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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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85. 蜂の巣

 イノシシを狩るために森の中を歩き回った時、僕はあるモノを見つけた。

 珍しいものではない、探せばまだまだ見つかるだろう。

 イノシシを狩るために姿をとりあえず隠そうとした時に、ふと近くにあることに気がつき、ぎょっとしたのだった。

 蜂の巣だ。

 知らずに近づいて、一斉に攻撃されたのでは堪ったものではない、イノシシどころの話ではなくなってしまう。

 僕はその場をそっと離れたのだった。


 ブラシの騒動がとりあえず上位の人の分を友たちが作ったことでひと段落し、僕はそのことを思い出し、セカンとディフィーに相談する。

 「ラミアって、蜂の巣は採らないのかな?」


 「蜂の巣? アレクは蜂蜜が欲しいの?」


 「時々は採るわよ。 そういえば最近果物以外の甘いモノって食べてなかったわね」


 「蜂蜜も良いけど、僕は蜂の巣自体が欲しいんだ。

  どうやって採るの?」


 「蜂の巣なんて何するの?

  蜜を取ったら、捨てるだけでしょ。

  たまに蜜が落ち切るのを待ちきれずに巣ごと食べようとするラミアもいるけど。」

 セカンが意味あり気にディフィーを見ながら、そう言った。


 「蜂の巣を採るのなんて簡単よ。

  蜂の巣付近に毒霧を吐けば一発よ」


 「あっ、そういう方法があるのか」


 ディフィーが慌てて話を採り方に進めようとするのを、僕はディフィーに見えないようにセカンの腕を軽く指で叩いて「分かっている」と合図をしながら、のってやる。


 「ラミアだと簡単で良いなあ。

  蜂は毒霧で死んじゃうの?」


 「そんなに濃いのは吐かない、少し気絶してるだけ。

  人間だとどうするの?」


 「小さな火を作って、それに枯れてない枝や草や葉をのせて、ワザと煙を出して、それで燻す。

  そうすると毒霧と同じような効果になる」


 「なるほどね。 同じようなことをして採るのね。

  でも人間の取り方は手間がかかるわね」


 「そりゃ仕方ないだろ。 人間は毒霧吐けないもの」


 「それで、アレクはなんで蜂の巣が欲しいの?」


 「蜂の巣をお湯で温めると蜜蝋が取れるんだよ。

  それが色々なことに使えるのさ」


 次の日に、さっそく蜂の巣を採ることとなった。

 僕が見つけた場所以外にも、みんなが知っていた場所が3ヶ所あり、合計4ヶ所だ。

 とは言っても、ラミアによる蜂の巣の採取はとても簡単で、時間はかからない。

 蜂の巣の辺りに毒霧をプシャー、女王蜂付近だけ残して巣を切り離し、運ぶために持ってきた木鉢に入れ、お終い。

 簡単この上ない。

 人間の僕にしてみたら、良いのかこんなに簡単でというレベルだし、蜂にしてみたら何が起こったのかわからないうちに巣の大半がなくなっているという状況だろう。

 なんとなく、蜂に同情したくなる簡単さだった。


 採ってきた蜂の巣は適当に切り分けて、棒を渡した木鉢の上に置き、しばらく蜂蜜が落ちるのを待つ。

 みんな蜂蜜は嬉しそうなのだが、ディフィーとレンスは木鉢に落ちて溜まっていく蜂蜜を見てはニマニマしている。

 はい、好きなのね、好物なのね、よく分かります。

 落ちきったところで、蜂蜜は木鉢から蓋の出来る器に移した。

 木鉢に付着して残った蜂蜜をみんなで指で掬って舐めたのだが、二人の勢いが違う。

 ああ、もう好きにして。


 僕は本命の巣の方に取り掛かる。

 セカンに布で袋を縫ってもらっているうちに竃に小さく火を入れ、少しだけ大きめの鍋にお湯を沸かす。

 小さな深皿に半分ほどオリーブオイルを入れて、竃の上に載せて温まるようにしておく。

 セカンの作った袋に蜂の巣を入れ、口を縛り湯の中に沈める。

 浮き上がらないように袋の上に小石を載せた。

 少し待つと、お湯の上に蜜蝋が浮き上がってきた。

 浮き上がってきた蜜蝋を注意深くすくい取り、オリーブオイルを入れた深皿に、オリーブオイルの量の1/4くらい加えた。


