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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
波乱

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337. モエギシュウメの産卵

 人間の妻の出産時の問題は、奥方様に任せることになったが、近いうちに馬車の試乗も兼ねて、奥方様と領主様がラミアの里を訪れることとなった。


 「最初の試乗は、まずは一番道が整っているラミアの里へとしよう」

と領主様はおっしゃったけど、きっと今回の問題の打ち合わせをすることを優先したのだろう。


 「ということだから、アンも安心して。

  それから他の人間の妻たちにも伝えておいてね」

 「はい、イクス様ありがとうございます。

  みんなにもしっかり伝えておきます。

  それにしてもイクス様1人でアレクに付いていくと聞いた時には、何故かなとちょっと疑問に思ったのですけど、この為だったんですね。

  私たちもちょっと不安に思っていたので、本当に嬉しいです」


 戻ってきてアンにイクス様が結果を伝えると、アンはとても喜んだ。

 

 「うん、私たちでは人間のお産の手伝いは経験がないから、どうにもならないかもしれない。

  他のことに気をとられていて、私は全然そこに気が回っていなかった」

 ラミアのお産の手伝いを結局一手に引き受けるようになってしまったセカンが、そう言って自分が思い至らなかったことを反省というか、残念がるというか複雑な顔をした。


 「イクス様はやっぱり本当にさすがというか、色々なところに気をつけていらっしゃるのですね」

 モエギシュウメがそう言うと、イクス様はフルフルと手を振った。


 「残念ながら気が付いたのは私じゃないのよ。

  気が付いたのはモエギシュウメの伯母さんよ。

  シロシュウメ様と話をしていて、この問題を指摘されたのよ。

  私もそれまで全く考えていなかったのよ」

 「えっ、伯母さんが気付いたのですか?」

 「シロシュウメ様も気付いたというより、私たち2人で何気ない会話をしていた時に、問題があることに思い至ったというのが正しいかもしれないわ。

  シロシュウメ様とこれからラミアだけでなく、人間も、そしてあなたとウスベニメも子供を得ることになるという話をしていて、その中で、シロシュウメ様が

  『人間や人型のハーピーのお産は、卵生じゃなくて胎生だから、ちょっと大変なのよね』

  と話してくださったのよ。

  私はその時に初めて、ハーピーも人型のハーピーは卵生ではなくて胎生だというのを知ったわ」


 「えっ、ハーピーって、みんな卵生ではないのですか?」

 ハーピーであるモエギシュウメ自身も知らなかったようである。


 「そうね、今ではハーピーはみんな鳥型になっちゃったから、モエギシュウメだと知らなくてもおかしくないけど、人型に近いハーピーは胎生だったのね。

  それに、人と同じように、交尾期という風にはならなかったらしいわよ」


 どうやら僕らの知っているハーピーの生殖の生態は鳥型ハーピーの生態であって、種族としての生態ではなかったようだ。

 姿形だけでなく、そういうこともハーピーという種族は幅が広かったみたいだ。


 「ちょっと話がズレちゃったわね。

  とにかくシロシュウメ様が若い頃には、ハーピーの里にはまだ人型のハーピーも居たし、極少人数だけど人間の女もいたから、シロシュウメ様は人や人型ハーピーのお産も見たことがあるとのことだったのよ。

  それはやはり卵で産む鳥型とは違うから、経験がないと手伝うことが出来ないという話だったわ。

  シロシュウメ様は

  『私たち鳥型のハーピーではそもそも羽根が邪魔になって、手伝いが出来るかというと、ちょっと難しいのだけど』

  とも言っていらしたわ。

  でもそれで、アンたち人間の妻のお産の時には、人間の経験者の手伝いが必要だと思い至ったのよ。

  それでもう、急いで準備を始めないと、困るんじゃないかと思って、今回アレクくんと一緒に町に行ったという訳」


 一方の当事者であるはずの僕たち男連中は、こういったことにまるっきり気が付いていなかった。

 町からの帰り道にキースが、

 「領主の館で、お前とイクス様は何をしてたの?」

と聞いてきて、それに答えたらキースも目を丸くしてびっくりしていたから、キースも僕と同じだったのだと思う。

 きっとキースが最近共に居ることの多い、ボブとデイヴも同じだろう。


 その話がとりあえず終わると、イクス様はすぐにティッタとメリーの眠るいつもの藁床の部屋へと入ってしまったのだが、この夜はまだ続く一応の担当順のアンだけでなく、サーブとディフィーも

