ジゼル。
惑星『ジゼル』。
瘠地が拡がり、荒野が目立つ。
時折見掛けるのは、小さな村と居酒屋。
そして──、対決だった。
「「5、4、3、2、1、ゼロ!」」
ズギューン。
「ぐはっ!?」 「父ちゃんっ!」
「恨むなら、とことん恨めばいいさ」
ガンマンの彼は。
たった今、撃ち殺した父親の娘に告げた。
「俺の名はテツロ。いつでも待ってるからよ」
愛用のレーザー銃を、素早く懐に仕舞う。
ちらっと見えた素肌には。
幾つもの銃創──、傷跡がみえた。
そこには、歴史が刻まれていた。
「ぜったいに……許さないから……!!」
「そうだ。それでいい」
今のままでは勝てない。
今のままでは仇は打てない。
父親を殺された娘は、ぐっと堪えていた。
「娘。名前は?」 「……マチルダ」
「マチルダか、いい名前だ。覚えておこう」
少女の父親を撃ち殺したテツロは。
どこか嬉しそうにしていた。
彼女ならば、きっと辿り着けるのでは。
銀河最強の、ガンマンに。
「はいよー、ジルヴァ!」
テツロは愛用のバイクに股がって。
また、復讐者を募る旅に出た。
瘠地が拡がり、荒野が目立つ。
その星はいつしか『決闘の星』と呼ばれていた。
それからしばらくして。
──カランカラン。
いいおとが鳴り響いた。
どうやら、ご新規さんらしい。
「いらっしゃいませ……ようこそ我が家へ」
「そとに宇宙船を停めたんだけどさあ」
「……どこでも構いませんよ」
とにかく、どんよりとしていた。
経緯を知らない、ご新規さん。
その歓迎は、あまりにも嬉しくはなかった。
「とりあえず、生ビルルを」 「はい、どうぞ」
ドンッと提供された。
ひとまず、チビッと唇を潤してから。
意を決して、訪ねてみた。
「いったい、なにがあったんですか?」
「じつは……かくかくしかじかでして……」
「なるほど……」
惑星『ジゼル』は『決闘の星』だと知っていた。
そんな風習が根付いているとは知っていた。
ただ──、それは自分がよく知っていた。
「よければ、俺に任せてくれないかな?」
「……え?」 「その、復讐ってやつをさ?」
「そんなことは……」 「いいから、いいから」
「このリュークに任せてよ」 「リュークさん……」
そして──、その時がきた。
ふたりは、対峙していた。
「へえ~、アンタ。この俺に勝てるのかい?」
テツロの歴史はさらに重ねられていた。
惑星『ジゼル』で、いったいどれほど。
恨みを買ったのだろうか。
それほどテツロは、研ぎ澄まれていた。
殺気が、日常的になっていた。
「まあ、負けはしないと思うよ」
マチルダの熱い視線に答えるように。
リュークは軽々しく言った。
「やってみたらいいさ」
テツロはいつものように、歩きだした。
「「5、4、3、2、1、ゼロ!」」
その刹那、放たれたのは銃弾ではなかった。
ただの、殺意だったのか。
いや──、憎しみというべきか。
いや──、愛しみというべきか。
「はあ……こんなものか」
テツロは。
ブクブクと泡を吹いて失神していた。
そこには、一流のガンマンの姿はなかった。
ただ、何もかも垂れ流して。
失禁していた姿があった。
「マチルダ、これでいいかな?」
「ありがとうございます!」
正直。
物足りなかった。
惑星『ジゼル』で、リュークとして。
ガンマンになったスターは。
テツロの愛馬を奪って、駆け出していった。
「はいやーっ、ローレン。ローハイっ!」




