表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/106

86. 遭遇

 「どうしてラーリア様はあのタイミングで現れるのかしら?」


 「今回も本当にドンピシャっていうタイミングだったな」


 「アレクが何か新しいものを作り、それを私たちが試していると現れるのよね」


 「あれは、野生の勘?」

 いや、レンス、お前に野生の勘と言われるのは、さすがに引くと思うぞ。

 どちらかというと、お前の方が野生の勘の塊みたいなものだろ。


 「でも、今回は話があって来たんだから、狙って来た訳じゃないと思うの」

 ナーリア、狙って来たとしたら怖いわ、どこで監視しているんだ。


 「それにしたって、ちゃっかり自分の分のクリームとリップクリームもせしめて、その上傷薬の出来る限りの増産を命じて行くんだから」


 「なんかアレク共々良いように、こき使われてないか、私たち」

 「それは言えてる」


 「それに本来の用事は、他のラミアの要求を抑えられないから、またブラシ作りをするっていう話だった」

 「そうよ、それも結局私たちが忙しくなるじゃない」


 ナーリアはテンションが上がっていく4人を宥めるのを諦めたようだ。

 僕としては、僕が作ったものが原因だから、何となく肩身が狭くて口のはさみようがない。


 そっと別のことを言ってみる。

 「でもまあ、今日はぶどう探しだから」


 セカンが僕に気を使ってか、話にのってくれた。

 「ぶどうを探してどうするの?

  アレクのことだから、単純にぶどうが食べたいという訳ではないのでしょ」


 「うん、ぶどうをまず干しぶどうにしたいんだ」


 「ぶどうを乾かすの? あの肉みたいに」

 ナーリアが驚いたような声をあげた。


 「ラミアは干しぶどうって作らないか。

  人間は色々なものを干して、長く貯蔵できるようにして食べるんだ」


 「ふーん、色々考えるのね」


 「え、だって、そうやって蓄えておかないと、冬に困るだろ」


 「知らない。 冬は寝る」

 おいおい、レンス、寝るって何よ。


 「ああ、アレクは分からないか。

  ラミアは冬は冬眠ていう程ではないけど、集落の一番奥にみんなで籠って、半分寝たような状態で過ごすんだ。

  別に活動しようと思えばできるが、体温が低下しているから効率が悪いからな」

 なるほどそう言うことか、サーブが解説してくれた。


 「ま、それはともかく、今回干しぶどうを作るのは食べるためじゃない。

  干しぶどうを水に入れて何日かそのままにしておくと、水が白く濁って来て泡が立ってくるんだ。

  欲しいのはその水さ。

  パンを作る時にその水を混ぜてこなを捏ねて、しばらく時間をおいてから焼くと、ふんわりとした柔らかいパンが焼けるんだ」


 「そのためにぶどうを採るの。

  なんてゆうか随分と気の長い話なのね」


 「でもそうやって作ったパンて美味しいの?」

 やっぱりここで一番の食いしん坊キャラはナーリアかな。


 「うん、美味いよ、絶対に」


 あれ、何だか急にディフィーとレンスが静かになった。

 ディフィーが小さいけど鋭い声でナーリアに言った。

 「ナーリア、前方に何かいるかもしれない」


 「みんな、止まって。 静かにして」


 しばらくの沈黙の後、ディフィーが

 「やっぱり、何かいるわ。 もしかするとゴブの可能性がある」

 緊張が走った。


 「レンスとセカン、見つからないように偵察に行って来て」

 ちょっと待っただけで二人が戻って来た。


 「やっぱりゴブ。 二匹だけ」

 セカンがそう報告した。


 「どうする?」

 厳しい声でナーリアがみんなに問う。


 「ゴブ、即、殺」

 レンスがそう一言小さい声だが強く呟く。


 そうこの世界ではゴブは見つけたら即殺さねばならない。

 ゴブの問題は旺盛な食欲と繁殖力にある。

 ちょっとでも放っておくと大繁殖し、数の力で大災害を引き起こすのだ。

 だからこの世界ではゴブは見たら即座に殺す、例外はない。


 「前なら、即座に報告のために引き返そう、と提案したのだが、今なら2匹なら私たちで対処できるんじゃないか。

  逃げられるのはまずいから」

 サーブが戦うことを選択した。

 みんな同じ気持ちのようだ。


 「二匹だけとまだ断定できない。

  近くに仲間がいる可能性がある。 まずそれを調べる」

 ナーリアがそう方針を述べ、命令していく。

 「セカンとレンスはこの辺りに他にゴブがいないか探って来て、範囲はここをかなめにして前方500mくらい、セカンが右側、レンスが左側。

  私はもうちょっとゴブに近寄って見張っているわ。

  あとは待機。

  ゴブに何かあった時は、私が口笛を1回吹いたら、即座に攻撃態勢、2回吹いた時は、集落に向かって各自全力で逃げて。

  行動開始!!」

 三人は即座にこの場を離れて行った。


 残りの三人は、僕は当然のことだが、動くと見つかる可能性が高いので、この場で待機することを命じられた訳だ。

 僕たち三人は声を出すこともなく、身を伏せて、三人の帰りを待った。


 さっき程ではないが、そんなにしないで三人とも戻って来た。


 「どうだった?」

 ナーリアが二人に聞く。


 「辺りに他のゴブの気配はない。 そっちは。」 セカン

 「こっちもない。 二匹は斥候?」 レンス


 「そういった可能性もあるかも知れない。

  2匹のゴブは武装していた。

  剣を持つだけでなく、皮の胴を着て皮の帽子を被っていた」


 おいおい、ナーリア、そんな観察ができるまで近づいてきたのかよ。

 僕は急に心臓がドキドキした。


 「でも周りにいないなら、やるべきね」

 ナーリアの問いにみんなうなづく、当然僕もうなづく。


 「出来る限り接近戦はしない、弓で仕留める。

  サーブと私とレンスが左側のゴブ、右側がアレクとセカンとディフィー。

  サーブと私とアレクとディフィーは顔か首を狙う。

  多分胴も貫けると思うけど、胴は私とアレクの2射目で狙う。

  サーブとディフィーは一撃必殺の気持ちで1射のみ。

  レンスとセカンはゴブの足を速射して動けないようにして。

  これでもし倒せなかったら、セカンとレンスを殿(しんがり)にして逃げる。

  セカンとレンスは速射で牽制しながら逃げて。

  ゴブが倒れた場合は注意しながら近づいて、ゴブがまだ生きていようが死んでいようが、サーブとアレクの二人は一気にゴブの首を落として。

  その時に飛びかかられても大丈夫なように、レンスとセカンは護衛して。

  以上だけど質問はある?

  あ、矢を放つタイミングはいつも通りディフィーに合わせること。

  私の2射目で弓矢の攻撃はお終いよ」


 僕は驚嘆していた。

 これがポヨヨーンとしていたナーリアか。

 癒し系どころではない、完全なリーダーというか指揮官じゃないか。

 リーダーを押し付けられたなんて嘘じゃんか。


 「アレク、分かった?」

 「うん、了解した」


 ナーリアはもう一度全員に念押しした。

 「これは狩じゃない。 私たちの初の実戦。

  絶対に無理はしない。 駄目な時は即座に逃げる。

  これだけは守って」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