 「セカン、これをかき混ぜながら冷ましてくれる。

  ナーリア、何か手のひらに軽く乗る程度の小さな入れ物を見つけて、さっきの蜂蜜をほんの少しだけ入れてきて。

  サーブは糸を撚って少し太い糸を作ってくれるかな」

 僕は蜜蝋を掬っては木鉢に入れながら、次々と指示をした。


 蜜蝋が溶けきったのか、浮かばなくなってきた鍋をとりあえず火から外したころ、指示したことを3人が終えた。


 「セカン、出来たものを、ナーリアが持っている入れ物に、軽く入るだけ入れてあげて。

  ナーリアはそれと蜂蜜を軽く混ぜて。

  サーブの糸は僕に寄越して」


 僕はサーブから糸を受け取り、木鉢の上でさっきから掬い取っては捏ねて練っていた蜜蝋を細長い小さな棒状にし、その真ん中に糸を埋め込むようにした。


 「とりあえず一旦お終い」


 「で、作ったこれらは何なんだ?」

 サーブが問いかけてきた。


 「まずはセカンが作ったのだけど、前にナーリアのために荒れた手に塗る薬を作ったろ、今は洗濯係や皮鞣し係から注文がすごいけど、あれと似たものなんだ。

手や顔に塗ってみて」


 蜂蜜を舐め終えて満足したらしい、ディフィーとレンスも加わって、みんな塗ってみている。


 「これ、良い。 肌がスベスベになる」


 「それに前の薬と違って、良い匂いだから、顔につけるのにも良いわ」

 ナーリアが匂いが気に入ったみたいだ。


 「イノシシの脂の臭いじゃなくて、オリーブと蜂蜜の匂いだから良い匂いだろ」


 「そうね、前の薬は顔につけるのは臭いで抵抗感があったけど、これはそういったことなくつけられるわ」

 そう言ったディフィーに僕は言う。


 「ディフィー、その手で少し髪を手櫛してみてみな」

 ディフィーは言われた通りにする。


 「あら、何だかパサつきが減って、通りが良くなったような気がするわ」


 「うん、そういう作用もあるらしい」

 ディフィーは髪質が弱くて、パサつきに悩まされていたのだ。

 みんな、髪も撫で始めた。


 「ナーリアのそれは唇につけてみて」


 ナーリアは言われた通りに、指先でほんの少し唇に塗ると

 「うわぁ、何だかすごく甘い香りが広がって、確かに少し甘いけど、それ以上に感じる」


 「いや、甘さを感じさせたいんじゃなくて、唇の感じを聞きたいのだけど」


 「唇はちょっとペトペトする感じだけど、嫌な感じじゃないよ。

  でもそれより、この香りだよ」


 しまった、まだ唇が乾燥する季節じゃなかった。

 これは失敗だったと思ったら。


 次々と試していたみんなが

 「私これ好きかも」

 「何これ、すごく良い香り」

 「これは良いな。うん、これは良い」

 「今までアレクが作ったものの中で最高」


 何故か大好評で盛り上がっていました。


 ちょっと落ち着いたところで、今度はサーブに僕が作った蜜蝋の小さな棒を持たせる。

 僕は、小枝にまだ火のついている竃で先に火をつけ、その火をサーブの持つ蜜蝋の棒の先の糸に移した。


 「アレク、これは何だい?」 サーブが尋ねる。


 「これは蝋燭っていうんだ。

  夜の灯にするんだ。 少しづつ蝋が溶けて溶けた蝋を糸が吸って燃えるから、たったこれだけでも結構長い間、火が点いているんだ」


 「これがあると、夜の灯に困らないということ?」


 「まあ、そんな感じかな。

  ただまあ、たくさん作れるものではないから、特別な時にしかちょっと使えないけど」


 それを聞いてサーブは慌てて、火を吹き消していた。

 そこまで急ぐことないのに。


 「これがアレクが蜂の巣を欲しがった訳?」

 セカンが尋ねてきた。


 「まあそうだけど、ちょっと違う。

  セカンが作ったのに、ナーリアの薬に使う葉っぱの煮汁を混ぜ込めば、同じように塗り薬になる。

  それと同様に傷に効く薬草の絞り汁を入れれば、傷薬になるんだ。

  それが本命」


 僕がそういうと、みんなまだ分からないという顔をしていた。

 その時、扉が開き、ラーリア様が入ってきた。


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