表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/104

62. 不意に来て その2

 僕たちは水浴び場を出て、いつもの様に服を着ていると、イクス様が、

 「あら、水浴びした後にまた服を着ているの。

  他に誰もいないから、アレクくんを隠さなくても大丈夫なんじゃない」


 「いえ、そうではなくて、これから火を使うので、着てないとやっぱりちょっと怖いですから」


 「そうだったわね。 アレクくんの発見で、そっちを忘れちゃってたわ」


 ナーリアが火を使うには着てないと、と言うと笑い顔でいじられてしまった。

 僕はちょっとどういう顔をしていいか分からずに黙っていた。


 「そういうのももちろんなんですけど、この頃火を使うことがよくある様になったら、服を着ていることが普通になって、癖になったよね」


 「ああ、そうだな。 家の中に竃があるから、家の中で服を着ているのに違和感を感じなくなったしな」


 「部屋で服着てても変に思わなくなった。」


 少し離れたところで、そんな話をしている。


 イクス様も服を着て家に入り中を眺めると、何かを見つけたという感じで、一段上がった毛皮が敷いてある部屋に向かって行った。

 敷いてある毛皮を手で押してみると、不思議そうな顔をして、毛皮を捲り上げて見ていた。


 「命の実の茎にこんな使い方があるのね。 何これ、すごく快適だわ」

 イクス様は部屋に上がり込み、毛皮の床の感触を楽しんでいる。


 僕たちはびっくりした。

 何でイクス様は一目で毛皮の下に何かあると気が付いたのか。


 「イクス様、何で、毛皮の下に何かあるってすぐに気がついたのですか?」


 「何故って、床と縁のところに段差が見えなかったから、不思議に思ったのよ」


 「イクス様、縁と段差があるって知ってらしたのですか?」


 「知ってるわよぉ。 私もここを使っていたことあるから」


 そうだった、イクス様は元ラーリア。

 ラーリア様が鮮やかにここの竃に火をつけてみせてくれたのだから、イクス様がここを知っていても何もおかしくなかった。


 「それじゃあ、私も出来るってところを見せちゃうわ」

 イクス様はあっさりと簡単に竃に火をつけた。


 「はい、それじゃあ、アレクくん、調理は任せるわ。

  何が出てくるのか、ワクワクしちゃうわ。

  手伝いが必要なら手伝うわよ」

 はい、誰も手出しも口出しもできません。


 「それじゃあ、竃のところはアレクくんに任せて、みんなは部屋でちょっとお話ししましょ」


 僕は何を作ろうか考えたが、やはり鳥で二種類作ることにした。

 ウサギでした様に、鳥の身をそれぞれに焼く部分と炒める部分に分けた。

 違うのは、ウサギは内臓を炒めたのだが、鳥は肝と心臓を他の場所の肉と一緒に、串に刺して焼き、炒めるのは皮だけ。


 そうやって僕は調理をしていたが、部屋の話は聞いていた。


 「どーお、みんなここでの生活に慣れてきた?」


 「はい、最初は火のことも含めてどうなるかと思いましたが、だいぶ慣れました」


 「イクス様のおかげで、命の実をたくさん得ることができたので、人間の食事の用意も何とかなるかと」


「それと、アレクに教わって道具をいくつか作ったので、作業が早く終わる様になりました」


 「まだ人間が肉をあまり食べることができないから、狩に困ることもまだないです」


 「この家はとても良くできているから、快適」


 みんな自慢げに報告している。


 「うん、慣れるの早かったみたいだね。 予想以上だよ。

  で、時間的にも少し余裕がある様になったよね」


 ん、みんなちょっと警戒心が働き出した。


 「そうですね、最初よりは多少」

 ナーリアがおそるおそるという感じで返事した。


 「ということで、予定通り、次のことをこれからしてもらいます。

  一つは、みんなには、字をしっかり覚えてもらいます。

  これは3日に1度、私がここに教えにくるから。

