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The、スター。  作者: caem
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14/15

ジゼル。


 惑星『ジゼル』。

 瘠地が拡がり、荒野が目立つ。

 時折見掛けるのは、小さな村と居酒屋。

 そして──、対決だった。


「「5、4、3、2、1、ゼロ!」」


 ズギューン。

 

「ぐはっ!?」 「父ちゃんっ!」


「恨むなら、とことん恨めばいいさ」


 ガンマンの彼は。

 たった今、撃ち殺した父親の娘に告げた。


「俺の名はテツロ。いつでも待ってるからよ」


 愛用のレーザー銃を、素早く懐に仕舞う。

 ちらっと見えた素肌には。

 幾つもの銃創──、傷跡がみえた。

 そこには、歴史が刻まれていた。


「ぜったいに……許さないから……!!」


「そうだ。それでいい」


 今のままでは勝てない。

 今のままでは仇は打てない。

 父親を殺された娘は、ぐっと堪えていた。


「娘。名前は?」 「……マチルダ」


「マチルダか、いい名前だ。覚えておこう」


 少女の父親を撃ち殺したテツロは。

 どこか嬉しそうにしていた。

 彼女ならば、きっと辿り着けるのでは。

 銀河最強の、ガンマンに。


「はいよー、ジルヴァ!」


 テツロは愛用のバイクに股がって。

 また、復讐者を募る旅に出た。

 瘠地が拡がり、荒野が目立つ。

 その星はいつしか『決闘の星』と呼ばれていた。


 それからしばらくして。

 ──カランカラン。

 いいおとが鳴り響いた。

 どうやら、ご新規さんらしい。


「いらっしゃいませ……ようこそ我が家へ」


「そとに宇宙船を停めたんだけどさあ」


「……どこでも構いませんよ」


 とにかく、どんよりとしていた。

 経緯を知らない、ご新規さん。

 その歓迎は、あまりにも嬉しくはなかった。


「とりあえず、生ビルルを」 「はい、どうぞ」


 ドンッと提供された。

 ひとまず、チビッと唇を潤してから。

 意を決して、訪ねてみた。


「いったい、なにがあったんですか?」


「じつは……かくかくしかじかでして……」


「なるほど……」

 

 惑星『ジゼル』は『決闘の星』だと知っていた。

 そんな風習が根付いているとは知っていた。

 ただ──、それは自分がよく知っていた。


「よければ、俺に任せてくれないかな?」


「……え?」 「その、復讐ってやつをさ?」


「そんなことは……」 「いいから、いいから」


「このリュークに任せてよ」 「リュークさん……」


 そして──、その時がきた。

 ふたりは、対峙していた。


「へえ~、アンタ。この俺に勝てるのかい?」


 テツロの歴史はさらに重ねられていた。

 惑星『ジゼル』で、いったいどれほど。

 恨みを買ったのだろうか。


 それほどテツロは、研ぎ澄まれていた。

 殺気が、日常的になっていた。


「まあ、負けはしないと思うよ」


 マチルダの熱い視線に答えるように。

 リュークは軽々しく言った。


「やってみたらいいさ」


 テツロはいつものように、歩きだした。


「「5、4、3、2、1、ゼロ!」」


 その刹那、放たれたのは銃弾ではなかった。

 ただの、殺意だったのか。

 いや──、憎しみというべきか。

 いや──、愛しみというべきか。


「はあ……こんなものか」


 テツロは。

 ブクブクと泡を吹いて失神していた。

 そこには、一流のガンマンの姿はなかった。

 ただ、何もかも垂れ流して。

 失禁していた姿があった。


「マチルダ、これでいいかな?」


「ありがとうございます!」


 正直。

 物足りなかった。

 惑星『ジゼル』で、リュークとして。

 ガンマンになったスターは。

 テツロの愛馬を奪って、駆け出していった。


「はいやーっ、ローレン。ローハイっ!」


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