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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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30. あの大きな部屋へ

 部屋に戻ってきた二人に、残っていた四人みんなの心の声を乗せてディフィーが聞いた。

 「で、どうだった。 ラーリア様は何か言ってたの?」


 ナーリアがちょっと困った顔をして小さな声で答えた。

 「うん、えーとね、話の内容は秘密にしなければいけない、って言われて、何も話せないの。

  自分たちの部屋の中でも例外じゃないと念押しされちゃったから、ごめん、話せない。

  あとね、昼ごはん食べた後で、今度は全員が呼ばれるから待っているように、だってさ」


 セカンが真剣な顔で、ナーリアの言葉を裏付けるように、ウンウンとうなづいている。


 「ええっ、そこまで深刻な話になっているの? 全員呼ばれるの?」

 「げっ、マジ?」

 ディフィーとレンスが目を大きくして、びっくりしてた。


 「うん、マジ」

 セカンがとても簡潔に答えた。


 あー、サーブが見る影もなく、声もなくドツボに落ち込んでいる。

 ナーリアとセカンがその姿を可哀想というかなんか複雑な顔をして見ている。


 僕も複雑な心境だ。

 僕が肉を食いたい、その為に獣獲りたい、火を使いたい、と言ったことが、ここまで大きな問題になるとは思わなかった。

 サーブが僕に「ラミアは火に弱い」と漏らしてしまったことが、大問題になったのかな、とは思うけど、その元凶は僕だからな、と責任みたいなものをちょっと感じる。

 何よりサーブの落ち込み方が激しくて可哀想だしね。

 でも肉を食いたいというか、火を使った料理をしないと、耐えられないというか、絶対に身体がダメになっていく確信がある。 そこは引けない。


 会話も少なく、暗い雰囲気のまま時間がゆっくり進んで行き、少しだけ昼食を食べ、使いのラミアが来るのを待つ。

 その間に、セカンが僕の為に身体に(まと)う布を手に入れてきてくれた。 僕はそれを纏うことを許されたらしい。 他のラミアの目があるから、それはちょっと嬉しい。


 コンコン。

 来た。 ナーリアが即座に扉を開けた。


 「用意は出来てるか?」

 「はい」

 「よし、付いて来い」


 ナーリア、セカン、僕、ディフィー、レンス、サーブの順で付いていく。

 サーブは明らかにシオシオ、トボトボという感じで付いてくる。 ちょっと気になる。


 連れて行かれたのは、最初の日に連れて行かれた大部屋だった。

 入り口の扉のところには明らかに上位のラミアと分かる、どう見ても強そうなラミアが扉を守るように二人立っている。

 なんというか物々しい雰囲気に、僕たちの緊張感はどんどん高まっていく。 レンスが喉を鳴らした音が妙によく聞こえた。


 使いのラミアは扉を守るラミア二人に目配せをすると、扉を叩き、中に声を掛けた。

 「ナーリアたち6名を連れてきました」


 扉が開いた。中から開けてくれたのはミーリア様だった。

 「ナーリアたちは中に入りなさい。 迎えご苦労様でした。 あとは休んで構いません」


 ミーリア様は僕たちと使いのラミアにそういうと、僕たちが中に入るとすぐに扉を閉め閂を渡し開けられないようにした。 そこまでして、たぶん本来立つべき位置に戻っていった。


 僕たちはどうして良いかも分からず、扉の近くで一列になっていた。

 僕は中にいるラミアを垣間見て、本能的に恐怖感で震えた。

 うわっ、初めての日に見た、ラーリア様と同等に感じるラミアたち10名が揃っている。 ミーリア様と後の4人もとても強そう。

 気分は最初にこの部屋に来た日に戻った。 どうにもならない、生きた心地がしない。

 はい、また完全に恐怖で縮んでいます。 また役立たずと言われて、処分されそう。

 ナーリアたちと普通に過ごせたのは夢だったんじゃないかという気がしてくる。

 サーブと同じ様に、完全にシオシオ状態になってしまった。


 「そんな扉のところで固まっていず、もっとこちらに近寄れ」

 「はい」


 ラーリア様の言葉に返事するとナーリアは僕たちに目で促してから、近づいていき頭を下げて礼をした。

 僕たちは次々にそれに従い、同様の行動をした。


 それを見ていたラーリア様はふと苦笑された。

 「ミーリア、一言添えるのをさっきは忘れた様だな」

 「はい、すみません、私も気がつきませんでした」


 ラーリア様は少し優しげな声を出して話をした。

 「そこの最後に並んだお前、えーとサーブと呼ばれているのだったか。

  そんなに心配そうに落ち込んでいなくて大丈夫だから顔を上げろ。

  朝の時点で来た二人には伝えていたのだが、お前が人間に『ラミアが火に弱い』と漏らしてしまったことに関しては、何の罪にも問わないからな」


 サーブはポカンという顔をしたかと思ったら、ここがどの様な場であるかを忘れた様に言葉を発した。

 「えっ、なんで?

