワーフみたいな姿であった。


「こりゃあ今日も、酒がうまくなりやがるぜえ」


 惑星『ゴロード』。

 その星は、ゼロワンに見た目は似ていたが。

 鉱石や鉱物がとれることができた。

 それは、宇宙で暮らす生命体にとって。

 必要不可欠な、資源であった。


「こんな穴場。誰にも渡してたまるかよ」


 ドクロの旗を掲げる、宇宙船の姿がポツンとそこにあった。


「うちゅうのかぜは~、おれ~のかぜ~っとお」


 すこぶる調子よかったらしい。

 と──、そこに。


「おやっさん! なんかえっちでスゴいのが!」


「バカヤロー! 船長って呼べっていつも言ってんだろうが!」


「すいやせん。バーロック船長」


 それにしても、えっちでスゴいというのは分からない。

 あっちでスゴいのが見つかったというならまだしも。


「いったい、どれほどの宝物を見つけたっていうんだ」


 部下に連れられてきた、その現場で。

 キャプテンバーロックは、思わず言葉を失ってしまった。


「こりゃあたしかに──、えっちでスゴいなあ」


 そこには、全裸の美女が佇んでいた。

 なめらかな指先、しなやかな身体つき。

 見つめられたら最後、永遠に虜になるひとみ。

 触れたらもう、ずっと抱き締めるしかない。


「こりゃあたしかに──、えっちでスゴいぜえ」


 誰もが魅了されてしまうほどの、彫刻があった。

 

「とりあえず、とりあえずだ! 丁重にお迎えしやがれ!」


「「「へい、キャプテンバーロック!!」」」


 ドクロの旗の宇宙船の乗組員は、総勢夢中になった。

 最高級の報酬を、やさしく丁寧に運びいれた。



「それにしても、コイツは……」


 いままで、見たこともなかった。

 いままで、こんなに昂ることもなかった。

 さんざん、旅してきたが。

 たくさん、良いことも酷いこともしてきたが。


「それにしても、えっちでスゴいぜえ」


 キャプテンバーロックは、まじまじと眺めていた。

 細部にいたるまで、それは鉱石とは比較にならない。

 その価値は、何物にも勝るだろう。


「た……す……け……て」


「うおうっ!? なんだあっ!?」


 その彫刻を見ていたキャプテンバーロックの頭のなかに。

 突然──、透明な声が鳴り響いた。


「きん……の……はりを……」 「金の針……か?」


 それは宇宙では貴重なアイテムだった。

 高価格で取り引きされていたが、万能薬でもあった。

 火の鳥という、羽から調合されていた。

 

「それを……」

 

「いや、たしかにあるけどさあ」


 いざというときの、隠し球だった。

 キャプテンバーロックは、ひそかに手にいれていた。

 厳重に、何重にも鍵をかけていた。


「は……や……く……」


 そして、彼は禁断の箱を開けてしまった。



「あ~、やっと解放されたわ!」


 いま、キャプテンバーロックの前には。

 あけっぴろげな、素っ裸の美女の姿があった。

 とにかく、刺激的すぎて、目のやり場に困る。


「ありがとうね♪」 「いや、こちらこそ……」


 見てはならないが、どうしたって見えてしまう。

 そこには彫刻から解放された、美女がいた。

 堂々として、毅然として、ありのままを見せつけていた。


「で、さあ……」


「わたし、ビーナスっていうんだけど」


「お願い、聞いてくれない?」


 キャプテンバーロックは、しどろもどろになっていた。

 こんなにも、美しい女性と出会ったことはなかったから。


「わたしをこんな目に合わせたやつらに、復讐したいんだけど」


 その囁きに、乗っかるしかなかった。

 キャプテンバーロックは、スターの甘い声に唆された。




「くそっ、しくった」


 いつもなら、なんなく反撃できたのに。

 いままで味わったことのない攻撃だった。

 

「ヤツにいっせいに浴びせろ!」


 レーザーが放たれた。避けきれなかった。

 やがて、命中してしまった。

 スターは、ずっとお尋ね者だった。

 最高額の賞金首だった。

 いくら姿を変えても、狙われていた。




「やったぜ!」


 まったく身動きできない。

 それは石化という、現象だった。


「くそが……」

  

 なけなしの超能力をつかった。

 そして──、惑星『ゴロード』で彫刻になっていた。

 ともあれ──、キャプテンバーロックのおかげで。


「あんたたち、よくもやってくれたわねぇ」


 あとは一方的に蹂躙していった。

 石化光線とかいうのは、もはや通じることはなかった。

 死屍累々。

 屍の血を浴びながら。


「バーロックさん、ありがとうね」


 そこには。かつて誰もが愛した彫刻の姿はなかった。

 返り血を浴びた、狂気の女神の姿があった。

 さぶいぼ──、鳥肌がたっていた。

 

「いや……どうもね?」


 キャプテンバーロックでさえ、ドン引きしていた。 

 惑星『ゴロード』でスターはビーナスという名前を捨てた。

 それはよくあることだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。