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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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41/108

41. 初仕事の結果は

 なんとか昼食の時間に間に合ったと、ちょっとホッとしていると、ミーリア様が様子を見にやって来た。

 「どう、今日の昼食用に何か出せる物がある?

  昨日の今日で難しいのは、私もラーリア様も分かっています。 ダメだったとしても仕方ないと思っているけど」


 「はい、なんとかみんなの協力で、一品出せる物が用意できました。

  これから向かおうかと思っていたところです」


 「そう! よく準備が間に合ったわね」


 ミーリア様は無理だと思っていたらしく、喜んでくれている。


 「あの、わざわざミーリア様が直々に様子を見に来てくれたのですか?」

 恐縮した感じで、サーブが尋ねた。


 良かった。立ち直ったみたいだ。

 かなり勇気を出してミーリア様に話しかけたのだろう。


 「ここは禁足地の中だから。 簡単に誰かを使いに来させる訳にはいかないのよ。

  それにまだ、ここに入ってくることが出来る者で、あなたたちとマトモな面識があるのはイクス様を除けば、私とラーリア様だけしかいないじゃない。

  今のところ私が来るしかない状況なのよ。

  でも、すぐにもっと多くの面識を持つことになると思うわよ」


 なんだかさらっと大変なことを言われた気がした。


 昼食を取る広場に向かおうとして、僕はミスに気がついた。

 どうやって運ぼう。

 水分の入った大きな木鉢はとても運びにくい。 せめて桶にするべきだった、まだいくらか持ち運びしやすい。


 「私も運ぶことまで、頭になかったわ。

  次は荷車を用意するようにしましょう」

 とミーリア様が言ってくれた。


 とりあえず今のところは仕方ないので、左右から2人で一つの木鉢を持って行くことにした。

 これがとても難しい。 中身をこぼしそうでそうっとヨレヨレと進む。


 僕が参ったな、という顔をしているとナーリアが困惑の表情を浮かべている。

 何故と思って、他の4人を見てみると、何事もないかの様になんの不安げもなく静かにスーッと運んでいる。

 足で歩くのと、尻尾で移動するのとの、大きな性能差か。

 困った、まいった。


 「アレク、替われ。 私がナーリアと持つことにしましょう」


 「えっ、ミーリア様にそんなことしていただくのは。」


 「いいから替わりなさい。 このままあなたに持たせたら、時間に間に合わんないわ」


 ミーリア様と僕が替わる時、ナーリアは「なんてことさせるのよ」と恨みがましい目をしたが、何も言わなかった。


 ナーリアの「なんてことさせる」って、ミーリア様に対してなのだろうか。

 それともミーリア様と持つという自分のことなのだろうか。

 ああ、きっと両方だよな。

 結構恨んでいるし、怒ってる?


 ナーリアでは珍しく、マジ睨みだった気がする。


 僕はなんだか居たたまれない気分で、竹で作った柄杓を持って、列の最後をトボトボ付いていった。


 昼食会場では、もう昨日の様に用意が整っていた。

 僕はナーリアたちに頼み、友だちの分のコップを集め、作ってきた山芋のスープもどきを注ぎ、配ってもらった。

 ラーリア様をはじめ、ラミアたちはそれに興味を示すが、友たちは虚ろな目をしていて何の動きもない。

 配り終えたところで食事が始まった。


 ラーリア様はボブに、「ほら、これを飲んでみろ」とコップを手渡している。

 他もそんな調子だが、中には飲ませてもらっている奴もいる。


 ボブがふと能動的に動いた。

 「これ、お代わりください」


 飲ましてもらっていた奴も、自分でコップに手を添えて飲んでいる。


 結局3杯づつみんな飲んで、余りが少なくなったところで、急にたくさん飲んでもと思い、終わらせた。


 ラーリア様が興味を持たれ、

 「それはラミアにも飲めるのか、飲んでみたい」と言った。


 ナーリアが

 「試してみましたが、味はともかく、エネルギーとしてはラミアには」

と否定的なことを答えたのだけど、

 「ナーリアが試したのなら、私も試してみたい」

と押し切られた。


 で、ほんの一口ずつラーリアの方たちにも配ったら、全て終わってしまった。

 あ、自分は味見しかしなかった、と思ったけど、ま、いいか。


 友たちは一品いつもと違う味があったせいか、いつもの果物なども昨日と比べると多く食べているみたいだ。

 その様子を見て、ラミアたちが喜んでいる。


 ラミアたちは人間が幾らかでも元気になれば、より精が得られると思って喜んでいるのかもしれないけど、でも僕は喜ぶラミアたちを見て、嬉しく思い、何となく心が暖かくなっている気がした。

 ラミアだよ、ラミアなのに喜んでくれているんだよ。


 昼食が終わり、自分の都合の良い解釈だと思いながらも、昨日よりいくらか元気に、友たちは次の水場に向かって行った気がした。

 これなら、もしかしたら、良くなっていくかもしれない、少しだけ希望が湧いた。


 ラーリア様とミーリア様は昨日と同じに、この場に残られていた。


 「アレク、ナーリアたち、昨日の今日で良くやった。

  期待以上の仕事ぶりだった」


 「ありがとうございます」

 ラーリア様のお褒めの言葉にナーリアが代表して答えた。


 「私は少し希望が見えた気がしたよ。

  明日以降も雨でない限り、今日のように昼を食べよう。

  お前たちに期待する」


 さらっと言ってくれてるけど、難題だよね。

 僕も頑張りたいと思っているけどさ。


 「ところでミーリア、お前はこの後どうするつもりだ?」


 「はい、私は今日はこの後もナーリアたちに付いているつもりです。

  まだ不足の物もあるようですし、様子見です」


 「そうか、色々考えて用意してやれ」

 そう言うとラーリア様は水場の方に去って行った。


 ちょっと笑ったような気がしたけど、何だったんだ。


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