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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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75. 豆の収穫と

 朝から大忙しだった。


 昨日の今日で実った豆の収穫をしろって、突然過ぎる。

 まあ、イクス様にしてみたら、命の実つまり麦の収穫が若い子30人の頑張りで予想外に上手くいったから、豆の収穫もその調子で、ということなのかもしれない。

 ディフィーに聞くと、鬼の様にハードな作業だったという。

 サーブ、レンスに至っては「思い出したくもない」とその時の様子を語ることさえ拒否してきた。

 ナーリアとセカンが、「ああ、あの時ね」と納得していたから、きっと酷かったのだろう。


 とはいえ僕もそんなハードなことをするのは嫌だ。

 命の実の時に大変だったのは、ラミアの集落の広場から家まで運ぶのが、自分たちの手だけでしなければならなくなるからだという。

 ならば運ばなくても良い状態にすれば良いのだ。

 どうせ運んだって、青いままの豆を収納できる訳じゃない。

 ということで竹をたくさん切ってきた。

 適当な太さの丸太に穴をあけ棒を通して、大鎚を作った。

 藁縄も作り置きを出し、藁束も用意した。


 デイヴの奴が文句を言ってきた。

 「おい、アレク、今日は昨日と全く同じじゃね。 手抜き?」


 「うるさい、黙れ。 今日は忙しいんだ、たまにはこんな日もある。

  明日採れたての豆を出してやるから我慢しろ」


 「お前がこれから採ってきてくれるのか?」


 「俺だけじゃないぞ。

  お前らが色々教えている若い子30人も手伝ってくれるんだ。

  だから準備で忙しかったんだよ」


 「あの子たちも手伝ってくれるのか。 それじゃあ文句は言えねぇな」


 「お前なぁ、俺なら文句言っていいのかよ」


 「まあ、そう言うなよ」

 釈然としないが構っている暇はない。


 僕らは昼の後片付けに家に戻り、すぐに用意しておいたものを荷車に載せて、もう一度広場にやってきた。

 もうイクス様を先頭にして、若い子30人が集まっていた。


 「はい、みんな、今日はアレクくんもいるからね。

  彼の指示に従って、ナーリアのお姉さんたちと頑張って働いてね。

  そしたら、また何か考えてくれるかもしれないよ」


 イクス様、人任せで人参ぶら下げないでください。



 若い子たちの中で、前の時に一緒に作業したからか、ディフィーとサーブとレンスの人気が高い。

 普段言葉が少なく、言い方もぶっきらぼうなレンスも、若い子たちにはちゃんと話している。

 ちょっと新鮮だ。


 畑について、最初にみんなで竹を杭にして打ち込んだ。

 30人だから全部で6グループ、1グループ2本で12本だ。

 最初の一本を大槌でサーブが打ち込み、次からは誰が一番上手く打てているか批評しながら、2本の杭がどれも等間隔になる様に打ち込んだ。

 それに上下2本の竹を横に渡し、縄で縛って準備完了。


 収穫の仕方は前と同じで、下から切って根元を藁で縛る。

 それを竹の竿に掛けていって、どのグループが一番に掛け終わるかを競うことにする。

 掛け方の公平を期すために、竿に掛けるのは僕たちナーリアが行うこととする。

 あっと言う間に収穫は終わった。

 ここ2-3日でそのまま食べる分と、まだ実りきってない部分を除き全て収穫することが出来た。

 あまりに早く終わったので、その場で少しつまみ食いをしてから、その日に使う分だけ荷車に積んで、集落の広場に戻った。


 戻るとイクス様が不思議そうな顔をしていた。

 早かったことと、収穫物をほとんど持って帰らなかったこと、そして若い子たちがとても楽しげだったからだ。


 若い子たちがイクス様に言う。

 「とても楽しかった。 またやりたい」

 「今度はもっと頑張って、絶対に勝つ」 ・・・・・。


 「あなたたち何して来たの? 収穫はちゃんとしたの? 採ったものはどこ?」


 「イクス様ちゃんとやって来ましたよ。

  今日使う分だけ、とりあえずこの位かなって量だけ持って来ました。

  あとは畑に竿掛けして、ちゃんと干してあります。

  ここに持って来ても干さないと収納できませんから」


 「それにしても早かったわね」


 「若い子たちが目一杯張り切ってくれましたからね」


 ナーリアたちが、これで良いのかしら、という顔をしている。

 まあ、サーブが杭にする竹を一本打った以外は、束を竿に掛ける作業しかしてないからね。


 豆の収穫が予定より早く終わったが、午前中がとても忙しかったので、できた時間はゆっくりすることとなった。


 僕は型に貼り付けておいた革を見てみると、もうすっかり乾いて、型の形で固くなっている。

 やった、上手くいった、と思って、セカンを呼んで、その革を見てもらった。

 ちょっと評価が楽しみである。

 これに身体に固定する紐をつければ完璧じゃない。


 セカンはちょっと身体に当ててみると

 「これ、どうやって作ったの?」


 「セカンの身体を思い出しながら木を彫って型を作って、それに濡らした革を貼り付けて作ったんだ」

と自慢げに言ったら、

 「その型を見せて。」


 あれ、なんか雲行きが違うなと思いつつ、型を見せると、

 「この型はダメ。 発想は良いけど、型の形がダメ。 作り直し」


 え、良く出来たと自分では思っていたのだけど。


 「まず、この胸の形が良くない。 この形だと胸が潰れて苦しい。

  こういう風に、水に入ったとき胸が浮いてる時の形にすれば、良いと思う。

  それからこの肩に向かう部分が適当すぎて、一箇所ばかりで肌に擦れる。

  もっと細かく正確に彫らないとダメ」


 セカンはとうとう着ていたモノを脱いで、自分の身体と型を見比べさせて説明する熱の入れ方になった。

 出来ていたモノは気に入らなかったみたいだけど、発想はとても気に入ったらしい。


 それから後

 熱が入り過ぎて2度も型の作り直しをさせられました。

 革を貼り付けるのも工夫して、場所によって二重張りにしたり、切り込みを入れて縫い付けたり、固定の紐の掛け方もセカンは工夫して、形として満足できるモノが出来たと思ったら、このままだと濡れるとダメになると言って、表側には木の樹脂を塗った。

 タールじゃなくて、この手もあったか。

 もう完全に僕が作ったではなくて、セカンが作ったモノになりました。


 やっとセカンが満足して、この苦行が終わったと思ったら、とにかくこのオーダーメード胸当てが、みんなに大好評というか、全員欲しがった。

 え、レンスは胸当てなんていらないって言ってなかったっけ。


 「平等は重要」

 はい、そうですね。


 結局、5人の型を彫って、しっかり全員のを作りました。

 作るために鹿も獲って、鹿肉のストックも角のストックも増えたし、他の作業も僕は極力免除で、セカンも手伝う時は免除で、まあ、良いんだけどね。


 ただちょっと、ラミアの裸に囲まれていて、ラミアの裸を彫っていて、あとは調理をするだけの生活はシュール過ぎたかな。


 終わって良かった。


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