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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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74. 木を彫る

 昼食の時、ボブに声を掛けられた。

 「アレク、昨日はありがとうな」


 「ん、何?」


 「干し肉、わざわざ届けてくれたんだろ」


 「いや、一昨日もう届けてあったんだ。

  食料係のラミアがちゃんと昨日になってから渡してくれたのさ」


 「それでもやっぱり、ありがとうだ。

  俺たちが一昨日全部食っちゃったのを知ったからだろ」


 「ああ、若いラミアに配ったりしてるの見たからな」


 「それでか。 だって、あのキラキラした目で見られたら、やらねぇ訳にはいかねぇだろ」


 「まあな。 デイヴまで分けていたのには、ちょっとびっくりしたぜ」

 二人して笑った。


「キラキラした目って言やぁ、ラーリア様とミーリア様にもされちゃって、結局二人にも進呈したぜ」


 「なんだ二人にもか。 もうそれ以上はなかっただろうな」


 「ああ、それ以上はなかった」

 もう一度、二人して笑った。


 「で、アレクはどう思った ?」


 「何を?」


 「俺たちが若いラミアにモノを教えていることをさ」


 「良いんじゃないか。 若い奴、可愛らしいしな。

  ラミアは知識を得ることを喜ぶみたいだから、良いと思うぜ」


 「ラミアに知識与えて良いのかなって思うんだよ」


 「ラミアって俺たちが教わってきたモノとは違うみたいだぜ。

  少なくとも俺たちに何か害をなそうとはしない。

  まあ、精を得ようとはするけど、それは種族特性だからな」


 「ああ、俺たちに良くしてくれようとしているのは良くわかった。

  だから今までの知識との隔たりがでかいからさ、どうして良いのか迷うんだ」


 「俺は俺たちが知ったラミアの姿が本当の姿だと思っている。

  ラミアは言うんだぜ、『ラミアは半分は人間』てさ」


 「なんだそれ」


 「ラミアは女性体だけの種族だろ、子供作るには人間の男が必要なんだってさ。

  だからラミアの父親は絶対に人間、つまり半分は人間てことだってさ」


 「そうか、ラミアは半分人間なんだ。 なんか分かってきた気がするぞ。

  みんなにも教えてやらなくちゃな」


 「そうだな、教えてやってくれ」


 ラミアと人間の間の理解が深まるのは良いことだと、今では僕は思っている。

 お互いに知らないと何も始まらない。


 午後はセカンとディフィーはお待ちかね、サーブとレンスは青息吐息のイクス様の読み書き教室だ。

 僕は一人で違うことをする。


 ちょっと考えたことがあった。

 サーブに作った様に、単純な胸当てでも良いとは思うのだけど、なんかカッコよくない。

 街にいた時に、防具屋で飾ってある女性用の防具を見たことがある。

 そのイメージがあるから、皮を当てただけというのは見すぼらしく感じる。


 女性用の防具なんて、ほとんど使う人はいないし、使うのは身分のある人がほとんどだ。


 防具屋でオヤジたちが笑いながら冗談を言っていたのを思い出す。

 「その型はどうやって作ったんだよ、まさか本物を見た訳じゃないだろ」


 「馬鹿め、普通に服を着ている姿を見て、いかに想像をちゃんとして、本当と変わらない様な型を作れるかが腕の一番の見せ所よ」


 「なんだ、頭の中の妄想が一番の腕の見せ所か」


 「ま、そういうことだな。 そこが経験の差が一番でるところさ」


 そういうことなら、僕は一番のモノができるはずである。

 裸なんて嫌というほど見ているのだから、完璧な型を作れるはずだ。

 僕はまずはセカンの型を作ろうと思っている。

 弓は作ったが、結局本人にも作らせている訳だし、手袋も作ってもらっちゃたし、一番に作らなければいけない気がする。


 僕は成長が早くどんどん大きくなるけど、その代わりにとても柔らかい木を切ってきて、その丸太を彫って型を作ることにした。

 柔らかい木だから、ノミでどんどん形つくることができる。

 大体の姿に似せれば良いのだろうから、細部にこだわらず、どんどん進めた。

 午後の時間をほぼ目一杯使ったが、型ができた。

 僕はそれに革を水湿らせて、ピッタリと貼り付けた。

 こうすれば乾けば、セカンの体型にあった革の形になるはずである。

 僕は革を貼り付けた型を倉庫に隠しておいた。


 勉強会が終わった様だ。

 前回と同様に、セカンとディフィーはまだまだ足りなそうで、サーブとレンスは疲れ切っている。

 すぐに水浴びに行くことになる。

 当然のごとくイクス様も一緒だ。


 僕はセカンとディフィーに読み書きはどうか、と尋ねる。


 「読み書きはそんなに難しくはない。 特に読むのは問題ない」

 セカンが軽く答える。


 「そうね。 私たち二人は書く練習をもう少しすれば大丈夫かな。

  もともとある程度は読めたしね」

 ディフィーもそれに続く。


 「あれが難しくないなんて、はあ」

 「嫌味にしか聞こえない」


 「ほら、二人とも頑張ろうよ」


 「そうね、セカンちゃんとディフィーちゃんはもともとある程度は読めていたみたいだから、まだ二回だけど大丈夫そうね。 すぐに許可を出せるわ。

  ナーリアちゃんもまあまあだけど、ちょっと努力かな。

  残りの二人は大いに努力、まだまだ時間がかかりそうね。 最後まで頑張ろうね」


 イクス様の厳しい評価です。

 サーブとレンスの元気があからさまに無くなっていく。


 「ところでアレクくん、ここのところ水浴びでナーリアちゃんばかり可愛がっているんだって。

  さっき話題になったよ」


 「そんな人聞きの悪い。

  僕はここのところナーリアばっかり一人別にやる仕事を押し付けちゃったから、その埋め合わせに体を洗ってあげただけです」


 「あら、それなら、お姉さんも一人で別の仕事して寂しくしているわ。

  今日はアレクくんに洗ってほしいな」


 「お姉さんて歳じゃないし、一人で別の仕事は当たり前」


 「レンスちゃん、それは言ってはいけないことよ」


 レンス、すげぇ、よく言った。

 でも、しっかり洗わされました。 拒否権なんてありません。


 夕食の時にイクス様に言われました。

 「明日は豆の収穫を若い子たちとしてね。

  ちょうど今収穫時期だから、そのままだけでなく保存する方法あるでしょ。

  アレクくんの腕の見せ所ね。

  若い子たちは、またナーリアのお姉さんたちと一緒できるって張り切ってるわ」


 ディフィー、サーブ、レンスの三人が露骨に嫌な顔をした。


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