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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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32. 肉を食う為に

 「口移しの水に関しては、もう良い。

  次のことに移ろう。こっちこそが今回の一番の問題点だ。」


 口移しの水を今後使わないということで、ラーリアの方たち、ミーリアの方たちの間でザワザワと私語が交わされていたのだが、ラーリア様がこう言った途端、一気に静まり、真剣な面持ちに戻った。


 「アレクに問おう。

  お前はラミアの与える食事だけでは、人間は健康を保てないと考えていると聞く。

  それは事実か?」


 「はい、僕はそう考えています」


 「なんでそう考えたのだ?」


 「僕がここに来て、ナーリアたちと過ごしている間にわかったのですが、ラミアも人間も口から食物を食べるのですが、その種類が全く異なるのです。

  僕が考えるに、エネルギーの得方がラミアと人間とでは根本的に違うのではないかと思うのです」


 「詳しく話してみろ」


 「ラミアは、というかナーリアたちはですが、人間と同じ様に果物を食べますが、食べる部分はラミアは種で、人間はその周りの果肉です。

  僕が種を食べないで果肉を食べていたら、『種にエネルギーがあるのに何故食べないのか?』と聞かれました。

  種にエネルギーがあるのにという言葉に、僕はある意味なるほどと思ったのですが、とは言っても人間は食べない物も多いです。

  また、人間は種を食べるにしても、色々と加工して、火で熱を加えて食べる事が多いです。

  他にもナーリアたちは『卵は食べる』とのことでしたし、それに加えラミアは精をエネルギーにすると聞きます。

  それらを考えると、ラミアは種や、卵、精のエネルギーを直接体に取り込んでいるのではないかと思うのです。

  人間はそれとは違い、食物を栄養成分として体に取り込むのです。

  もっと色々あると思うのですけど、大きな違いはそこにあるのではないかと考えました」


 「言っていることは、なんとなく理解したが、きちんと理解できているかはわからないな」


 「いえ、話している僕も、推測だらけで分からないことばかりですから、理解できないのは当然です」


 「それで今の話と、ラミアの出す食事だけでは人間が健康を保てないという話はどう繋がってくるんだ」


 「はい、ラミアにとっての食物の摂取は、結局は如何に効率よくエネルギーを取れるかで、それには大きな種だったり、たぶんきっとたくさんの精だったりするのだと思います。

  そこだけが注目するポイントなのだと思います。

  でも人間は栄養として食物を取りますから、その食物にどの様な栄養があるか、栄養に不足はないか、どうしたら栄養を取りやすくなるか、に注目します。

  ここが大きな違いだと思うのです」


 「具体的には?」


 「ラミアの用意してくれる食べ物でも、腹は膨れます。

  あ、これは僕が5人に果肉をもらっているからかもしれません。 一人分の量だと少ない可能性もあるかな。

  何しろ、ラミアの主食にしていると思う果実は種が大きく果肉は少ない種類の様ですから。

  それでもまあ、とにかく腹は膨れるんです。

  でも今まで食べていた人間の食事と比べると、圧倒的に種類が足りない。

  出してくれる木ノ実なども、ラミアはそのまま食べれても、人間は火を使ってからでないと食べる事が出来ない物が多いです。

  その火を使っての部分が食べやすく、栄養として人間に取りやすくするという事です。

  そして、用意してくれる食べ物だけ食べていると、無性に人間の食べ物が食べたくなってくるのです」


 「それは単純に人間の食習慣から離れられないということではないのか?」


 「その可能性は、僕も考えました。

  ただ、僕は外に出る事があるので、外で取れる人間の食べ物を、最初はラミアの出してくれる食事に飽きたからという理由で、口にしていました。

  でも、だんだん、口にしたいという欲求が強まり、次に口にすると体調に変化が出ました。

  それらを食べ慣れているせいもあるかもしれませんが、ラミアの食べ物以外にそういったものを口にすると、明らかに体調が良いのです。

  体が、欲しがっているのかもしれないと考えました。

  そして今明らかに僕が欲しているのは、獣の肉、魚などなのです。

  もちろん僕が、いえ僕たちが狩人になろうとしていたから、その様なものを特に頻繁に食べていたからかもしれません。

  でも、それらを頻繁に食べていた時と比べ、僕も体が弱くなっていると感じているのです」


 ラーリア様は眉をピクッとさせて、

 「ちょっと待て。

  アレク、お前は体が弱くなってきているのか?

  私たちはお前だけは、体が弱くなっていないと思っていたのだが」


 「いえ、そんなことはありません。 僕も明らかに体が弱くなっています。

  そうですね、僕が今一番明らかに顕著に感じるのは、力が出ません。

  すぐに疲れてしまい、力が弱くなり、持続力も減っている気がします」


 ラーリア様はナーリアたちに尋ねる、

 「お前たちは変化を感じていないか?」


 「さあ、私はそんなに変化があったと思ってなかったのですけど」

 ナーリアがそう答えると、レンスが

 「そんなことない、明らかに運動量が落ちてる」


 「そう言われてみれば、外に出た初日は実を受けるのに走り回っていましたけど、最近は走らないわね」

 ディフィーがレンスに続いた。


 「あの根っこを食べた次の日は少し元気が戻るけど、すぐ運動量がまた落ちる」

 レンスはそんな事も続けた。


 「ということは、あきらかにアレクも、他の者よりはマシだが弱くなってきている、ということだな」

 ラーリア様はミーリア様の顔を見ながら考える仕草をした。


 ミーリア様は渋い顔をして、ナーリアたちの言う事を聞いている。


 ラーリア様は考え込みながら、「ちょっと待て」と言うと、部屋の隅の方に向かった。

 ラーリア様の近くに居た、他の4人のラーリアがラーリア様の方に近づいていった。

 4人で何やらコソコソと話し合っている様だ。


 他の者たちは黙ったまま、その4人の話し合いが終わるのを待った。

 礼儀からか、誰もそっちを見ようとはしないが、皆神経を集中して耳を澄ましている。

 時折短い言葉が聞き取れるが、どうやら僕だけでなく他のラミアもほとんど聞き取れていない様だ。


 僕はどうともしようがないし、ラーリア様たち、ミーリア様たちは10人だけど、やはり5人ごとに立場が違うのかな、と今までのことで思ったりしていた。


 話し合いが終わった様だ。

 「とりあえず、ナーリアたちはこれで良し。 戻って良いぞ」


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