 「私は順番が終わったばかりだから」と、その部屋へと素早く去ってしまった。


 「何か、あの2人、随分とそそくさとあっちの部屋に行かなかったか?」

 と僕が言うと、ナーリアが、

 「うん、私もあっちに行こうかなと思った」

 と、僕にはちょっと意外な返事が返ってきた。

 どういうことか分からずに不思議だという顔をしたらセカンが、

 「今晩はモエギシュウメの番なんだけど、今晩は特別。

  モエギシュウメはあの時期が来たから、念願の子作りが出来る訳。

  だから、モエギシュウメはさっきからもう興奮している」


 ああ、そういう時期になったんだ、と僕は思った。

 アンが妊娠しているから、今回の発情期にモエギシュウメは子供を作る、つまり有精卵を産むことが決まっている。

 なるほど、それでアンだけでなく、サーブとディフィーも遠慮したのか?


 「えーと、でも、アンが妊娠するようにってsexしていた時も、別に誰もその場を遠慮しようとか、そういったのはなかったよね。

  いつものように普通にしていたよね。

  ハーピーの場合は、発情期が限られていて、確実だと分かっているからなのかな?」

 疑問に感じて何となく尋ねてしまったのだが、これからモエギシュウメとの久しぶりの狭義でのsexとちょっと考えてしまって、何となくいつもと違って、少し照れ臭く感じてしまった。


 「別にそれが問題ではない。

  モエギシュウメは前に下に挿入した時、すごく感じて我を忘れて、羽根を振り回したから、きっと今回はもっと我を忘れて振り回すだろうと思う。

  私たちは、だから2人がしている時は近づけないから、何も出来ない。

  それなら近くにいても仕方ないから、あの2人は離れて寝る方を選んだだけ。

  私たちは、どうせモエギシュウメは下に入れて感じると最後は意識を手放しちゃうから、そしたら動かして、アレクにくっ付いて寝るつもり」

 「レンス、そこまであけすけに言わないで」

 「それなら最後まで頑張って意識を保って」

 「うーん、それも自信ないのだけど」


 モエギシュウメの下に入れる時は、対面座位か、後ろからということになる。

 モエギシュウメの体を下にして入れると、我を忘れて羽根を動かした時に、床で羽根を痛めてしまう可能性があるからだ。

 それだからなのか、モエギシュウメは普段、下に入れられない時には、自分が下で僕のを咥えることを好んでいる。 モエギシュウメは鳥型のハーピーだから、普段は羽毛や衣類で隠れてしまうので意識しないけど、実は身体はかなり細く華奢なので、僕は上になると実は気を使うんだけどね。


 モエギシュウメは、座っていた僕に近づいて来て、僕がすでに臨戦体制なのを確かめると、

 「アレク、何もまだしてないのに興奮している」

 「うん、モエギシュウメに入れるのは久しぶりだし、子供を作るためのsexをこれからするのだと思ったら、やっぱり何だかちょっと興奮しちゃってる」

 「それなら、このまますぐに入れても良いかな?

  私も何だか興奮しちゃって、すぐにしたいの」


 鳥型の、という断りが本当は付くらしいのだが、ハーピーのモエギシュウメの下に入れられるのは、年に2度の決まった時期それも1度が2週間ないくらいの間だけだから、モエギシュウメもとても楽しみにしてるというか、待ち望んでいるからか、それとも僕も久しぶりになったから興奮してしまったのか、ほとんど互いに何も高め合う行為なしだったのだが、モエギシュウメはもう溢れるほど潤っていて、何の抵抗もない感じで僕のモノを受け入れた。

 時期以外には、指さえ入らないどころか、場所さえよく判らなくなってしまうような、モエギシュウメの女性器なのだが、この時期だけは難なく僕を受け入れ、精を得ようと蠢くのだ。


 モエギシュウメは僕を受け入れた瞬間から、我を忘れて大いに乱れる。

 僕もそれにつられて、モエギシュウメのハーピー特有の、抱き締めると普段の見た目の感じよりずっと華奢な体を抱きしめる。


 二度目が終わると、モエギシュウメは完全に意識を手放してしまったので、モエギシュウメを普通に寝かせるのを手伝いに、今まで僕とモエギシュウメから離れていたナーリアとセカンとレンスが近寄って来た。


