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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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89. 傷薬と矢の量産

 ゴブ2匹と戦った、次の朝、僕たちはまだ水浴び場で体の匂いを落としていた。

 実戦の興奮が冷めなかったのか、精神的な緊張感が限界に達したからなのか、その日の晩は全員乱れた。

 特にナーリアが酷かったのは、それだけ緊張感も強かったということだろうか。

 僕も含めてだけど、乱れた後じゃないと眠れない気がしていたのだ。

 で、朝は仲良くみんなで水浴びという訳である。


 そんな水浴びの最中に、ラーリア様がやってきた。

 ナーリアがびっくりして、濡れたままラーリア様の元に向かう。

 うん、ラミアって基本裸だから、それでもあまり無礼じゃないのは楽だよね。

 僕らも皆、とりあえず急いで体を拭く、そこでどうするか迷う。

 だって、みんな着る物を持たずに水浴びに来てしまっていたから。


 「ラーリア様、すみません、水浴びなんてしていて。 おはようございます」

 「ああ、おはよう。 構わない、こんな早くに来た私が悪いのだからな」


 僕たちは迷った末に大急ぎで家に戻り、衣類を身につけてくることにした。

 だってラーリア様が服着て、ナイフを腰に差しているのに、僕らが裸はなんかカッコつかないから。

 ナーリアもそう思ったらしく、ラーリア様にことわって、家の方に戻ろうとして焦っている。


 「いえ、ラーリア様はちょっとここでお待ちください」

 「ん、家に戻るのであろう。 一緒に行くぞ」

 「いえ、とりあえず、ここでお待ちください」


 ナーリアは大急ぎで戻ってくると、皆に命令した。

 「大急ぎでその辺片付けて窓を全開にして、アレクは何か食べるもの作って、煙と食べ物の匂いで、ごまかして」


 そう言いながら、自分では服を着ていた。

 うん、前夜の匂いがまだ充満しているものね。

 みんなは言われたことをするとともに、髪をブラシで梳かし、唇にリップクリームを塗っていた。

 これも匂いごまかしのつもりらしい。


 「それじゃあ、ラーリア様呼んでくるよ、食事でごまかそう」


 ラーリア様がやって来たのは、今日これからの予定を伝えるためだった。

 何も自分で来なくてもと僕たちは思ったのだが、ミーリア、ミーレア、アーリア、アーロアは交代で24時間昼夜問わず警戒に当たり、アーレアはゴブの探索に当たっているらしい、

 手が空いている者を探すより自分で来る方が早いということだった。


 それでもうすぐここに、ラーリア全員と友たちが来ることになっている、という。

 何をしに来るのかと思ったら、全員で矢を作るということだ。


 「最初ラーリアだけでここに来て作業をしようかと考えたのだが、人間たちから『何か出来ることがあれば手伝いたい』と言われてな、それなら手伝ってもらおう、という話になったのだ。

