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The、スター。  作者: caem
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15/15

ゼッド。


 惑星『ゼッド』。

 その星は、『希望の星』とも。

 『絶望の星』とも呼ばれていた。


「ここ……どこだよ……」


 突如──、別の世界からやってきたらしい。

 イヤホンをしながら、携帯に夢中になって。

 赤い信号に気づかなかった。


「あいつ、ヤバいぞ!」 「きゃあああああ!」


「バカヤローッ!!」


 キキキキキキ──、ドンッ。

 ふわりと、身体が宙に舞う。

 運転手のブレーキは間に合わず。

 観客も含め、凄惨な事故を目の当たりにした。

 いつもの通学路は、血渋きで染まる。

 もう──、間に合わないだろう。

 それでも。


「誰か、救急車を!」 「110番も!」


 だが、すでに。

 その姿はなかった。


「あれっ?」 「どこにいったんだ?」


 確かに牽かれた。

 車にも、その痕跡はあった。

 運転手も、その感覚はあった。

 ただ──、忽然とその姿は消えていた。


「ん? ここ、どこだよ……」


 いつもの通学路ではなかった。

 見慣れない風景だった。

 そして、奇妙な身体つきをしていた。


 その姿は、まるで蜥蜴のようだった。

 見上げたことのない、星空があった。


「え? マジで、わかんないんだけど!?」


「惑星『ゼッド』にようこそ」


 車に牽かれたことさえ分からなかったのに。

 謎のメッセージが、頭に語りかけてきた。


「この星には、あなたたち(・・・・・)がたくさんいます」


 そう言われても、簡単には理解できない。

 ただ、以前の身体ではなかった。

 まるで、蜥蜴を思わせる四肢があった。


「理想的な姿にしました」


 かつて、ペットとして飼育していた。

 ピロちゃん。

 その蜥蜴のような、姿になっていた。

 

「では──、第二部を楽しんでください」


 そこに、ユニークスキルなどはなかった。


「まさか……異世界ってところなのか?」


「おや、新入りですか?」 「そうなりますかね」


 惑星『ゼッド』の住人は、優しく迎え入れた。

 新入りには、まず説明しなくてはならない。


「私、バロウと申します」 「はあ、どうも」


 バロウは、梟族(ポッポル)だった。

 梟族(ポッポル)は、丁寧に説明するの得意だった。

 その声色は、転生者を落ち着かせた。


「えっと~、俺は……ピロです」


「ピロさんですか。では先ず、最初に」


 ピロにたいして、長々と。

 惑星『ゼッド』というのが。

 どんな星なのか。

 緩やかに語り出した。


「まずスターってのが訪れました」 「ほほう」


「きみと同じ人種ですよ」 「ふむふむ」


「ただ──、スターは超人でして」 「へえ~」


「この惑星『ゼッド』にやってきて」 「うん」


「それから、たくさんの伝説を作り出した」


 ちょっとよくわからない。

 丁寧に、説明してくれてはいたけど。


「で──、そのスターさんっていうのは?」


「超人──、というしかないですねえ」


 惑星『ゼッド』。

 そこに転生した初心者には、理解できなかった。

 だが。


「つまり、スターには気を付けろって事ですね?」


「つまり、そういうことになりますね」


 察した。

 決して、関わってはいけない相手だと。


「さらに、スターは、どんな存在にもなれます」


 その言葉を聞いて、ピロは。

 スターという単語を辞書から消した。


「どうせなら、異世界を楽しもうかなあ」


 惑星『ゼッド』。

 まずは、そこから理解しなくては。


「宿屋とか、冒険者ギルドとかありますか?」


「ええ、もちろんありますよ」 「あざーす」


 ただ──、バロウは。

 ピロの素質に気づいていた。


「あの施設で登録してください」 「なるほど」


 惑星『ゼッド』。

 その星は、『希望の星』とも。

 『絶望の星』とも呼ばれていた。

 転生者を待ち受けていた。


 バロウは、梟族(ポッポル)だが。

 中身(スター)は、ずっと代わり(・・・)を待っていた。

 

 見た目は蜥蜴の姿だが。

 同郷の人種のピロが。

 やがて──、引き継いでくれるだろうと。


歩きスマホは、ぜったいにしないでください。

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