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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
波乱

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340. 食事作りと戦闘訓練

 冬をラミア全員で起きたまま過ごすのに一番の問題は、それはもちろん全員で過ごせるだけの食料を備蓄できるかだったことは当然だ。

 でもそこは、ヤーレンとヤーレアたちが主になって、穀物の増産をすることによってクリアすることが出来た。


 ヤーレンの計画では、麦と米で主食は賄えて、それ以外にももしもの時に備えて、粟・稗・蕎麦も作って備蓄してある。

 ヤーレンは今後数年に渡って、穀物を備蓄し、何らかの天災だとかで、穀物等の収穫量が大きく減っても、一年くらいは食べていけることを目指すということだ。


 ラミアも、穀物や豆類は乾燥させて長く保存した物でも、水で戻せば十分なエネルギーが得られることが分かったことが、ラミア全員が冬も起きたままでいることを可能にした訳だった。


 次にラミア全員が起きたままで冬を過ごす時に問題になったのが、食事の用意だ。

 ラミアは火を使わなかったため、食品を温めて食べるという習慣は今まではなかったのだが、人間と共に暮らすようになって、火を使った料理の美味しさも覚えてしまった。

 それに加えてもっと問題なのは、冬になって気温が下がると、変温動物のラミアは、水に浸けた穀物という食事をすると、その冷たさがちょっと辛いらしいのだ。

 ラミアは穀物を煮てしまうとエネルギーにならないので、仕方のないことなのかと思われたのだが、水に浸けておいた穀物を食べる時に水を捨て、新たに暖かい程度のお湯に浸けて温めて食べても、エネルギーになることが分かった。

 ただしあまり熱すぎるお湯に浸けると、駄目だし、穀物の種類、具体的には蕎麦はお湯に浸けるとラミアにとってはエネルギーにならないらしい。


 今ではラミアの里の洞窟前の広場の一角には、炊事場が作られていて、ナーリアの姉妹たちや若い子たちがそこで火を使った料理を作っている。

 そこでは結構エーレアたちが教える方に回ったりしている。

 ただ、子供たちが火を使うのはまだ危ないので、子供たちの食事に関しては、日替わりで、上位がグループではなく、各家庭と言えば良いのか、つまり僕の仲間の妻たちがそれぞれの一家で1日を責任持つ形にしようということになっていた。


 なっていたというのは、夏場というか元来のラミアの活動時期の食事は今まで通りに近くてあまり問題にならなくて、その取り決めが実際に意味を持つことになるのは寒くなってきてからだった。

 それにラミアの里には各係のラミアたちも居るので、係のラミアたちも子供たちの食事などは色々と担当してくれる。

 係の年長の人は、教えなくても火が使える人が何人もいた。


 しかし寒くなってきて、しばらくした時点で、キースの母とばあやさんがやって来たのだが、2人は普段はこれといった仕事がある訳ではないので、いつの間にか子供たちの食事の面倒をみるようになってしまった。


 2人が子供たちの食事を作るようになると、イクス様とシロシュウメ様も顔を出すようになり、イクス様が行くならと、子供たちに混ざりたいからメリーもそれに付いて行って、メリーがキースの母にも慣れたからだろうか

 「キースお兄ちゃんのお母さん」が「キーお母さん」になって、子供たち、若い子たちには「キーお母さん」になってしまった。

 ちなみにシロシュウメ様は「シロおばあちゃん」だ。


 シロシュウメ様が頻繁にラミアの里の広場に行って、子供たちに囲まれて過ごすようになって、たぶんそれを心配したのだろう、モエギシュウメとウスベニメの母親もシロシュウメ様と良く一緒に来るようになった。

 それまで復興させている町に、ハーピーの住居を作ったりして、ラミアとハーピーは共に何かをしたりの機会はとても増えたのだけど、僕たちやナーリアの姉妹たち、そして一部を除いて、何となくラミアとハーピーの間には、微妙な隔たりがあったのだが、この食事作りにシロシュウメ様たちが参加というか、その場におしゃべりに来ることで、子供たちと若い子たちが日常的にハーピーに接する機会が増えたら、ハーピーとの間の隔たりというか、微妙な膜のようなモノが急速に薄くなっていった。




 「見ての通り、この戦闘訓練に参加する上位の者の数は減っている。 理由は言うまでもないな。

  つまり今現在のラミアの里の守りは、お前たちの肩にかかっている」

 上位とナーリアの姉妹たちを対象にした戦闘訓練の前に、ラーリア様はターリア・ワーリア・ヤーレアに向かって声を掛けた。


 「しかし、お前たちが、戦闘訓練を受けているとはいえ、まともな武器や防具を装備していなかった人間の男たちを制圧するのに苦戦した、という報告も私はしっかりと受けている。

  正直に言って、それでは今は困るのだ。

  これからは少し以前より訓練強度を上げていく、覚悟して臨むように。

  まずは基礎訓練からだ、サーブ、指揮を取れ」


 ターリア・ワーリア・ヤーレアはもちろんだが、エーレアも、そして僕たちナーリアも緊張してラーリア様の言葉を聞いた。

 もう今回の訓練に参加している上位ラミアはラーリアを除くと半分に減っている。


 基礎訓練が普通に終わると、まずは剣による模擬戦闘となった。

 今回の剣の模擬戦闘には、今までとは違ったことが行われることになった。

 今までは木剣での模擬戦闘だったのだが、それだと寸止めが上手く行かずに攻撃が当たってしまうと、それが防具から外れた場所だったりしたら、とても痛い目に合うので、どうしても互いに寸止めに意識が行って、思い切った攻撃が出来ない部分があったのだ。

