31. 質疑応答なんて
「さて、今日集まってもらった本題に入ろう。
ナーリアたちが世話している人間、アレクだったな。 アレクは他の一緒に捉えた人間とは違っている。
まあ、もちろん最初から精が出せなかったのでナーリアたちに渡されたという違いはあったのだが、問題はそこではなく、今現在アレクのみが連れてこられた当初からの身体的元気さをそのまま保っていることだ。
このことがとても重要な意味があることは、ラーリアたち、ミーリアたちも理解できると思う。
その違いを何が生み出すか、ナーリアたちと検討したところ、二つの推測が出てきた。
まずはその推測について、人間本人であるアレクに尋ねてみたい。
ここまではみんな理解できるな」
ラーリア様たち、そしてミーリア様たちもうなづいている。
あれっ、このラミアたちを前にして、僕が話さなければならない流れ?
緊張で背中を冷や汗が流れるのが分かる。
ナーリアたちは一先ずほっとしてる? 矢面は僕ですか?
「アレク、そんなに緊張しなくても良い。 どちらかと言えば、お前の知恵を借りようという話だ。 楽に問われてことについて話すだけで良い。
まず先に対処が簡単な方から聞こう。
アレク、口移しの水について、どう思う?」
「はいっ? 口移しの水ですか?」
僕は全く予想外の、考えていなかったことを尋ねられ、びっくりした。
予想外は僕だけでなく、ラーリア様たちやミーリア様たちも同様な様だ。
ディフィー・レンス・サーブも意外そうな顔をしている。
えっ、こんな話を朝してたの、ナーリアとセカンは。
「僕が飲んだのは一度だけなのですが、その時の経験をお話しすれば良いのでしょうか」
「まあ、そういうことだな」
「えーと、その、口移しの水を飲んですぐは、なんて言えばいいのか、率直に言うことを許していただければ、性的欲望が高まりました。
役立たずと言われている僕でもそうなのですから、きっとそう言う作用があるのだと思います。
ただ、それは一時的なもので、少し時間が経つと、気持ち悪さと、とてつもなく疲労感を感じました。
僕はその体を動かせなくなる様な疲労感はヤバイものだと思い、ナーリアたちに頼み、口移しの水は飲まないで、普通の水をコップにもらっています」
「口移しの水が人間を興奮させる作用があることは、ここにいるラーリアたち、ミーリアたちは十分理解している。
アレクは、人間にとって口移しの水は有害な可能性があると考えて、それを飲まない様にした、ということだな。」
「しかし我らは人間に対して、ずっと口移しの水を飲ませてきました。」
ラーリア様たちの一人がそう口にした。
「そうだな、そうして例外なく、人間は弱くなっていっている。 だから確定ではなくとも可能性を探しているのだ」
ラーリア様が答えた。
「ラーリアは、人間に口移しの水を飲まさない対応を試してみよう、と考えている様に見受けられますが、それで人間は精を出せるものなのでしょうか。
精が出せねば、何にもなりません」
さっきとは違うラーリア様の一人が意見を言った。
「確かにそこは一番の問題だな。 アレク、そこはどうだ?」
うっ、これは難しいぞ。なんて答えれば良いんだろう。
僕が精を出せる事を知られてもいけないし、口移しの水を飲まされるのも困る。
「そこは大丈夫じゃないかと思うのですが・・・」
僕が困っていると、ナーリアが助けてくれた。
「申し上げます。 私たちナーリアはそこは大丈夫だと考えます」
ラーリア様たちとミーリア様たちの目が一斉にナーリアの方を見た。
「その理由を述べてみろ」
ナーリアはその視線の圧力に驚き、後ずさりそうなのを耐えて
「はい。 私たちは教えられて、その、アレクで遊ぶ様になったのですが、最近はアレクも積極的に、というか私たちを求める様にして遊ぶ様になりましたから、口移しの水がなくても大丈夫だと考えます。」
と真っ赤になって答えた。
そのナーリアの言葉にみんなも真っ赤になっている。
ラーリア様は笑いながら言った。
「この様子を見るに、ナーリア個人ではなく、他の者も、それぞれが自分の魅力でアレクを誘惑できると考えている様じゃな」
ラーリア様は言葉の途中で急に口調が激した。
「ラーリアたちよ、そしてミーリアたちよ、口惜しくないか。
このナーリアたちは口移しの水を使わなくとも誘惑できると、我々に宣戦布告しておるぞ。
私は女としての魅力でこの者らに負けを認めるなどということは断じてできん。
各々好きにして良いぞ、私は今後口移しの水は使わん」
上に立つ者のプライドが、感情的にこの件に関して決着をつけた様だ。
他のラーリアの方たちもそれに続いた。
「我らが、下の者に女としての魅力であっても負けて良い訳がありません。
もちろん私も今後もう口移しの水は一切使いません。」
反対意見が出る訳がなかった。
ナーリアたちは、マズったと、下を向いて身を小さく固めるのだった。




