55. 泣いた
夕方になっても誰も来なかった。
変化があれば誰かしら来てくれることになっているので、何の変化もないのだろう。
アレクは作業場からいつもの部屋に戻る時、命の実の剥いた後の殻も集めて、私たちの作った入れ物に入れて持って帰った。
もちろん粒を落とした茎の方(アレクは藁と呼んでいる)もきちんと纏めて片隅に集めてある。
こっちは入れ物作りに編んだりするから当然だと私も思う。
私は思いついて、自分で作った少し小さい入れ物を持って部屋に行った。
テーブルの上の乾いた殻付きの豆を入れ物に入れて片付けた。
「偉いな、ぼーっとしてるのに、よく気がついたな」
「あのねぇ、昼に食べ物を取ってきた時に見たからよ」
サーブに褒められたが、ぼーっとしてるは余計だと思う。
だんだんアレクがまた暗くなっていく。
「食事の準備をする」
というとアレクは竃に火を点け、自分の小さな鍋に浸しておいた命の実を入れ、煮はじめ、昨晩ディフィーが入れた煮た肉を竃の端の窓になっている部分から取り出した。
アレクはちょっとだけナイフでその肉を切って食べてみて味見をすると、フッと外に出て行った。
私が追おうかと思ったら、レンスが素早く付いて行ったので任せた。
アレクはサーブがとってきたのと同じ大きな葉を取って来た。
私は明日にでも忘れずに普通の木皿をもらってこようと考えた。
そうこうしているうちに命の実も煮えたらしい。
アレクはみんなの分の肉も少しづつ切って葉にのせてくれて、自分の深皿には煮た命の実を、みんなの分はセカンに頼んで浸しただけの命の実を深皿によそった。
食事が始まった。
肉は少し塩味が付いているだけでなく、煙で燻されているので香ばしい香りがついていて、また少し辛味もする。
全く食べたことのない味だが、やっぱり美味しい。
命の実もエネルギーは粒にたくさんある上、一度に数多く食べれるので、とても効率が良い。
肉と命の実で、とても美味しく食べられる。
満足できる食事なのに、誰も声を出さない。
沈黙が支配し、空気が重くなっていく。
何とかしなくちゃ、と思うのだけど、アレクから黒い霧が出ている様な感じで、誰も声を出さない。
ふと、家の扉が開いた。
みんな、びっくりしたが、入って来たのはラーリア様だった。
「ほう、食事の最中だったか。
何だか珍しいものを食べているな。 私も相伴できるか?」
セカンが深皿を取ってきて、(イクス様は私たちの人数分を渡してくれたのだが、アレクは自分の食器を持っていたので、一つ余分があった) 浸した命の実をよそい、アレクは新たにラーリア様の分の肉を切って用意した。
ラーリア様は深皿の中身を見て、
「これがお前たちがイクス様に報告した命の実の食べ方だな」
そう言って、スプーンで一口頬張ると、目を大きく開いて驚いた表情をした。
次に一粒だけを食べてみると
「なるほど、一粒でも実った時とそんなに変わらないエネルギーを感じるな。
それをこうやって一度に数多く食べるから、こんなにエネルギーを感じるのか」
私はラーリア様に少しアドバイスする
「あの、そっちのアレクが作った肉も一緒に食べてみてください。
きっともっと美味しく感じますから」
ラーリア様は忘れていたという感じで、肉も食べてみた
「初めて味わう味だな。 どう表現して良いのかわからない」
そしてまた一口命の実を口に入れた。
「なるほど、ナーリアの言う意味がわかったぞ。 確かに美味いな」
もう一度同じ様に確かめてから、ラーリア様はアレクに言った。
「そしてお前は、命の実を煮た物を食べているのか?」
「はい、人間は煮ないと食べられないので」
少しアレクが焦れた様な感じで答えた。
ラーリア様は少し笑いを含んだ顔で
「少し意地悪をしてしまったな。
アレク、喜べ。 人間たちの意識が戻ったぞ」
アレクが目から涙をブワッという感じで流し始めた。
「僕、意識が全く戻らないと聞いていて、僕以外の人間がみんな死んでしまうのかと思って」
言葉も嗚咽が混ざってしまう。
「大丈夫だ。 まだやっと果汁を混ぜた水を少しだけ飲めるだけだが、全員意識は取り戻した。
これからアレクが食事を用意してやれば、きっとみんな元気を取り戻すさ。
大丈夫だ。 もう心配はいらないぞ」
「ありひゃとうごらいまふ。 よろひくほねらいしらす」
もうアレクの言葉はまともな言葉になってない。