 ラーリアたちクラスになるとそんなことはないのだが、まだまだ未熟なナーリアの姉妹たちにはその傾向が顕著だった。

 僕たち人間の男も、キースを除けばその傾向はやはりあったし、それはナーリアたちもだ。

 そこで今回は竹の棒を何本か束ねて、その周りを毛皮の袋で覆った剣が作られた。

 竹だから撓うし、毛を内側にした袋にはクッション性もある。


 「まずは男たちよ、エーレア・ターリア・ワーリア・ヤーレアの相手をしてやれ。

  この模擬剣ならば、防具も着けているし、そうそう大きな怪我はしないだろう。

  手加減をせずに力任せの戦闘をしてやれ」


 ナーリアの姉妹たちは、ラーリア様の言葉に、ちょっと狼狽えたが、少し決然とした顔をして僕たちにかかって来た。

 僕たちはラーリア様の言うことの意図は理解していたから、打ち掛かって来た彼女たちをいなして攻撃するのではなく、受け止めて、力で押して攻撃した。

 僕も正面から打ち掛かって来たワーリアの剣を受け止め、突き飛ばすように押し返すと、ワーリアが押し負けて簡単に体勢を崩して隙を見せたので、そこを模擬剣で叩いた。


 「アレク、この模擬剣でも痛いよ。

  もうちょっと手加減してよ」

 「いや、手加減するなとラーリア様の命令だから」


 「アレク、手加減するなよ。

  ワーリアに人間の男との戦いとはどういうものかを、叩き込んでやれ。

  もっと激しく、何度も剣で叩いて、その身に思い知らせるのだ。

  ワーリア、そんな戦い方だと実戦だったら怪我では済まないぞ。

  手加減を頼むんじゃなく、どうしたら人間の男の力に負けないかをもっと考えろ」


 僕たちは11人で、姉妹たち20人を相手にしていたのだが、そう時間もかからずに姉妹たちが立ち上がらなくなった。

 エーレアたちは、砦で人間の男相手に訓練をしているので、ある程度の自信を持っていたみたいで、確かにこの前はエーレアたちだけは人間たちの捕縛に成功していたのだが、他のグループとそんなに変わらない時間でやはりダウンしてしまった。

 「ラミアの里の男の方が強いことは分かっていたけど、こんなに差がまだあるの。

  私たち、砦での訓練では男たちとほぼ互角まで持ち込めていたのに」

 エレドがガックリしている。


 「うーん、確かにちょっと不甲斐ないな。

  男たちに手加減するなと言ったら、これだけの時間しか持たないか。

  まあ、最初だし仕方ないか。

  それではエーレア・ターリア・ワーリア・ヤーレアは脇に退いていろ。

  他の者はいつものごとく、それぞれの得物で模擬戦闘だ。

  ラーリアも入って、徹底的にやるぞ」


 僕も模擬剣から槍に替える。 最近はラーリナ様に相手をしてもらっている。

 さっきとはもう攻守完全に逆転で、ラーリナ様を慌てさせたりどころか、ほとんど立っている場所から動かすことも出来ていない。

 僕の攻撃全てを的確に防ぎ、途中で撃ち落とし、反撃され、僕はラーリナ様に一方的に打たれている状態だ。

 槍の技量にまだまだ大きな差があることを実感する。


 訓練の激しさは、さっきまでのナーリアの姉妹たちと僕らが剣で訓練してた時とはレベルが違う。

 叩き伏せられて、倒れても倒れても起き上がり、立っている者に打ち掛かっていくのだが、段々にその人数が減っていく。

 完全に起き上がれなくなって、脇に移動させられる者が増えていくのだ。


 中でもサーブの訓練の激しさは目を引くモノだった。

 主にラーリア様が相手をしたこともあるのだが、何度も叩き伏せられ、叩き伏せられては起き上がり、また叩き伏せられるという繰り返しだ。

 ただでさえハルバードを振り回して目立っているのだが、それが何度も叩き伏せられてをしているのだから、嫌でも目に入る。

 僕たち男連中も、ナーリアたちも、それを見て、サーブが何故頑張っているのかも理解しているので、サーブに負けてはいられないと頑張った。

 訓練が終わった時には、本当に久しぶりにボロボロだった。


 「サーブ、上位の訓練て、いつもこんなに激しいの」

 周りで見ていた者の代表みたいな感じで、サーブにヤーレアが聞いた。

 「いや、まだまだこんなモノじゃない。

  今はアリファ様が参加していないから、まだまだ緩い。

  アリファ様が参加していた時の訓練は、こんなモノじゃなかった。

  もっとずっと厳しかった。

  その時の訓練に負けない訓練にしたいと思っているのだけど、まだまだ全然ダメだ」


 それでもサーブの危機意識と熱意は姉妹たちに伝わったようで、それ以降、訓練の質が上がった。

 また姉妹たちは激しい訓練に少し慣れてからは、剣だけでなく、あの新しく作られた特別に長い槍の練習にも励むようになった。

 それとアーリア・アーレア・アーロアの主武器も槍になったのだが、こちらは通常の槍である。


 エーレアたちは砦とラミアの里を行き来するのは、以前と同じなのだが、ラミアの里に来る時に、アルフさん、クラッドさん、ブマーの誰か1人が一緒来ることが多くなった。

 そして騎士も数人づつ同行してくる。

 一緒に来た者は、訓練に参加していく。

 というより、砦の騎士たちを順番にラミアの里の訓練に参加させて、ラミアの里の訓練の厳しさを体験させると共に、その技量を上げようという意図らしかった。


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