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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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43. ミーリア様の誤算

 家に戻る時、荷車を引く役は僕が自ら買って出た。

 来るときは木鉢を持つ役に立たず、肩身の狭い思いをしたから、戻るときにこの程度のことをしなければいけないと思ったからだ。


 「どう、明日の分に関して何か思い浮かんだ?」

 ナーリアが聞いてきた。


 「うん、大丈夫。 あの袋の豆があるから」


 「あんなの食べられるの? カラカラに乾いているよ」


 「大丈夫だから、任せて」


 どうやらラミアには乾いた豆を調理して食べる文化はないようだ。

 というか、ラミアには調理するという習慣がないのだろうか。


 「だとすると、この午後は何をするの?

  明日のための食材集めはしなくて良くなったみたいだけど」

 ミーリア様が口を挟んできた。


 「明日の準備が完全になくなった訳ではないですけど、確かに食材集めは必要なさそうです。

  それで、この午後なんですけど、まだ家やその周りのことをよく確かめられてないので、色々確認したいと思うんです。 まだ僕たちは竃を使って火を使うなんてことも試してないですから」


 ミーリア様はウンウンと頷き、

 「そうね、昨日はラーリア様がちょっと火を点けて見せてくれましたが、私はまだ、アレク、あなたが火をつけるのを見たことはないし、火の点け方も一度見ただけでは私たちにも出来るものかどうかも判断できないし」


 「火なんて誰でも少し練習すれば点けれますよ。 僕が教えますから、ミーリア様もやってみますか?」


 僕はミーリア様をそう誘ってみた。

 昨日、ラーリア様がミーリア様たちも火を点けられるように学ばせる、みたいなことを言っていたからな。


 ミーリア様は我が意を得たりという感じで

 「それは嬉しいわ。 私も火を扱うことに関しては興味があるのよ。

  ぜひよろしくお願いするわ」


 「分かりました。 それでは戻ったら、火種を点ける練習もしてみましょう。

  その前にやることもありますけど」


 荷車を引きながらミーリア様と話していると、後ろから小さい話し声が聞こえてきた。


 「これって、私たちも一緒にやらされるってことだよね」

 「ミーリア様だけとは考えられない」

 「私、火に近づいたことさえ昨日が初めてだったんだけど」

 「同じ」

 「これも役目の内、逃れられないと思う」


 うん、みんなだよ。 誰も逃さないよ。


 僕たちが使うことになった家は、簡単な小屋というものではない。

 昨日は竃があり、それに続く部屋しか見てないし、後は忙しかったので水場くらいしか使っていない。

 でも建物はもっと大きく、荷車を入れておく場所や、薪を貯めておく場所、道具を入れておくためらしい場所、それに少し広くなっている作業スペースらしき部屋もあった。

 他にも考えてみないとわからない場所があったが、それは後回しだ。


 荷車に積んできた荷物を、とりあえず竃のある部屋に降ろし、荷車は入れておくべき場所にしまう。

 さあ次は火種を作る練習だという感じで、ミーリア様がなんとなくウキウキした感じなのだが、その期待はあっさりと裏切らせてもらう。


 「えーと、それじゃあ、一番最初に火種草を探して採ってきましょう。」


 「えっ、火を点ける練習をするんじゃないの?」

 ミーリア様が全然予期していなかったという感じで訊ねてくる。


 「そこの棚にあるだけの火種草なんて、この人数で練習に使ったらすぐになくなっちゃうじゃないですか。

  火種草も採ってすぐ使える訳ではなく、乾かさないといけないですから、使う人は自分が使う以上の量の火種草を採ってきて、次に備えることが必要なんです。

  それは当然のことです」

 僕はそう言って、近くの草原に向かった。


 僕は草原でどの草が火種草かをみんなに教える。

 薬草を何種類か覚えたナーリアたちはすぐに火種草も覚えて、採取している。

 こういうことはディフィーが強い、あっという間に持てるだけの量を採った。

 その次はセカンとレンスでこの2人もどんどん採取している。

 ナーリアとサーブは少し苦戦している。

 圧倒的にダメなのがミーリア様だ。 僕が採った草を手にとって見ながら探しているのだが、足元にあるのにも気がつかない。


 「持てるだけ採ったら、家の方に戻ってきて」


 僕はディフィーと家の方に向かう。


 僕はディフーに火種草を日当たりの良いところに一枚づつ並べさせ、小石で飛ばないように押さえるよう指導した。

 もっと簡単に干せる様に、竹で干し網を作らないといけないな。


 そんなことを考えているとセカンとレンスも戻ってきた。

 彼女たちもディフーを見て、真似して作業していく。


 後から戻った二人の作業も終わってしばらくして、残りの三人がやっと戻ってきた。どうやらミーリア様の採取を手伝っていたみたいだ。


 「三人とも自分がとってきた草を、同じ様に日に当たる様に並べてください」


 「終わっている人、手伝って」

 ミーリア様が半ば命令調でそう言った。


 「ダメですよ、ミーリア様。 今回は練習なのですから、自分でやらないと。

  他人にやらせるのはなしです。」

 ミーリア様は、ぐっ、という感じで、渋々自分で作業した。


 ミーリア様の作業が終わったところで、僕は次の作業を告げた。

 「それじゃ次は森に行って、柴刈りをします。 はい行きましょう」


 「火を点ける練習の前にまだあるの?」


 「えっ、だって燃やすモノがなければ、火は作れないじゃないですか」

 ミーリア様は僕の言うことの正当性を認めたのか、渋々頷いた。


 「落ちている枯れ枝を拾い集めてください。

  その時後で持ち運びしやすい様に、適当な同じ長さに揃えてくださいね」


 「どうやって同じくらいの長さに揃えるの?」

とミーリア様から質問が。


 僕は近くにあった枯れ枝を一本足で踏み折って見せて・・・。

 あれっ、ラミアの場合どうすれば良いんだ、と思ったら。

 セカンが近くの枯れ枝を持ったかと思うと、尻尾の先で叩いて、簡単に折った。


 「これで良いのね」


 「うん、そんな感じで十分。 でも怪我しない様に気をつけて。

  とりあえず今日は一人軽く1束分集めたら良しとしましょう」


 柴刈りは問題なくすぐに終わり、家へと戻った。

 取ってきた枯れ枝も一応日当たりの良い場所で干しておく。


 竃の前でまずは火種を点けることを練習する。

 乾いた火種草を揉むところから、それに火打石で火を点けて、小さい火を作るまでだ。

 まず最初に僕がやって見せる。

 みんな真剣な顔をして僕のすることを見ている。


 その後一人一人順番にトライしてもらう。

 火打石で火の粉を飛ばし、口で吹き始めたら成功しても失敗しても一回で次の人の順番と言うルールだ。


 1回目では誰も成功せず、2回目でセカンが成功、ディフィーが惜しかった。

 セカンはなんというかなんでも器用にこなす。


 3回目で急にナーリアが成功し、続いてディフィーも成功、レンスが惜しかった。

 ディフィーは順当な感じだけど、ナーリアはまぐれっぽい。


 4回目でレンス、5回目でサーブが成功したが、ミーリア様だけは7回かかってしまった。


 時間が大分かかり、遅くなってしまったので、今日の練習はここまでとなった。

 ミーリア様はちょっとシュンとし、肩を落とした感じで集落に戻って行った。


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