 「モエギシュウメは夢中になると羽根を動かした時の影響を忘れるから、とても近くにはいられない」

 「特に今日はすごかったね。

  完全に室内であることを忘れて、体のバランスを保つのに羽ばたいているのだもの」

 「さっきのあの様子なら、絶対に受精したと思う。

  アレクもそう感じた?」

 「それは男の僕には判らないけど、なんて言うか、モエギシュウメ、前の時より気合が入った感じになってた気がするな」


 入れたまま2回した僕は、眠気に引っ張られそうだったけど、賢者タイムに入っていたみたいで、ナーリア、レンスの批評を落ち着いて聞き、冷静な調子でセカンの言葉に返答することが出来た。

 でもすぐに眠気に負けてしまった。


 今回のモエギシュウメの交尾期には、モエギシュウメを受精させるために優先的に抱くことになっていた。

 前回の僕に抱かれるようになっての初めての交尾期には、モエギシュウメはその時期が終わる直前、つまり卵を排卵する少し前まで、僕に抱かれたがったのだが、今回は最初の三日間抱かれただけで、「もういい」と僕に抱かれることを拒否してきた。

 ハーピーは、いや鳥型のハーピーは、交尾期の最後には卵を生むのだが、どうやらモエギシュウメは受精しているのを確信して、卵を体内で成長させている時期にほんの幾らかの危険でも、わずかの可能性でも避けようとしたらしい。

 鳥型ハーピーの卵は、ラミアの卵とは違い、硬い外殻を持っていて、産卵した後の卵は滅多なことでは割れるなどの事故が起こらない強さを持つらしいのだが、体内で育てているうちは、その外殻にそこまでの強度がなく、滅多にないことなのだが、外的な衝撃でその殻を割ってしまい、子供を流してしまうことがあるのだという。


 モエギシュウメは、それから2週間後、卵を産卵した。

 モエギシュウメは藁床の部屋の片隅に自分の居場所を定めて、ほとんどの時間その決めた場所で卵を膝に抱いて温めて過ごすようになった。

 モエギシュウメが卵から離れる時には、少しお腹の大きさの変化が分かるようになってきたアンが、モエギシュウメに変わって卵を抱く。


 「モエギシュウメ、私も卵を抱きたいのだが」

 サーブが卵を抱くアンを見て、羨ましそうな顔をしてモエギシュウメに言った。

 「サーブ、ありがとう。 でも気持ちだけもらっておくわ。

  ラミアはハーピーや人間と違って変温動物だから、卵を抱くには適していないのよ。

  この部屋の中は暖かいから、そこまで問題はないと思うのだけど、それでもほんの幾らかのリスクでも、私は避けたいの。

  卵から出てきた時には、みんなと一緒に抱いてあげたりを頼むわ」

 モエギシュウメに卵を抱くことを拒まれて、サーブはちょっと残念そうな顔をしたのだが、理由は良く理解できる話だったので、仕方なく諦めたようだが、アンの近くにそれでも座っていた。


 モエギシュウメが決めた居場所には、アンだけでなく、メリーとティッタは多くの時間を近くで過ごすようになり、そのためもあってみんな集まるようになってしまった。


 「今更だけど、卵を抱くのもこの家で構わなかったのかしら。

  モエギシュウメの両親などは心配していない?」

 「はい、この家で卵を温めることは、前から決めていて話してありますから。

  私だけでなく、ウスベニメもキースの家で過ごしています」


 そうは言っても、モエギシュウメの両親やシロシュウメ様は心配なのだろう、ちょくちょく家にやって来るようになった。


 「少し慌しい感じで、何だか申し訳ないけど、子供が殻を破って生まれるまではこんな調子かな」

 モエギシュウメがそう言うとイクス様が

 「生まれたら、きっともっと頻繁に見に来るんじゃない。

  それに慌しいのは、それから後も、今度はみんなが子供をすぐ後に産むから、もっとずっと長く続くわよ」

 と言うと、「確かに」とみな納得したと言うか、色々想像したようだ。

 僕も頭の中で想像して、賑やかになりそうだなと思ってしまった。


 「あっ、私、一つ気がついた。

  モエギシュウメ、子供が卵の殻を破って出てくるのって、2ヶ月後くらいよね」

 急にディフィーが、そんなことをモエギシュウメに訊ねた。

 「うん、そうだけど」

 「ハーピーとラミアって、卵を外で温めるか、体内に置いておくかの違いはあるけど、受精して卵が体内で出来るのに2週間くらいで、その卵の中で子供が生まれるまで大きくなるのに大体2ヶ月で、経過がほぼ一緒なんだ」


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