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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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48. 楽観と予感

 家に戻り、午後は何をするか話し合う。

 今日はミーリア様も付いて来なかったから、僕たちで自由に考えられる。


 「アレク、明日はどうするんだ?」

 サーブが聞いてきた。


 「まだ豆があるから、今日のスープに肉の量を増やすくらいでいいんじゃないかと思うんだ。

  まだまだ体調が良くなさそうだから、少しづつ慣らしていかないといけないと思うし」


 「それじゃ、何かを一生懸命採りに行ったり、なんてことは必要ないってこと」

 「のんびり?」

 ディフィーとレンスが即座にのんびりムードを作ろうとする。


 「んー、どうかな。

  朝、セカンとディフィーが命の実がどうとか、っていう話をしていたじゃん。

  命の実って何なの?」


 「人間の言う穀物のことらしい。 ラーリア様がそう言ってた」


 「セカン、それって本当?!!」


 「分からないけど、ラーリア様は確かにそう言ってた」

 セカンは同意を求めるようにナーリアを見た。

 「うん、確かそう言ってたと私も思うよ」


 僕は本当に興奮してきた。

 穀物が手に入れば、僕たち人間の食生活はほとんど困らなくなる。


 「その命の実って、たくさん集めてあるのかな?」


 「いや、最低限しか集めてないだろう。

  ラミアは実った時に、まだ小さいラミアがおやつ代わりみたいにチマチマ食べるくらいで、あまり食べないからな。

  でも、ラミアの掟で、命の実は毎年ある程度の量は作っているんだ。

  だからその為の種の分は集めてある」


 「えっ、ラミアって作物を作ったりもしてるの?」

 僕はサーブの言葉で新しい知識を得た。


 「当たり前じゃない。 今日の豆だって、作ったものよ」

 ディフィーがさも当然だと言う。


 「そうか、だとすると命の実の余剰分はないんだ」

 僕はとってもがっかりした。


 「どうかしら。 命の実は粒を取るのが面倒だから、種として蒔く分は取るけど、それ以上は取らずに毎年放置してたりするから。

  だから、蒔かなくてもある程度は出てくるんだけどね。

  でも掟でちゃんと作るのよ」


 「ということは、もしかしたら、取らずに放置されているのがあるっていうこと?」


 「そうなるかしら」

 ディフィーが自信なさそうに答えると、僕を慰めるようにナーリアが言った。

 「もし無くても、もう少しすると水辺の方のヤツが実るから、その時には採れるわ」


 えっ、それってもしかして。

 僕は逸る心を抑えて言った。

 「とりあえず、その命の実の植えてあるところに連れていってみてくれないかな」


 行ってみた現実は、僕が夢見た光景よりも素晴らしかった。

 そこにはすごくちゃんとした麦畑が広がっていて、収穫されないまま放置されていた。

 確かにもうかなりの実が落ちてしまっているけど、まだまだ穂は付いている。


 「これ、全部欲しい。 何日かけても全部採る」


 「えっ、この穂を全部採るの?」

 いやそうにレンスが聞いてきた。


 「違う。 穂だけじゃ無くて、根元で切って茎も全部採る」

 もっと嫌そうにディフィーがいう。


 「そんな邪魔で面倒なだけじゃない。 運ぶのだって場所とるし」


 「いや、その方が絶対に後から楽だし、色々役にたつから。

  騙されたと思って、僕の言う通りにして」


 とりあえず両手で持てるだけ採って戻ることにして、僕はナイフで根元から切り、それをある程度の量で束ねて持ち易くするという、収穫法を教えた。

 みんなそれに倣って、両手に持てるだけ採ってくれた。

 そこから僕は意気揚々と、ナーリアたちは訳が分からずという感じで家に戻った。


 僕は家に戻ると、みんなに言った。

 「ちょっと待ってて、今から簡単な道具を作って、それを使って見せるから」


 僕は竹を削ってヘラのようなものを少し作り、それを重ねて持って、櫛の様な感じにした。

 そしてその櫛の歯に、採ってきた命の実の付いた茎を梳く様に引いた。

 綺麗に実の粒が落ちた。

 「ほら、こうすれば簡単に実が取れるんだ。 

  今は実験だから道具が小さいけど、これをもっと大きくすれば、たくさんの量を一度に実を別に分けることができるんだ」


 「そして乾いていると、擦り合わせると簡単に外側の殻が取れる」

 僕は実を両手の間でこすり合わせて見せる。

 実が外側の殻から出た状態で一緒に落ちていく。


 「そしてこの実と外側とが混ざっているのを風を当てながら上から落とすと」

 僕はひとつかみの実と外側が混ざったものを、口で吹きながら上から落とす。

  「外側の殻は風に吹かれて、軽いから離れて飛ぶのさ。それで落ちた場所が分かれる。

 これで外側がなくなった実になっている」


 「もしかしたらその外側が無くなった乾いた実を、豆と同じ様に水に浸けるの?」


 「ディフィー、正解。 よく分かったな」


 「朝、もしかしたらってセカンと話してたのよ」

 セカンもうなづいている。


 「これもしかしたら、ラミアも食べれる?」


 「うん、たぶん豆と同じようになるんじゃないかと思うんだ。

  豆より粒が小さいから、少ない時間で戻りもするんじゃないかと思う」


 「だとしたら、ラミアにとっても有意義。 なぜ命の実っていうか理解した」

 セカンはそう言った。



 セカンとディフィーはここまでで納得したようだが、後の三人はまだピンときていないようだった。

 試しにみんなに僕がしたことを真似してもらい、出来た実を集めて水に浸しておく。

 これが十分に戻れば、三人もきっと納得するだろう。


 「今は、手を擦り合わせて実と外側を分離させたけど、これももっと楽に出来る道具があるんだ。

  もしかしたら、イクス様に聞けば、あるかもしれない。

  無くても作るための道具があるんじゃないかなぁ。

  イクス様に相談したいから、誰か一緒に行ってくれないかな」


 「それじゃあ、今度は私が行こう」

 サーブが買って出てくれた。


 「私も行く。 サーブだけだと、何故欲しいのと理由を問われたら、答えられない気がする」


 セカンもついてくると言うのだが、良いのかその言い方で。


 「ああ、助かるよ」

 え、サーブ、あっさり認めちゃうの。


 「イクス様、木臼ってありますか?」


 「『きうす』って知らないわ。 どんな物?」


 さすがに、木臼はどの様な物か説明したのだがイクス様も見たことが無く、ないと言う。

 僕があまりに興奮気味に語るので、イクス様はサーブとセカンに「どうしたのか?」と訊ねる。

 セカンが豆を水に浸したところからの経緯をイクス様に教えると、イクス様はとても興味深く聞いていて、

 「確かにそれはラミアにとってもとても有意義な話ね。」とセカンとうなづいている。


 僕はその後、木臼を作るためにノミがないかを訊ねると、これは形を教えるとイクス様は数本のセットを見つけ出してくれた。


 「イクス様ありがとうございます。

  これできっと僕は友だちを救うことができると思います。

  穀物さえあれば、食べることはどうにかなりますから」


 イクス様は難しい顔をして言った。

 「私はそんなに簡単にはいかないんじゃないかと思うわ」

 僕はちょっと浮かれていたのを反省した。


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