  私はなんの考えもなく、アレクにラミアの弱点を教えてしまいました。

  罰を受けて当然だ。 なんて私は愚かなのだろうとずっと考えてて・・・」

 サーブは泣き崩れてしまった。


 たぶん他のラーリアのラミアたちは微笑ましいモノを見る様な顔をして、別に列になっているミーリア様に近い感じの、たぶんだから他のミーリアなのだろうラミアたちは当然という顔をしていて、訳が分からないけどなんだか両極端だ。

 僕たちも、もちろんナーリアとセカンは別だが、訳が分からなかった。


 「それはな、朝来た二人にも教えたが、『ラミアが火に弱い』というのは、嘘でもあり本当でもある、不正確な言い方なんだ。

  正確には『ラミアは人間と同じ様に火に弱い』だ。

  人間にとってもラミアと同じ様に火は弱点なのだ。 変わらないのだよ。

  それから『ラミアにとって火は禁忌』っていうのも大嘘だ。 全くそんなことはない。

  つまり火に関して人間と話そうとも、何も問題はないんだ」

 サーブは訳が分からないという顔をした。 うん、僕も分からない。


 「ま、この件はこれで良いな。

  罪に問われないことは部屋で話しても良かったのだが、この件は私とミーリアにとっては大きな問題ではなかったから、話しても良いと言ってやるのを忘れてしまったのだ。

  色々つまらないことを考えさせる時間を長くしてしまって、すまなかったな」

 ラーリア様は軽くサーブに謝ってくれた。


 サーブと共に僕とディフィーとレンスが分からないという顔をしているのは、当然の様に思うのだけど、ミーリア様以外の同等の感じのラミアたちまで分からないという顔をしている気がする。 うーん、そこも分からない。


 「さて、ちょっと予定とずれてしまったのだが、まず最初にしなければならないことがある。

  今の話も少し引っ掛かるのだが、今からする話は他のラミアに漏れてはいけない。 秘密にするべき内容だ。

  ラーリアたちはもちろん、ここにいるミーリアたち5人も(やはりミーリア様たちだったのね。)以前にしっかりと守秘の宣誓はしている。

  よって今ここでまず最初にナーリアたちにも守秘の宣誓をしてもらう」


 ミーリア様が少しこちらに近づいてきた。

 「ナーリア、一歩前に。 宣誓の仕方は知っているわね」

 「はい」


 ナーリアは跪き、胸に両手を当てて、頭を下げた。


 「私の後に続けて、言葉を述べよ。

  『私はこの場で見聞きした全てのことを』」

 「私はこの場で見聞きした全てのことを」

 「『この場から離れて、一言たりとも漏らさぬことを』」

 「この場から離れて、一言たりとも漏らさぬことを」

 「『父祖様の名にかけて誓います』」

 「父祖様の名にかけて誓います」

 「よし、次。」


 ナーリアが誓い終えると、セカンがそれに続いた。


 「次はお前か、アレク。

  私は人間の宣誓の仕方など知らない。

  約束を絶対に守るという誓いを人間はどの様にするのだ? 誓う方法はあるのか?」


 僕はミーリア様が僕に「アレク」と呼び掛けてきたことにちょっと驚いたが、誓う方法を考えた。


 「僕には誓う対象がありませんので、『亡き父母の名にかけて』というのでは駄目でしょうか。

  僕にとっては絶対に約束を破れない相手です、死んでしまっている両親ですから」


 ミーリア様はラーリア様の方を見て了解をもらった。

 「よし、それで良いだろう」


 僕は前の二人と同じ様に跪き、両手を胸に当てて、頭を下げて誓った。

 「僕はこの場で見聞きした全てのことを、この場から離れて、一言たりとも漏らさぬことを、亡き父母の名にかけて誓います」


ディフィー、レンス、サーブも僕の後に続いた。


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