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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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38. 友の食事

 ラーリア様が急かすので、僕たちは急いで集落に戻った。

 集落の水場近くの広場には、毛皮が敷かれ、低いテーブルが出ていて、もう僕の友だちの人間と、それを世話している主にラーリア様たちとミーリア様たちがすでにいた。

 ラミアは人間の様に靴を履ける訳ではなく、尻尾による移動だから、ラミアの住む場所は基本綺麗な石畳になっている。

 水場で体を洗うことが習慣となっている一つの理由は、この石畳を汚さない為ではないかと僕は思った。 もちろん説明された吸血ダニの問題もあるのだろうけど。


 友たちがもうテーブルの前に座っているのを見ると、ラーリア様とミーリア様は大急ぎで僕たちから離れ、1人の友の方へと向かっていった。

 えーと、あいつ誰だっけ、ボブだったかな(確かそう呼ばれていた気がする)、友だち付き合いのあまりない僕は彼らの名前もうろ覚えだ。

 2年一緒に学校に通った訳だから、自分でもちょっと酷いなと思うが、狩人として自立して1人で生きていくという目標を何とか達成しなければと必死で、他のことを考えている余裕もなかった自分を思い出した。


 あれっ、今の自分、その頃より幸せな気がする。

 ラミアに捕まったけど、ナーリアたちは僕を邪魔者にはしないし、普通に接してくれる。

 叔母さんたちは僕に優しく接してくれたが、それはどこか心苦しかった。

 他の人たちは、僕のことを哀れむか、厄介者として接するのが普通だった。

 仕事をくれたりして親しくなった人もいたが、それだけの関係だ。

 常に孤独感を感じていたし、叔母さんたちを楽にする為にも早く離れたかった。


 考えてみれば今、叔母さんたちからは離れられたし、ナーリアたちのおかげで孤独感を感じることもない。

 これから食生活も改善が見込まれる。

 うん、かなり幸せなんじゃない。


 「ちょっと、何ぼんやりしてるの。 向こうのテーブルに行くわよ」


 少しもの思いに耽ってぼんやりしていた様だ。

 ディフィーに脇腹を突かれて我に返って、みんなと一緒に一つのテーブルに向かう。

 どうやらそのテーブルで僕たちも食事をしろと指示されたみたいだ。


 僕たちもテーブルに着くが、ナーリアたちはどうも落ち着かない。

 うん、僕もだ。

 友だちたちはともかくとして、他はラーリア様たちとミーリア様たちなんだものな。

 なんというか纏う雰囲気というか、迫力が違うんだよ。

 こんなのそんな簡単に慣れない。


 とりあえず食事が始まる。

 さっきまで一緒だったラーリア様とミーリア様はボブの世話をしている。

 ここにボブを連れて来たラミアは、「ご苦労様、替わるわ」の一言で追い払われていた様な気がする。 んー、厳しいのね。


 「どうだ? ボブ。 外での食事は部屋での食事より気持ちが良いだろ」

 「そうですね、ラーリア様。 気持ちが良いです」


 「ミーリア、そっちの人間が良く食べる実の種を取ってやり、ボブに渡してやってくれ」

 「はい。 はい、ボブ、どうぞ。 これ好きよね」

 「ありがとうございます、ミーリア様。 ラーリア様、水をください」


 「ボブ、これからは普通にコップの水を飲む様にするんだ。 ほら、こっちだぞ」


 な、何、この光景、違和感しかない。

 ラーリア様もミーリア様もキャラ全く違ってるじゃん。

 僕たちに接している時とは全く違って、優しさの塊みたいになっている。

 なんだか病気の子供を看病している母親みたいな感じになっている。

 そしてボブ、お前もそんなしおらしいキャラじゃないだろう。

 お前は僕たちのグループを率いてこの森に来た、どちらかというと高圧的で独善的な俺様キャラだったろ。

 それが頼れる感じにもなっていて、僕らのボスというかリーダーになっていたはず。

 なんでそんな素直で従順なお子様みたいなキャラになっているんだ。


 違和感を感じていたのは僕だけではなかったみたいだ。

 ナーリアたちも毒気を抜かれた様な、ポケッとした表情で、食べることも忘れて、この光景を眺めている。


 ラーリア様、ミーリア様だけじゃない。

 同じ様な光景があと9組も、ワイワイというより、キャッキャ、ウフフという感じで繰り広げられているんだもんな。

 昨日まで、いやさっきまでビビりまくっていた相手たちのこの光景は、何というか食欲失くすわ。


 僕たちは気分的に食欲を失くしていたのだが、見ていると僕の友たちも余り食べていない。

 いくら飽きたとはいえ、その量では僕から見て全く足りないだろうという量しか食べていない。

 そして、食べるのに疲れたかの様に、食事を止め、傍のラミアに体をもたれ掛けてしまっている奴もいる。


 僕は急激に気持ちが冷えた。

 これ本当にみんなかなり体に問題が出ているんじゃないだろうか、重篤といっていい状態ではないのか、と思ったのだ。

 食事を用意するということを、自分の食生活が充実するということを喜ぶあまり、簡単に考えすぎていたことに気がついた。

 助けなきゃ、という気持ちが湧き上がった。


 食事が終わった後、友たちや彼らを連れて来ていたラミアたちは水浴びに行き、テーブルや敷き革は片付けられていく。

 その場に僕たちと、ラーリア様、ミーリア様だけが残った。


 「一緒に食事をしてみて、どうだった?」

 ラーリア様が尋ねて来た。


 「食べる量が全然足りてないです。 肉とか以前の問題で、あれでは体は弱る一方です」


 「アレクが普段食べる量の三分の一も食べていないと思います」

 セカンが付け加えた。


 「そうか、やはりな」

 ラーリア様は難しい顔をし、ミーリア様は悲しげな顔をした。


 「僕は食事の用意をすることを簡単に考えていました。

  狩さえできて火が使えれば、それだけでどうにかなると思っていました。

  でもそれだけじゃ駄目かもしれない。

  僕の目から見て、彼らはかなり重篤な状態な気がするのです。

  何とかして、助けてやらないと」

 ラーリア様とミーリア様は真剣な顔をして僕の言葉を聞いていた。


 「私たちも彼らの体調が悪いのは、ひしひしと分かります。

  でもどうしてやれば良いのか、分からないのです」

 ミーリア様がちょっと苦しそうに言った。


 「この事に関して、アレク、お前に頼るしかない。

  何とか彼らを助けてやってくれ。

  私たちは出来る限りの協力はする。

  とはいえ、お前も即座に何か出来る訳ではないだろう。

  今日はこの後、部屋を移ったり、明日以降の準備をしたりするが良い。

  先ほどの家と、今までナーリアたちに許されていた範囲の中は、何も他にないときは自由に行動することを許す。

  早く何か出来る様に頑張ってくれ。

  無理をすることはないが、出来れば明日の昼食は同じ様に外で食べる事にするから、何か一品彼らに食べれる物を出してやってくれたら嬉しい」

 ラーリア様はこう言うと、ミーリア様と共に立ち去っていった。


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