  それに彼らがここに来れば、お前たちが昼食を向こうに運ぶ必要がなくなる。

  それだけお前たちに時間ができるということもある」


 「それで何故急に矢を作ることになったんですか」


 「それはお前たちが弓矢で戦った話を聞いたからだろう。

  弓矢が有効だと分かったのに使わない理由はないだろう」


 「弓矢を牽制だけでなく、ゴブの数を減らすための武器として使おうという訳ですね」


 「まあ、そういうことだ。

  お前たちの弓ほどの力はないが、それでも矢が今までの物と違えばそれなりの効果は出るのではないかと思うからな。

  残念だが、弓まで作っている時間はないだろうから、せめて矢を新しい物にしたいのだ」


 「ところで、数を減らしたいということは、どのくらいの数を想定しているのですか」


 「ああ、私は下手をすれば100に近いかと考えている」


 「そんなにですか、僕は50くらいなのかと思っていました」


 「私たちはもっと多いんじゃないかと心配している」

とセカンが口を挟み、ディフィーが続いた。


 「斥候だとしたら、装備が充実しているのよ。

  ゴブはああいった物が作れる訳じゃないわ。 分捕った物よねあれらは。

  だとするとかなり大きい集団じゃないと、斥候にあれを回せるだけの分捕り品は出来ないはずよ」


 「ゴブリンは数が力だから、良い物を持っているということは力がある。

  力があるということは数が多いということだから」


 ラーリア様はセカンとディフィーの意見を聞いて考えていたが

 「どちらにしろ、アーレアがゴブの居場所と数を突き止めない限り、具体的なことは分からないな。

  それまでは最悪を想定して、できる準備をするだけだ。

  という訳で、我らは矢を作る。

  お前たちはこないだ話していた傷薬を出来るだけ作ってくれ。

  材料は心配するな」


 そんな話をしながら、僕たちは傷薬を作る準備をしていた。

 すると集団が近づいてくる音が荷車の音と共に聞こえて来た。


 ラーリア様は他のラーリアと軽く打ち合わせをしている。

 僕はボブに声をかけられた。

 「よおアレク、俺たちもここで働くことになったぜ」


 僕はこの前のブラシの時もそうだったが、やはり友たちが近くにいるのはなんとなく嬉しい。

 でも、その気分を表すのは恥ずかしいというか、負けた気がする。

 「人の迷惑を考えない奴らめ」

 僕は悪態を吐く。


 「何が迷惑だよ。 俺たちはラミアの手伝いに来たんだぜ」


 「お前らが来ると、昼飯の準備なんかも大変になるじゃんか」


 「え〜、ここに来た方が運ぶ手間もなくなって楽じゃんか」


 エレクが口出しして来た。

 「ボブ、まともにとっちゃ駄目だよ。

  単にアレクは照れ隠しに悪態ついているだけだから」


 馬鹿、エレク、黙ってろ。

 と思ったら、後ろでセカンとディフィーとレンスが忍び笑いをしていた。


 「アレクもやっぱり他の人間たちと仲がいいのね」

 ディフィーが微笑ましい、という感じで言うと。


 エレクが

 「うん、ちょっとひねくれていて、恥ずかしがり屋なんだけどね」

と答えたら、三人が忍び笑いから、大爆笑になっていた。


 僕は顔がちょっと赤くなったのを隠すために大きな声で言った。

 「ほらお前ら、来たからには働け。 まず荷車の荷物をどうにかしろ」


 荷車には以前来た時と同様に、この人数ではここでは足りない敷皮や机、食器などに加え、様々な材料などが積み込んであった。

 それらを下ろし、とりあえず倉庫にしまう物などはしまい、倉庫にある必要なものは出し、作業ができるようにセットしていく。

 僕は竃で作った燠を、ブラシの時に数を作った火鉢に入れて、ナーリアたちに運んでもらう。

 ラーリア様たちの打ち合わせもすぐに終わり、作業が始まった。


 作業が始まって直ぐ、僕は作業の人選を間違えていることに気がついた。

 人間が誰でも火を扱えるからといって矢作りが上手い訳ではない、エレクと、えーとなんていったっけアイツ、そうだハクだった、は見るからに下手くそだ。

 レンスやサーブにやらせればもっと上手に数も作れる。


 僕はラーリア様に人員配置の転換を提案する。

 ボブも同じように思っていたみたいで、

 「エレク、ハキ、お前らは違うことをやれ。 ここにいても邪魔なだけだ。」


 「酷いこと言うなぁ。 でも自分でも同意だ」

 エレクは自分でもこの作業は苦手意識があるようだ、ハクじゃなかった、ハキも「やれやれ助かった」という顔をしている。


 「その二人の代わりに、レンスとサーブを入れましょう。

  それから矢竹の矯正は、ボブとデイヴとケンと、それにこの二人の5人にして、他は他の作業をしましょう。

  ま、適材適所という感じで」


 何も10人で矢竹の矯正をする必要はないよね。

 ラーリア様たちは、まだ上手いのか下手なのか良く分からないけど、非常時だから効率重視。


 「ディフィーはエレクとハキを連れて、薬草とりに行ってきて。

  エレクについてるラーリド様とハキについてるラリベ様もそれで良いですか?」


 さっきよりもずっと効率的に仕事が捗るようになってきた。

 僕はナーリアとセカンに手伝ってもらいながら、蜜蝋作りに励んだ。


 薬草取りは思わぬ副産物を生んだ。

 エレクが傷に効く薬草だけでなく、血止め草も採ってきた。

 そうだった、戦いとなればとにかく一番に血を止めることを考えるべきだった。


 それからハキが思わぬモノを採ってきた。

 「アレク、マール草の群落があったよ」とニコニコで採ってきたのだ。


 「ああ、今まで暑かったから目に入ってなかったよ。

  休憩に飲むか?」


 「ああ、そう思ったんだ」


 僕らの会話を聞いてディフィーが尋ねてきた

 「なんなの、そのマール草って」


 「うん、お茶にすると美味いんだ。」


 「お茶?」


 「後で出してあげるから、そうすれば分かるよ」


 マール草のお茶の好みは、ラミアでは半分に分かれた。

 ま、人間でも好きな人もいれば、そうでない人もいるから、当然か。


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