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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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66. 弓矢作り

 また食事作りの日常が始まった。

 とはいえ、今は鹿の肉が豊富にあるので、狩をしなければならない訳でもなく、命の実があるから、芋を掘ったりの必要もない。 朝は軽く森に入り、滋養に良いという薬草を摘んできただけだ。

 その肉と薬草と命の実を煮るだけで、昼の準備ができるから楽なものである。

 最初の頃みたいに神経質に柔らかくしたりしなくなって適当になってきたのも、用意の作業を楽にしている。

 そろそろもっと普通の食事にできるかな、なんて考えてもいる。


 昼までの余裕のできた時間で、矢の作り方を教えることにした。

 矢の軸は、この間やり方を教えた後、主にレンスが反りの矯正をして、50本程が出来上がっていた。

 この矯正はやってみたら、圧倒的にレンスが上手だった。 正直教えた僕より上手だった。


 レンスは一つの場所の歪みをほぼ一発で正してしまい、調整を繰り返すということがない。

 みんな全く歯が立たなかった。

 ディフィー曰く「あれは野生の勘なのよ」

 うーん、そうかも。


 まず羽を軸の中心でしっかりまっすぐ垂直に切り分けることを教える。

 そして、二つに分けた羽の右側と左側を決して混ぜてはいけないことを教えた。


 「どうして右と左とを混ぜちゃいけないの?」

 セカンが聞いてきた


 「軸に羽を取り付けるとき、一本の矢に3枚つけるのだけど、その時その3枚は全部右側にするか、全部左側にするかにして、決して両方は使わないんだ。

  そうしないと矢を射った時に、その軌道が安定しないから、命中率が下がることになるんだ」


 「どうして安定しなくなるの?」


 「羽ってこうやってよく見ると、少し湾曲しているだろ。

  その曲がっている方向を全部合わせると矢が上手く回転してぶれなくなる。

  混ざると矢がぶれる。

  その差かな」


 ディフィーも話に加わった。

 「私たちが今までしてたみたいに挟んじゃって、上下に2枚じゃダメなの?」


 「うん、それだと矢が回転しないから、まっすぐ飛ばずに、曲がって飛ぶ原因になっちゃうんだ」


 「ふーん、いろいろあるのね」


 僕は二つにした羽の片方の軸に、鹿の筋と軟骨などを煮込んで作った糊を棒でつけて、軸にくっつける。

 同じ側の羽を取り、もう二枚軸にくっつける。

 こうやって羽とまずは簡単にくっつけておくのだけど、注意するのは羽をなるべく等間隔にまっすぐくっつける事かな。

 そしてくっつけたら、こっちの藁束に突き刺しておいて乾かす。

 とりあえずここまでかな。


 一人当たり10本ほどだから、そんなに時間のかかる作業ではないはずだが、ナーリアたちは真剣に一つ一つの作業を慎重にしたので、しっかり時間が潰れてしまった。


 昼食をいつものように済ますと、イクス様のところに寄り、若い子30人に食事を出す目処がついたことを伝えた。


 気の速いイクス様は、

 「明日にしましょう。

  この前手伝ってくれた子たちには私から伝えて集めておくわ。

  人間ちゃんたちのご飯の後で良いわね」

と早速予定を決めてしまった。


 えっ、素早いと思いつつも、やることは早くしてしまう方が良いかと気をとり直し、もう一つの用である、糸を用意してもらった。

 ラミアの衣類は基本麻製なので、麻糸は簡単に手に入るはずだと考えていたら、やはりすぐに用意してもらえた。


 家に着いたら僕は一番最初に塩漬けにしている肉を少し取り出して、塩抜きのために川に浸けてきた。

 晩飯を作る前に取ってきて、晩飯作りとともに燻製にするためだ。

 ただ焼いただけの肉は時間が経って冷めてしまうと、美味しくなくなってしまうから、燻製の方が良いと考えたのだ。

 それに明日は切るだけで良くなるから、時間と手間を考えても良いかなと。


 ナーリアたちに矢作りの続きを教える。

 軸に貼り付けた羽の先と後の部分の少しを軸を残して切り、その部分に糸を綺麗に巻いて、羽を残した部分もなるべく羽を傷つけないようにしながら数カ所糸を巻いて、羽を完全に軸に固定する。

 巻いた糸にも糊をつけて外れにくくしておく。

 鏃は今回は鹿の角の先の方や細いところを削って作ってもらい、先にはめ込み、糸で固定、糊をつける。

 矢筈は木をナイフで形作り、糊をつけて嵌め込む形で固定する。

 これで糊が完全に乾けば、完成だ。

 まあ、このままだと雨に当たると糊が溶けて、いろいろと問題になるのだけど、とりあえずはこれで良し。


 みんな2本ほど作ったとこで、セカンとディフィーだけ抜けてもらい、弓作りに入る。

 まずは採ってきてあった木をナイフで削り、一番元の弓の形を作る。

 これはセカンもディフィーも弓を作り慣れているから、どんどん作業が進む。

 僕もディフィーに長さの好みを聞きながら、形作っていく。

 弓の形が出来上がる少し前に、いつもより厚みをずっと薄く、1/4くらいにするように言う。


 「なにそれ。 それじゃ弓にならないじゃん」

とディフィーが言うのを、「いいから。」と従わせる。

 セカンは興味深げにしているが文句は言わずに従ってくれる。


 次に外に干してあった太い竹を持ってきて、竹の一番外側を付けた形で薄い板にしたものを弓の大きさに合わせて2枚、中側だけの板を一枚作ってもらう。

 また、鹿の角の太い部分を縦に割り、それをまた石で削ったりして薄い板を作ってもらう。

 そこまでの準備が整ったら、糊と鹿の筋をほぐしたものを持ってきて、準備したものを木の弓の元形に貼り合わせていく。

 曲がって欲しくない持ち手に近い部分には弓の内側になるところに鹿の角の板を貼り曲がりにくくする。 それから弓の両末端には厚めの角の板を貼り付ける。 逆に曲がって反発力が大きいと良いところには、まず鹿の筋を伸ばして貼っていき、中側の竹を一度貼り、もう一度筋を貼る。

 最後に弓の一番内側と外側に外皮のついた竹を貼って、貼り付け作業を終わる。

 そして完全に張り付くように、蔓をグルグル巻きつけて固定し、巻きつけた間に木の楔を何本も打ち込んでいって、完全に隙間なく貼り付くように固定する。

 この時、弓が少し使う時と反対むきに曲がるように楔を打っていく。

 ここまででとりあえず作業はお終いで、この後は糊が完全に乾くまで待たねばならない。


 この日の晩は、燻製を作りながら、一部を焼いて食べた。

 ちょっと塩が染みていて美味しかった。 みんなにも好評だった。


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