33. 友たちの様子は
僕たち6名は戻って良いとのことで、部屋に戻ってきた。
ラーリア様たちの話し合いはまだ続いているのだろう。
とりあえずどうなるかは分からないが、僕にできることはないし、ナーリアたちは開放感を味わっているみたいだ。
「ああ、もう。 ラーリア様たちに睨まれた時は、生きた心地がしなかったわ」
「ラーリア様たちだけじゃない。 ミーリア様たちも睨んでいた」
「ナーリアがあんな時に恥ずかしいこと言うからよ」
「だって、あの場でアレクをフォローしない訳にいかないでしょ、隠すためには。
私だって必死だったんだから」
「まあ、それは認めるけど。 まさか宣戦布告なんて言われるとは思わなかった」
「下の者に負ける訳にいかないって言ったラーリア様、目がマジだったわよ」
「下の者って、それ私たちのことよね。 ライバル扱い?
私たちが勝てるはずないのに」
「冷や汗をかいて体が気持ち悪い」
4人の会話にサーブだけが加わっていなかった。
4人の会話が途切れたところでサーブが呟いた。
「良かった。 私のせいでみんなまで巻き込んで罰を受けなくて」
「サーブ、そんなこと考えていたの?」
「ごめん、言って良かったみたいだった。 朝、サーブのことはお咎めはないって言ってたのに、伝えられなかった」
ナーリアとセカンがサーブを慰めようとした。
「あんた、考えすぎ。 私らの心配までしてたの?」
ディフィーが軽い感じで言う。
「そんなこと言ったって、私の考えなしで・・」
「もうそれはいい。 それより汗で気持ち悪い」
レンスが無理やり話題を変えた。
「水浴びしたいけど、どうだろう?」
「まだ話し合いきっとしているよね」
「部屋に戻って良い、と言われたけど、この後どうするかは言われてないから。
どうしたらいいかしら」
「聞きに行く?」
「あの部屋に行って尋ねるなんて出来ないよ」
「他の誰か?」
「ミーリア様もあの中だよ」
「誰か他にいないかな?」
「イクス様」
「そうだ。 それが良い。 イクス様にお伺いしましたって言えば、誰に後で何を言われても、きっと大丈夫」
「私が聞いてくる」
セカンが自分から聞きに行ってくれた。
「良いわよ。 もし誰かが来て、あなたたちが部屋にいなければ、私のところに聞きにくるでしょうから。
そうしたら、水場に居るって教えてあげるから構わないわ」
と許可してくれたと、セカンがすぐに戻ってきて伝えてくれた。
僕たちは途中でカウンターの部屋に顔を出し、元ラーリアであることは秘密のイクス様に頭を下げるだけで礼を示して、水場へと向かった。 あまり慇懃な態度をすると、秘密がバレなくても、周りに不思議がられてしまうかも知れないからね。
いつもより早い時間の水場は混雑していた。
僕の友たちが、それぞれ一人に対して強そうなラミア二人が付き、水浴びをしていたのだ。
僕は捕まった日にあの部屋で別れて以来、初めて友たちを見た。
友たちは生気がなかった。
水場で自分で体を洗うこともなく、彼らを連れてきたラミアに体を洗ってもらっていた。
なんだか全く心ここにあらずで、話もしていない。
友たちを連れてきたラミアは、自分たち同士で話したり、僕の友たちの体を洗ってやったり、自分たち自身も洗ったりと、結構騒々しくやっているのだが、我関せずで目の焦点もあっていない感じ。
連れてきているラミアたちがいるから、僕の方から話かける訳にもいかないのだが、それ以前に話しかけられる雰囲気じゃない。
何よりも、友たちはみんな、見るからに痩せていた。
痩せている、生気がない、顔色が悪い、肌にツヤがない、目に力がない、言葉がない。
とにかくないない尽くしで、どうしたらたった10日やそこらでここまで変わるのか。
捕まる前の晩の快活さなんてどこにもなく、僕はただ彼らの光景を見ていた。
「なんだか、ラーリア様たちが真剣だったのが、理解できちゃったわ」
ディフィーがそう言った。
他の四人がうなづいた。
「私たち、アレクが普通だと思っていたけど、アレクって一人だけとっても違っている」
セカンがそう言った。
「でも、どういうことだ、この違いは。 これがさっきの話の、口移しの水と食べ物の問題か」
サーブが聞いた。
「わからない。 でも、この違いを見たら、私でも何故かを考える」
ナーリアがそう言った。
ナーリアたちにも彼らの様子はただならないモノに見えた様だ。
彼女たちも僕以外の人間を見ることはなかったようで、この光景に一様に驚いている。
「アレクで良かった。 私、あいつらは嫌」
レンスがそう言った。
「私もだ、あんな雰囲気の人間に触られるのは、私もごめんだ」
思いがけず一番にサーブが反応すると、他の三人も急いで続いてそれに同意した。
僕は心の片隅で、どっちかというと僕が女にモテないタイプだったんじゃないか、と頭の片隅で考えながら、呆然としてた。