「さて、私はここに長居していられない。 もう行かねばならない。
ナーリア、今アレクに言ってもダメそうだからお前に言っておく。
明日は人間の体に良い、味が薄くて飲みやすいモノを何か用意する様に。
ラミアには何が人間の体に良いのか、よく分からないからな。
頼んだぞ」
そう言うと、ラーリア様は戻っていかれた。
アレクはまだしばらく泣いていた。
少しすると、大きく深呼吸を2度3度繰り返すと急に
「何だか安心したら出したくなった。
次誰だっけ、ディフィーかな、早くこっち来い」
と命令口調で言うと、自分から寝床の方へスタスタと行ってしまう。
ディフィーが、「もう何なの、急に出したがるなんて」
と言いながらアレクに近づくと、アレクはディフィーの手を引っ張って敷いてある毛皮に寝かすと、自分からディフィーに触って攻め始めた。
「うわっ、初めから激しい」
とびっくりした表情のディフィーだったが、おあずけされていたのもあってか、目をキラキラさせて自分でもアレクへ攻撃を始めた。
だが長くは持たず、
「ああ、ダメ。 まだちょっとの時間だけしかしてないのに、もう駄目だから思いっきり出して」
と言うとアレクを両手でしっかりと抱え込んで、体を震わせた。 アレクもその刺激で、してなかったからか大量に放出したみたいで、ディフィーはピクピクではなく尻尾の先までビクンビクンさせると、ふとパタッと力が抜けて伸びてしまった。
「あー、ディフィー、伸びちゃった。」
とレンスが感想?、実況?。
アレクはディフィーを離すと、
「まだ足りない。 次、サーブ、来て」
サーブは嬉しそうに、
「アレク、今日はまだ出せるのか。 私は最初から激しくていいぞ。 激しくしてくれ」
と言いながらアレクに近づき、仰向けに横たわり、
「思い切り乱暴に扱ってくれて良いからな」
と自分の希望をもう一回言って、腕はアレクを抱きしめた。
アレクは最初はサーブを触ったりしようとしたが、サーブが強く抱きしめるので、それを諦め、出すために自分本位に腰を動かすことにしたようだ。
サーブは自分の希望通りにされて、とても嬉しそうだと思っていたら、すぐに
身体をビクビクさせ始めてしまった。 白い瞳の目は裏返って、白目になっている。
アレクが腰を振るたびにビクビクしているのだが、アレクを抱きしめる手はずっと緩まない。
「うわっ、サーブ、ずっと何度もピクピクさせちゃっている」
今度はセカンが評した。
サーブはとうとう、ピクピクじゃなくて、身体をバタンバタンという感じで暴れさせている。 それでもアレクを抱きしめて離さない。
アレクもその強い刺激に、限界を迎えた様だ、思いっきり深く入れて出したみたいだ。
サーブは一滴も無駄にしないぞという感じで、アレクの精をきつく身体を抱きしめたまま飲み干している。 全部飲み干したな、と見てて思ったら、パタっと腕の力が抜けて、完全に伸びてしまった。
「流石にもう無理だろうけど、これだけ見せつけられると、私たちもしたいよね」
セカンがそう言った。
「うん、したい。 腕枕してもらって抱きつくだけじゃなく、アレクに触ってももらう」
レンスがそう答えた。
「私は次の番だから、明日の朝でいいわ。
二人に譲るよ」
伸びている二人の脇で私たちは寝る体勢を作る。
レンスとセカンは両脇から抱きついて、アレクの手を取って自分も触らせて二人とも競う様に盛り上がっている。
私はアレクを膝枕してやりながら話しかける。
「アレク、良かったね。 みんな無事で。
大丈夫だよ、みんなきっと元気になるよ。」
また薄っすらアレクの目に涙が溜まったきた。
我慢しているみたいだ。
「泣いたの恥ずかしかったの?
平気だよ、誰も気にしないよ」
私がそう言うと、アレクは頭を少し持ち上げて視線を私の顔に向けると、口を少し開けて舌をチロチロと動かして見せてきた。
意図を察した私は胸をアレクに近づけた。
アレクは私の胸に吸い付いた。
あはは、アレク、何だか赤ちゃんみたい、と私は思った。
あれっ、私が3人で一番良い思いをしているかな、2人に文句を言われるかなと思ったら、2人とも疲れていたのか、その前の刺激が強かったからか、すぐに満足して眠りに落ちたみたいだ。 盛り上がっていると思ったら、もう寝息を立てている。
私も、何だかアレクに母性本能を刺激されている感じだったのだけど、すぐに眠りに落ちてしまったみたいだ。




