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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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47. 味見

 家に戻った僕は、今度は自分ではやらず、練習を兼ねて、セカンに竃に火を点けてもらった。

 火種草を揉むところから全て一人でやってもらったのだが、セカンだけでなく、みんながそれを緊張した面持ちで見守っている。

 何だか仰々しくて、可笑しい。

 セカンは火種を竃の薪に移すところで、消えかかって慌てていたが、上手く持ち直して、竃に火を点けることに成功した。

 初めてで、一発で成功するのだから、本当にセカンは器用だと思う。


 今回は大きい鍋なので、一番直接火が当たる大きな口の蓋を直ぐに外させ、鍋を火にかける。

 そうしてから、早く豆が煮える様に、薪を足して火を大きくした。

 セカンにはそのまま火の番をしてもらうことにする。

 薪を足す時にセカンは霧を腕に吹きかけながら足している。 ラーリア様が初めてここで火を扱うのを見せた時にしていた技だったが、それを真似てみて、直ぐにコツを覚えたみたいだ。


 もう僕が教えるよりセカンが教える方が絶対良さそうだ。

 「セカン、薪を足すの、他の人にもやらして、コツを教えてあげて」


 僕はその場をセカンに任せて、テーブルで少し持ってきた肉を細かく切ったり、

昨日も使った木鉢や棒を用意したりしていた。


 しばらくして、豆の様子を見ると十分煮えた様で柔らかくなっていた。

 僕は一度鍋を火からおろし、豆を掬って木鉢に入れていった。


 「これに少し水を加えて、棒で潰すようにしてくれるかな。

  潰すのが目的ではなくて、そうすると豆の薄い皮が剥がれるから、それを取り除いてくれるかな。

  完全じゃなくて、大体で構わない」


 僕はそう頼み、自分は鍋の水を換えてきて、細かく切った肉を煮始めた。

 今度はその鍋についていて、浮いてくるアクをしっかり取り除いた。

 その鍋に、少し潰されて薄皮を大体取り除いた豆を戻し、森でついでに採ってきた香草もちぎって入れて、塩で味を整えた。

 豆のスープができた。 我ながら上出来、美味い。


 「一人一人に配る深皿とスプーンて、あるのかな?

  作ってしまってから言うのも変なんだけど」


 僕はスープを配ることを考えて初めて食器の問題に気がついた。

 ラミアにそういうものがなかったら、みんなの個人荷物を今から探さねばならないな、と僕は考えた。


 「大丈夫、普通にあるよ。

  でも言わないと食事の場に用意されてないと思うから、私が伝えてくるよ」

 ナーリアがそう言ってくれた。


 「ありがとう、それじゃあお願い。

  それと暖かい状態でみんなに飲ませたいから、時間の目処がたったら教えて欲しいのだけど」


 「え、それって向こうで準備が整うのを待って、私に伝えに来いっていうこと」


 「そうなるかな。 お願いできないかなぁ」


 「向こうで待っているのは嫌なんだけど、仕方ないか」


 「私が付き合って一緒に行く」

 レンスがナーリアに付き合いを申し出た。


 「二人なら、まぁいいか」


 「それじゃ、二人ともよろしく。 あ、僕の分の皿とスプーンもよろしく。

  昨日は僕は食べれなかったけど、今日は僕も食べるぞ」

 ナーリアは笑ってレンスと一緒に出ていった。


 「私たちは戻ってくるまで、何をしてるんだ」


 これといってしなければならないこともないから、「のんびりしてようよ」と言おうとしたら、

 「そんなの味見に決まってるじゃない」

とディフィーが即座に言った。



 「私も味見がしてみたい。 私たちも手伝って作ったのだから、味見をしてみる権利はある」

 セカンも賛成している。


 「でもあれだけ火を通してしまったら、ラミアに得られるエネルギーはないだろ」

 サーブが否定的な意見を言うが、


 「エネルギーだけじゃないでしょ。 味には興味があるじゃん」


 「ラミアだって、美味しいものは美味しい。 人間の味覚との違いも確かめるべき」


 「まあ、そう言われればそうかも」


 僕は自分の荷物の中から深皿とスプーン出し、それに出来たスープを入れて、三人の前に出した。


 言い出したディフィーから味見を始めた。

 「あら、確かにエネルギーは感じられないけど、美味しいわ」

 「うん、美味しい。 ラミアが普段食べるモノにはない味だけど美味しい」

 「うん、そうだな。 悪くはないな」


 豆のスープは三人のラミアにも好評だった。

 そんなことをしてるとレンスが戻ってきた。


 「そろそろだって。 って、何してるの」


 「え、味見」 とセカン。


 「私もする」

とレンスも味見を始めたので、僕はサーブに手伝ってもらって、小さな火にかけてあった鍋を荷車に載せる。


 「セカン、火のついている薪を脇の灰に埋めちゃって火を消してくれるか」

 「わかった」


 一応最後に僕も火が完全に消えていることを確認して、急いで昼の会場に向かった。

 会場ではナーリアが皿をすぐにスープを入れて配れるように用意しておいてくれた。

 みんなに手伝ってもらってすぐに配り、食事が始まった。

 もちろん僕は自分の分も今日は確保した。


 友たちを見てみると、今日はみんな自分でスプーンを使いスープを飲んでいる。

 昨日より、それだけでも少し元気になっているような気がする。

 スープも好評なようだ、良かった。


 「みんなはあっちで何してたの?

  来るのがちょっと遅い気がしたけど」


 「戻ったら、みんなで味見してた」

 レンスがバラした。


 「ええ、何それ。 レンスもした?」


 「ん、美味しかった」


 ナーリアが食べるのをやめて、頬を膨らましてむくれた。

 「私だけ味見してない!!」


 ナーリアの眼光に負けて、おずおずと提案する。

 「ナーリア、僕のだけど、少し食べてみる?」


 当然という感じで皿とスプーン受け取ったナーリアは味見をした。

 「本当だ。 美味しい」


 ナーリアも味見したことで、僕たちは味論議になってしまった。


 それをチラチラ眺めていたラーリア様はボブに言って一口貰って、ちょっと感心したみたいだ。

 それを見ていた他のラーリア様たちもそれぞれの相手に頼んで味見している。

 みんな興味があるのね。

 ミーリア様たちが私もと続いて良いのか迷っている。


 僕たちは昼食の後、急に深皿とスプーンを用意してもらったので、イクス様にお詫びとお礼を言いに寄った。


 その時、ちょっと赤い顔をしてサーブがイクス様に

 「家の方に私たちの分の深皿とスプーンが欲しいのですけど、貰えますでしょうか」と交渉した。


 イクス様はニコッとしただけで、人数分の深皿とスプーンを用意してくれた。


 サーブ、もしかして味見が気にいった?


 別れ際、イクス様にこう言われた。

 「アレクくん、次は私にもちゃんと味見の分持ってきてね」


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