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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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67. 30人?の昼食会

 今日、友たちの食事に、初めて肉を別個に出した。

 鹿の肉を焼いて、出来るだけ薄く切ったモノを一人当り5枚だ。

 もうほんのちょっぴりという感じで、元気だった時なら一口で食べてしまうような量だ。


 それでも僕は彼らの腹が受け付けてくれるか、体の調子が悪くならないかが心配で、

 「お前ら、腹が受け付けない様だったら、即座に止めろよ。

  少しづつ、少しづつ、良く噛んで食えよ」

と大声で仲間に言った。


 「何言ってやがる。こんなちょびっとでなくて、もっと食わせろ」

 なんてふざけた返事が来たりしたが、仲間たちは涙を流しながら、ほんの少しづつ肉を口に運んでいた。


 今日は彼らの後に30人の昼食会があるから、彼らは水浴びには行かず、部屋へと戻って行った。

 その間も僕は、彼らの誰かが調子が悪くならないかと、心配して見ていたのだが、

 「良かった、大丈夫そうだ」



 さて、次は昼食会である。

 僕はナーリア達に40人分で準備をしてもらった。

 若い子30人に、僕たち6人、それにイクス様、そしてなんとなくもう二人は増えそうな気がしていた。

 燻製肉は出来ているから、それを小さく切って串に刺してもらい、前夜から浸けておいた命の実を草の葉に盛って包む。

 藁束の中にそれらと竹で作ったスプーンを入れ込む。

 もちろん僕の分だけはちゃんと煮た命の実にしてもらい、印をつけてある。


 ナーリアたちには、僕が仲間の相手をしている時に、イクス様にちょっと無理を言って果実水も用意してもらった。


 仲間が戻った後、30人の若い子たちはワクワクした顔をして、すぐに集まった。

 イクス様の隣には思った通り、ラーリア様とミーリア様の二人もしっかりと居る。

 ナーリアたちに用意したモノを配ってもらい、食事が始まった。


 大受けだった。

 若い子たちには初めての食べ物で、見たことのないものに入って出てきたのだから、きっと受けると思っていたのだが、それ以上にミーリア様に受けた。


 「なんなんですか、これ。 命の実?

  どうやってこんな風にしたの?

  この肉と一緒に食べると美味しいって本当?」

 テンション高く、次々と質問してくる。


 そういえばミーリア様には命の実も僕の調理した肉も、食べてもらったことがなかったかもしれない。

 家の方に良く来るから、全くそんなこと考えていなかった。 忘れてた。


 イクス様、ラーリア様は落ち着いて批評している。


 「なかなかのアイデアね。 藁束の中に入れてきたのは、若い子たちが採ってきたモノだから、こんな使い方もあって役に立っているよというアピールでもあるのね」

 「この肉はこの間食べた肉と同じ様な作り方の様だが、肉の違いだけでなくて、少し作り方も違うのか」

 二人ともなかなか的確です。


 ナーリアたちは若い子たちの中に混ざって、食べ方や、「これがみんなが採ってきてくれた命の実とその茎だよ」と教えたりして、一緒に食べている。


 「ねえねえ、ナーリアさま、ねえってば」

 ふと、セカンが若い子に呼ばれているのに、気がついていないことに気がついた。


 「セカン、呼ばれているぞ」

 僕は声をかけた。

 セカンはやっと気がつき対応した。


 「ごめんね、なあに?」


 「さっきから呼んでたのに、全然気づいてくれないんだもの」


 「本当にごめんなさい。

  私、ナーリアだけど、普段ナーリアって呼ばれることないから、気づかなかった」


 「えっ、だってナーリアさまでしょ」


 「うん、私たちはナーリアだけど、普段ナーリアって呼ばれるのはリーダーだけ。

  他は違う名前で呼ばれるの」


 「違う名前?」


 「うん、私たちナーリアのグループは全部でラミアが5人と人間が1人の6人だけど、リーダーだけがナーリアって呼ばれて、他はそれぞれ違う名前で呼ばれるの」


「みんな違う名前持ってるの?」


 セカンとこの若いラミアの会話に、周りにいるラミアが皆聞き耳を立てて、静かになった。

 僕はセカンが僕のことをナーリアの一員として数えてくれていて、とても嬉しくなった。


 「そう、みんなそれぞれに名前を持っている。

  ちなみに私は『セカン』て呼ばれているの。

  それから私は、あそこにいるラーリア様やミーリア様みたいに偉くないよ。

  名前にラもミもアもつかないでしょ、みんなと同じ。

  だから『さま』はいらないよ」


 「えっ、じゃ、なんて呼んだらいいのかな?」


 「うーん、そうねぇ、普通にセカンじゃ呼びかけにくいか。

  それじゃ『セカンさん』でどうかな」


 「セカンさん。 これでいいのかな」


 「うん、それでいいよ」


 「他の人の名前は?」


 「それじゃあ、他の人にも自分で名乗ってもらおうか」

 セカンが目配せした。


 「私がこのグループのリーダーだから、そのまま『ナーリア』なの。

  私も『ナーリアさん』て呼んでね」

 「私は『サーブ』と呼ばれている」

 「私は『ディフィー』よ。同じ様に呼んでね」

 「私は『レンス』」

 セカンとナーリアが僕も名乗る様に目配せしてきた。


 「僕がこのグループでただ1人の人間の『アレク』だよ。

  僕もみんなと同じ様に呼びかけてくれると嬉しいな」


 ここでラーリア様が話を引き取った。

 「みんな、聞いてくれ。

  今聞いた通り、ここにいるナーリアたちは、みんなそれぞれに名前を持っている。

  同じ様に、これからは皆それぞれに名前を持とうという話し合いが今されている。

  だからお前たちも今のうちに自分がなんていう名前にするか考えておくと良いぞ。

  今ここにいるのは30人だけど、他の者にも広めてくれ」


 うわーっ、と若い子たちは大歓声になった。


 こうして、30人の昼食会は終わった。


 「命の実の美味しさを教えるだけのつもりだったのだけど、なんか面白い方向に話が進んじゃったわねぇ」

 イクス様は楽しげだった。


 これ以降ナーリアたちは若い子たちの人気者になり、様々な場所で一緒になる度にそこら中で声を掛けられる様になった。

 そのおこぼれで、僕に声を掛けて来る若い子もいる様になった。

 人間でも年下の子に声を掛けられるなんて経験ないので、なんか変な気分だ。


 ちなみに一つ余った分は、ラーリア様が「食べさせてやりたい娘が居る」と言って、持って行った。


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