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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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54. 小雨の日

 今朝は私は昨日の朝よりも良い目覚めだった。

 昨日の朝はよく眠れなかったせいか、天気が悪いせいか、気持ちの良い目覚めとはいえないものだった。

 昨晩はその寝不足の為か、それともアレクも寝不足と気疲れからかすぐに寝息をたてたので安心した為か、私もすぐにグッスリと寝てしまった。

 アレクの調子がどうだったのかが気になり、サーブ、ディフィー、レンスを見てみるけど、これといって殊更心配している様子はないから、大丈夫だったのだろう。

 セカンは私ときっと同様だっただろうから、何かあっても気づいてなかった可能性が高いからね。

 それでも今朝もディフィーが触りにいってない所をみると、アレクはまだ元気にはなっていないのだろう。


 とりあえず朝は残っていた果物などを食べた。

 アレクはまだ肉を食べれるが、私たちはそれだけではエネルギーにならないので、今日は貰いに行くか、何かを収穫に行かなければならない。

 まだ小雨が降っているから、昼前に貰いに行くかな。


 今日のアレクは昨日よりはまともで、まだ元気はないが、普通に私たちとの会話の受け答えをしている。

 小雨が降っているから、今日も作業を続けようと思い、みんなで作業場の方に行く。

 作業場は、前と違い、ほとんどが命の実の束で埋まっていて使えるスペースはわずかになっている。

 まあ、狭くはなっているけど、6人で作業ができない訳でもない。

 アレクはそれを見て、ちょっとびっくりした顔をした。

 やっぱり昨日は認識できてなかったんだろうなあ、と私は思った。


 主に私とセカンで作った櫛の歯の数を見るとアレクは

 「ちょっと少なめだけど、もう足りるかな。 ちょっと待ってて」

と言うと、昨日のサーブの様に、濡らすのを避けるために着ている物を脱いで外に出ようとする。

 私も急いで脱いで、一緒に外に出た。


 アレクは外に出ると少し森の中に入り、道具を作るのに使うのであろう、ちょっと太めの木の枝など、落ちている物を他の物を叩いたりして強度を確かめながら選んでいく。

 私はその後をついて、選んだものを受け取って持ち運んだ。

 アレクは木の枝が終わると、今度はツタを取っている。

 きっと縛るのに使うつもりなのだろう。

 私とアレクはそれらを持って、最後に水場で体についた汚れと、持ってきた物の汚れも流して、家に戻った。

 今度は私たちが拭いてもらう番だった、主に私だけど。


 アレクは作った歯を綺麗に重ねると、木の枝をナイフやノミで削ったりしながら、歯を器用に櫛状に動かない様にツタで縛って固定した。

 そしてそれを木を組んで作った台に固定した。


 「はい、できたよ。

  ナーリア、束を持って、ここに乗って体重をかけたまま、櫛の所に束を引っ掛けて引っ張ってみて」


 アレクは外に手伝いに出た褒美にか、私にその道具を一番最初に使わせてくれた。

 簡単に、綺麗に、命の実の粒が茎から離れ、下に落ちた。


 「あ、下に何か広げておかないと、後で粒を集めるのが大変になるな」


 「とりあえず私が毛皮を一枚持ってくるわ」

 ディフィーが取りに行った。


 「命の実の粒を入れておく入れ物も必要だな」


 「何か袋をもらってこないとダメかな」

 サーブがそう提案すると、アレクは

 「入れ物は作れるよ」

と言って、粒を落とした茎の方を編んで、入れ物を作る方法を教えてくれた。


 この命の実の茎を編むのは、どういう訳か器用なセカンよりもサーブの方が上手だった。

 気を良くしたサーブはいい調子で編んでいく。

 どうしてか分からないがレンスが対抗心を燃やして、一緒に一生懸命編んでいる。

 私は道具で粒を落とすのをディフィーに任せ、セカンを誘い、明日の朝までの食料を貰いに行こうと思った。


 「濡れるの2回目になるから、私だけでもいいよ」


 セカンがそう言ってくれたが、

 「向こうの様子をイクス様に聞きたいから、私も行くよ」

 「ならいいけど」


 私はまた服を脱いで、

 「あっ、火使わないんだから、さっき着る必要なかったんだ」

と言ったら、サーブも

 「なんだか昼間は着るのが癖になってきた気がする」

と、茎を編みながら答えてきた。 サーブにしては器用だなと思ってしまった。



 食料を求めカウンターに行き、周りに人が居ないことを確認して、イクス様に聞いてみる。

 「イクス様、何か聞いていますか?」


 「まだ私のところにも何も聞こえて来ないわ。 アレクくんは?」


 「昨日よりはマシですけど、まだ全然元気はないです」


 「ま、仕方ないわね。

  何か分かって、二人ともそっちに行けない時は、私が行って教えてあげるわ。

  安心してなさい」


 「はい、ありがとうございます」



 家に戻るとテーブルの上に乾いた豆がまだ鞘ごと山になっていた。

 どうやら袋を使うことにして、中身を零して行ったみたいだった。

 食べ物を置き、仕事場に戻ると想像通り、袋に命の実の粒をとりあえず入れている。 サーブとレンスの編んでいる入れ物がまだ出来上がっていないので、出来上がればそちらに入れるのだろう。


 アレクは昨日から作っていた道具の最終調整をしている様だ。

 丸太を重ねた様な道具の上に、命の実の粒を零し、そして上の丸太をそれについた棒を使って回している。

 何回か回しては、二つの丸太を摺り合わす部分に掘った刻みの深さを調整したり、丸太をつなぐ心棒の長さを調整したりしている。

 そして納得がいったのか、眺めていたセカンを呼んで、その道具を回させている。

 アレクは上の丸太に開けてあった穴に、命の実を入れている様だ。

 回していると、二つの丸太の隙間から、殻が剥かれた実が出てきた。

 なるほど、これで手で擦り合わせなくても良くなる訳か。


 セカンはアレクに回していると、棒と手が擦れる、と文句を言った。

 アレクはちょっと待ってというと、今度はすぐに戻るつもりだからか、脱がずに表に出て行って、すぐに戻ってきた。

 アレクは外から持ってきた竹を半分に切り、節の所に補強の為か、朝縛るためにとってきたツタの残りを少し詰め、その竹を回すための棒に被せた。

 竹の中で棒が回るので、手は擦れない様になった。

 アレクはちょっと、どんなもんだいという顔をセカンにしてみせている。

 うん、昨日よりはだいぶ気分がマシになっている。


 貰ってきた物を食べたりして休憩しながら、今日は作業を進めた。

 セカンが今日食べる分だけの命の実を、作った道具で剥いたのだが、まだ殻と実は一緒にあるので、手で上から落とし息を吹きかけて、選別した。

 アレクはこの作業も、もっと簡単にできる様にすると言っている。


 実を茎から落とす作業はどんどん進み、もうサーブやレンスが作った入れ物にも入れている。

 入れ物作りが間に合わないので、私は剥いた実を水に浸してきてからは、セカンと一緒に入れ物作りに参加した。

 編むのはサーブみたいに上手くいかなくて、時々実を落とす作業の方をしたが、そっちの方がずっと楽しかった。

 編む方が楽しいのは、サーブだけの様だ。


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