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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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76. 弓で鹿を獲ったが

 弓は出来上がっていたけれど、まだ胸当ては全員分が揃っていないうちに、ラーリア様は弓を取りに現れた。

 僕はナーリアたちの行動から、ラミアというのは弓を背負って森を行くのだと思っていたから、ラーリア様に作った弓は実用性に欠けるのではないかと思っていた。

 サーブの弓だって、背負って森を行くのはギリギリだろう。


 ラーリア様は受け取ると、サーブの普通よりも長く作った矢を借り、的に向けて試した。

 強力に作り過ぎてまともに引けるかを内心危ぶんでいたのだが、全く問題にしないで軽々と射って見せてくれた。


 「うん、これは良い。 確かに強力な弓だな。

  ただ矢がちょっと短いな、あと二掴み分長い矢を作ってくれ」

 サーブに矢の注文をしていた。


 やっと僕の友たちは体調がだいぶ戻り、体力はともかくとして、食べ物は普通に食べれる様になってきた。

 今は、命の実があり、豆があり、鹿の肉が豊富にある。

 食べられる草を採ってくるくらいで十分に食事が作れて、余裕がある。

 季節も少し秋に向かっている、僕が欲しいのは、油だ。


 サーブが剣に塗っていたから、オリーブがあることは分かっている。

 あとはイノシシだ。

 イノシシなら脂身がたくさんあるはずだ。


 それと欲しいのが、松やにだ。

 久々に森を探索したい気持ちになっている。


 ナーリアたちに話をしてみる。

 「イノシシ狩りをしたいと思うんだけど、どうかな」


 「私たちは今までは鹿までしか狙ってこなかったのだけど、大丈夫かな?」

 ナーリアがちょっと不安そうに言った。


 「不安なら、いくつかの罠を作っておいて、そっちに追い込むという方法もあるけど、今だったら、僕は弓でもいけると思うんだけど」


 「矢で獣を獲るということを、今までしたことがないのだけど、確かにこの弓矢なら出来そうな気がするな」

 サーブが乗り気の様子を見せた。


 「みんなで狙えば、矢を7本は射てる。 なんとかなる気がする」


 「レンス、なんで7本?」


 「私はたぶん連続して3本は射てる」


 「私も、もしかしたらもう1本射てるかも」

 セカンももう1本射つことができるかもと言い出した。


 弓を新調してから最初は慣れるために皆、藁束の的を射ていのだけど、だんだん暇が出来たときのレクリエーションになってきていた。

 矢竹を使う様になり、そのストックも今ではかなり確保してあるから、矢を作ることに困らなくなった、簡単になったこともある。

 そうやって数射っていると、やはりそれぞれの個性が出てくる。


 レンスは完全な近距離速射型になった。

 もう最初からそれを目指していた様で、短い矢を次から次へと射っている。

 そのために腰の左右に矢筒を着け、20本の矢を装備している。


 セカンはもともと僕の作った弓だから距離が出て、強い矢を射ち出す形になるはずだったのだが、レンスに弓を作るときに一緒にどんな弓にするか考えたからか、器用な性質が作用してか、レンスほどではないが速射もこなす様になった。

 それで背中には長距離用の矢を背負い、腰には近距離速射用の短い矢を着けて居る。両方とも10本づつだ。


 サーブは完全な長距離型だ。

 大きく強力な弓、長い矢で、遠くまで強い矢を飛ばす。

 でも驚いたことに的に当てる力は5人の中で1番だ。

 本当にサーブは器用なのか不器用なのかわからない。

 当然、速射性は一番ダメだ。

 背中に長い矢を15本背負っている。


 ナーリアはやっぱりここでも一番普通だ。

 速射ができる訳でもないし、サーブほど遠くまで飛ばすこともないし、命中率もそこそこ。

 でも力がない方でもないので、セカンと同じくらいの距離は飛ばす。

 中距離型とでも言えば良いのか。

 ナーリアも背中に普通の矢を15本。


 ディフィーは弓が苦手と言えば良いのだろうか。

 まず力がないからあまり飛ばない。

 それで器用な気がするのだが速射はどうも出来ない。

 狙った的にある程度の距離で当てることはできるので、戦力にならない訳ではないのだけどね。

 ちょっとだけ短めの矢を腰に15本。

 少し速射を意識しているのかもしれない。


 「一度弓矢での狩猟を鹿でやってみようよ。

  最初からイノシシも不安だから」

 ナーリアの言葉で、まず一度鹿を獲ってみることに。


 繁殖期に近くなり立派になった雄の角を得ることを目的にするのも良いのだが、今現在素材として使用目的がある訳でもない。

 今回は肉の柔らかさ重視で、雌を中心としたグループのもうすぐ群れから離れるかもしれない程度の大きさの鹿を狙うことにした。


 イノシシを狙うシミュレーションも兼ねて、ディフィーが立てた作戦は、

・正面離れた場所からサーブが頭または首を狙うこととし

・他の4人は風下側からそれぞれ離れながらも近づいて準備し

・サーブが自分のタイミングで射る

・それを合図に、セカン、レンスは前足を、ナーリア、ディフィーは後ろ足を狙って射つ

・続けてセカン、レンスは首または心臓を狙って射つ

という万全を期した形だ。

 サーブの矢が外れても誰かしらの矢で動きを止め、セカン、レンスの2射目で仕留めるという作戦だ。


 僕は風下側離れた位置から全体を見ていた。

 サーブは正面方向かなり離れた位置にいる。

 ナーリア、ディフィーは風下方向でサーブよりは近いが離れている。

 レンスとセカンは流石である。スルスルと近づいて位置についた。

 サーブが弓を構えると皆も構え、射ったと思った瞬間、皆も射った。

 鹿は簡単にその場に倒れた。


 獲れた獲物を確かめてみると、みんな流石だった。

 サーブの矢はしっかりと鹿の首を貫き、ナーリア、セカン、レンスはしっかりと足を貫いている。

 セカンの2本目は鹿の胸に刺さり、レンスは胸にも首にも短い矢を射ち込んでいる。

 僕はレンスやセカンの2射目・3射目を見ていなかった。

 サーブの矢が鹿を貫いたのを見て、安心して見ていなかったみたいだ。


 問題点も出た。

 ディフィーの矢の威力が足りない。 やっと刺さった程度だ。


 ディフィーはレンスやセカンの様に気配を消して獲物に近寄れない、自然とある程度の距離で射ることになるのだが、力が足りないのだ。

 ディフィーは自分は役にたたないと落ち込んでいる。


 もう一つは倒した鹿の近くにいた鹿数頭が驚いて逃げたのだが、その内の一頭が僕の方に逃げてきた。

 ま、僕は距離があったからそのコースから外れた位置に逃げるだけだったのだが、短いナイフ一本しか持たない僕には自衛の方法に問題があることが明らかになった。


 僕はこのディフィーの問題が大きいと思うのだが、ナーリアたちは違うようだ。

僕に小さなナイフだけという方をとても問題視している。

 やはりいくら何でも、森の中で小さなナイフだけしか持たないというのでは、危ないというのだ。


 ディフィーは作戦を考えたりして十分役割を果たしているのだから、矢が役に立たなくても構わない、という姿勢だ。

 本人はとても気にしているのだが。


 ナーリアが言った。

 「これまでもアレクが小さなナイフしか持たないで森に入っていたのがおかしいのよ。

  考えてみればあまりに不用心だわ。

  この問題が解消するまで、狩は止めましょう、危ないわ」


 誰も反論しなかった。


 え、イノシシ獲らないと油が得られないのだけど。


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