  あ、アレクくんはこれは免除、アレクくんは読み書きはしっかり出来るからね」


 「ほんとですか、イクス様。 私、嬉しいです」

 ディフィーが声を上げた。


 「私も嬉しいです」

 セカンも歓迎した。


 ナーリア、レンスはそれほどでもなく、サーブは明らかに嫌な顔をした。


 「しっかり読み書きできる様になったら、資料室・図書室の中を見る許可を出すから、頑張ってね」


 「「ありがとうございます。 頑張ります」」

 セカンとディフィーが意気込んで答えた。


 僕はラミアの集落にそういった施設があることを、新たな知識として覚えた。

 イクス様が文字が読めることは分かっていたが、ラミアの世界でも文字は普通に使われているのかもしれない。

 資料室・図書室を見れるようにするという言葉を、セカンとディフィーは喜んでいたけど、それ自体は知っていたみたいだし。

 考えてみれば、人間も村で普通に生活してたら文字なんてほとんど縁がない。

 僕らは学校に通い、知識を得る為に必要だったからにすぎないのかもしれない。


 「それともう一つは〜」

 イクス様の言葉は続いて

 「前に言われている事だけど、とりあえずミーリア5人に火の扱いを教えてもらいます。

  これはアレクくんが主に担当するようかな」


 いや、もう僕よりもラミア同士の方が、

 「イクス様、僕が教えられることは、もうみんな出来ますから、霧吹いたりのラミアだけの技術もありますし、ラミア同士の方が良いと思うのですけど」


 「そうなの、ミーリアがアレクくんにしごかれたって言ってたから、アレクくんが良いかと思ったのだけど」


 「僕はしごいたりなんてしてません」


 イクス様はちょっと問いかけるような視線をナーリアたちに送った。


 「はい、しごいたということはないかと」

 「あれでしごきとは言えない」

 「サーブより覚えが悪かったから」

 「何も困難なことをしてはないかと、私でもできましたから」


 「要するに、ミーリア様が特別出来が悪かっただけ」

 おい、良いのかレンス、そこまであけすけに言って。


 「なんだか、よーく状況が分かったわ。

  あの娘、とんでもなく不器用だから」


 僕はイクス様の言葉をわざと無視して言った。

 「火種草の見分け方はディフィーが教えて、火をつける実技はセカンが手本を見せるのが良いと思います。

  それで一対一でつけば最も良いんじゃないかと」


 「じゃ、それでやってみて。

  上手くいかなかったらまた考えましょ。

  でもそれだとアレクくんのすることがないね」


 「大丈夫です。 僕しなければならないこと抱えこんでますから」


 「そうおぉ、ま、詳しくは聞かないわ。 面白そうだから」


 ここで食事にした。

 串に刺して塩を振って焼いた鳥と、鳥皮と香草と刺激的な味のする草の実を炒めたモノ、そして水に浸して戻した命の実だ。


 「これね。 本当に美味しいわ。

  でもそれ以上に、この命の実ね。

  これはもっとみんなに食べさせてみましょう。

  まずはミーリアたちね」


 え、ミーリア様たちにも食事を出すのですか。


 「そうすると、食器が足りなくなるわね。

  用意しとくから、明日にでもこっちに戻る前に取りにきてね。

  あと、そうそう。

  命の実を採るの手伝ってもらった子たちのお礼、もう考えた?

  まだだったら、この命の実を食べさせてあげるイベント考えてくれたら、嬉しいわ。

  若い子たちがどんな反応示すかも見てみたいわ」


 え、何の話、全くの初耳なんですけど。

 サーブ、ディフィー、レンスが、しまった忘れてたという顔をしている。


 「それにしても、この床は快適ね。

  私も一緒に住ませてもらおうかしら」


 勘弁してください。 イクス様にこの調子で色々言われたら、絶対に死んじゃいます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