46. ラミアの狩
どうも僕の方がナーリアたちより目覚めるのが遅いらしい。
と言うより、まだ外に建つ家に慣れなので、朝白み始めると明るさで目が覚めてしまうらしい。
僕はまだそこまで地中の生活に慣れてなかったみたいだ。
「サーブはダメね。 アレク完全に起きちゃったじゃない」
「自分の番だというだけで、サーブは興奮して匂いを撒き散らすんだから、その匂いを思いっきりアレクに嗅がせれば、それで放出してくれるんじゃない」
「サーブは工夫が足りない」
「いいから、早く出させちゃいなさい。 今朝は狩でしょ」
なんだかすごい言われよう、というか君たち何やってるの。 僕が目覚める前から、遊んでいるわけ?
いや、朝の一発出すけどね。 一応最初に、朝晩の2回、そのくらいと約束したし、なんか段々習慣化してきているしね。
サーブ、何、負けたって顔してるの。
とりあえず外の水場でサーブと水を浴びた。
戻ってきてみるとセカンが水に浸しといた豆を興味深そうに見ている。
「アレク、乾いていた豆が水を吸って大きくなっているのだけど」
「ああ、十分戻ったみたいだな。 狩から戻ったら、これを煮るんだ」
「この水に浸した豆、丸々としていてなんだか美味しそうに見えるのだけど、一つ食べてみてもいい?」
「ん、構わないよ。 食べれる?」
「うそ、あんなにカラカラでほとんどエネルギーを感じなかったのに、ちゃんと実った時の様に、エネルギーがある」
「えっ、何、それ本当。 私も食べてみる」
ディフィーも寄ってきて、豆を一つつまみ出して、食べてみる。
「本当だ。 しっかりエネルギーが戻っている」
「そりゃそうだ。 これが芽を出すんだからな」
僕はなんとなく、ラミアの食べ物のエネルギーということが分かってきた。
「ラミアって一度乾かしたモノを、戻して食べるってしないの?」
「どうだろ。 私たちが知らないだけかもしれない」
セカンが答えてくれた。
「あ、本当だ、結構美味しいね、これ」
「ああ、実った時に食べた時とあまり違わない気がする」
「そこまでじゃない。 でも、美味しい」
ナーリア、サーブ、レンスも食べている。
「もう、駄目。 おしまい。 今日の昼用に使うから駄目」
「もっと浸せばいい」
「戻るのに時間がかかるんだ、今そんなに量ないよ。 とにかく今は駄目」
僕はレンスの要求を突っぱねるのに懸命だった。
ディフィーとセカンが話しているのが耳に入った。
「豆でこういうことができるなら、命の実でもできるんじゃない」
「でもあれは小さいから外側を剥くのが大変だから」
「そうね。 そこが問題よね」
ん、なんか気になるぞ、後で聞いてみよう。
軽く朝飯を終え、森に入っていく。
昨日仕掛けた罠に何かかかってないかと思ったが、さすがになかなかかかっていない。
ダメかなと諦めかけていたら、ディフィーが教えてくれた。
「あそこに罠あるよね。 かかっているわ」
「まだ見えないけど、分かるの?」
「見えない? 何かがかかっている熱が見えるわ。 多分ウサギね」
そうでしたラミアは人間と違い、熱も見える。
本当にウサギが括り罠にかかっていた。
「どうしようかな。 本当は解体の直前まで生かしておく方がいいんだけど、カゴも袋も今日は持ってないや」
そう言って僕がナイフで殺してしまおうかとしていたらレンスが
「殺さずに持っていけばいいの?」と聞いてきた。
「うん、できればね。」と言うと、レンスばウサギに霧を吹いた。
「これでいい?」
「うん、ありがとう。」 僕はあっけにとられた。
「この辺り、ウサギは結構いるわね。」と、ディフィーが言うと、
「私が一匹獲ってくる。」とレンスが音もなくあっという間にいなくなった。
ほんの少しの時間で戻って来ると、手にウサギを持ってきた。
「何したの? どうやったの?」
「風下側から近づいて、霧吐いただけ」
「ウサギで良いのなら、私たちも獲ってこようか?」
サーブが聞いてきた。
「いや、今日は二匹で十分。 もう戻ろう」
帰り道、僕はナーリアに聞いた。
「ラミアの狩って、あんなに簡単にできるの?」
「ま、ウサギなら毒霧で一発だから。
レンスは全く音立てないし、速いからちょっと特別だけど、私たちでもまあ獲れるよ。
もっと大きい鹿とか、猪になると、毒霧一発とはいかないから苦戦するけど。
後、鳥とかも毒霧を掛けられれば、大体は一発かな」
やっぱりラミア、人間とは違って凄いです。
でも、背に背負っている弓とかの話が出ないのですけど。
「それよりも、あの罠って本当に獲れるんだね」
「私もあれは感心した。 勝手に獲物がかかるんだから、凄いよね」
セカンが称えてくれたけど、なんか地味だよなぁ。
家の近くに戻っての解体はまともに感心してくれた。
まず川原の近くの木の枝にウサギを逆さに吊るし、頸動脈を切って血抜きをしっかりとした。
毛皮を剥いだら、一度川の中に入れて冷やす。
ウサギの体温を感じなくなったら、内臓を取り出し、食べられる部所とそうでない部所を分けて、食べられる所はより丁寧に処理する。 その間も他の部分は川の中。内臓が終わったら、骨を外し、肉もそれぞれの部所に分ける。
これらの作業中も血はなるべく洗い流す。
ラミアは毛皮を取るだけしかしないので、解体にこだわりがないのは仕方ない。
取った毛皮をどうするのかというと、鞣したりを専門にする係があるのだという。
僕は肉を手に入れるのが、随分久しぶりな気がした。
今日の昼に、肉を使うか迷うところだけど、うーん、どうしようか。 ちょっとだけ入れて、味を出そうか。
少しだけの肉を持って家に戻ることにし、他は川に浸けておいて、ある程度の大きさの石を乗せておいた。




