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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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27. 集まった部屋

 ナーリアの2人が去った後、上位者居住区画はちょっとした騒ぎになっていた。

 ラーリアたちが全員と、ミーリア、ナーリアたち監視役のアーレアのリーダーとその補助についていた三人が、大部屋に集められたのだ。

 ラーリアたちが集められるということは、人間たちはミーリアたち、またはミーレアたちのところに予定外に行くことになり、上位のラミアたちに悲喜交々の感情と喧騒を呼び起こしていたのだ。


 それに加え、ラーリア様が今回の話し合いをとても重要視し、秘密厳守のため、ミーリアから二人、この大部屋の扉の警護に就かせたことも事態に拍車と、様々な噂を呼ぶことになった。


 集まった者を見回して、ラーリア様が言葉を発する。

 「急に呼び立ててすまない。

  今回の件はラーリア全体はもちろん、もしかするとラミアの今後に関わるかもしれないと私は考え、こうして集まってもらった。

  今回の件に、ミーリアの上位5人も呼ぶかどうか迷ったが、とりあえず今回は見送った。

  なお、アーレアとその補助の三人は今回の件の参考になる情報を持っているかもしれないと思いこの場に呼んだが、本来はこの場に加われる立場ではなく、話の内容を知って良い立場でもない。

  よって、この場で見聞きした内容を一切外に漏らさないと、一番最初に誓ってもらう」


 この中で本来参加資格のないアーレアたちを除けば一番立場の低いミーリア様が、アーレアたちに目で促した。

 アーレアのリーダーが一歩前に出て(ひざまづ)き、手を胸に重ね、頭を下げて宣誓した。

 「私、アーレア1位は父祖様の名にかけて、この場で見聞きしたことを外に漏らさないことを誓います」

 他の三人も次々にそれに倣い、元の場に戻った。


 「よし、では皆それぞれその場に座り、楽にしてくれ」

 ラーリア様はそう言うと自分も腰を降ろし、

 「まずはミーリア、今回の件の経過報告をしてくれ」と言った。


 まだ立っていたミーリア様は、手でアーレアたちに「お前たちは座れ」と合図すると、今回の件をナーリアが相談に来たところから詳しく報告した。 そして、自分の意見を最後に加えた。

 「私が思いますに、今回の件の問題点は3つであると思います。

  まず第一に、人間に対してラミアの弱点を教えてしまったこと。

  第二に、人間が獣の肉を食べたがる理由が人間の健康に関わることであるらしいこと。

  第三に、もし獣の肉を食べることを認めると、火の使用を認めねばならないこと。

  この3点に集約できるのではないでしょうか」

 これだけ発言するとミーリアは自分も腰を降ろした。


 「ミーリア、ご苦労。

  ナーリアたちの面倒を誰が見るかをきちんと決めなかったが、お前が自主的に買って出てくれて、とても良かったと私は思っている。

  席次からいっても、お前が適任だった。 良い判断だった」


 他のラーリア様たちもうなづいている。


 「さてさて、まだ短い時間だというのに、ナーリアたちといい、あの人間といい、なかなかやらかしてくれるものだ。

  私たちが考えていた以上かもしれないな。

  イクス様も、ナーリアたちも含め面白い存在だから注意するようにと言われてたがな」


 ラーリア様は他のラーリア様たちの方を向いて、そう話しかけられた。

 他のラーリア様たちも考え込まれているようだ。


 「一つ確認しておきたい。 アーレア、その人間の健康状況というか元気度に変化はあるか?」


 指名されたアーレアは立ち上がり答えた。

 「かの人間の健康には変化がないと思われます。 監視を始めてから今までで目立った変化はありません。 ずっと元気です」


 ラーリア様は難しい顔をして言った。

 「それがそもそもの疑問なのだ。 その人間一人だけ変化がないのだ。

  他に変化のない者はいるか?」


 他のラーリア様たち皆が首を振る。 中の一人が発言した。

 「その人間と、こちらにいる10人と、捕まえた時の健康に差があったとは思えない。

  同じことをしてあの場まで来ていたのだろうし、食べていた物も同じであっただろう。

  何がこの差を生んだのだろうか」


 ラーリア様たちは互いに自分のところにいる人間の状況を確認しあったり、他に何か違いがある者がいないかなどと話し合っている。


 立っていたアーレアはそのまま自分の考えを述べた。

 「確かに、あの人間の言う通り、食べ物によるところはあるかも知れません。

  あの人間は外に出ているので、ラミアが食べない物もかなり自分で採取して食べております。

  あと違いといえば、外に出ていること、体を外で動かしていることでしょうか」


 ラーリア様は苦笑して口を出した。

 「そうだな、こっち側の10人は外に出るのは水場で体を洗う時くらいだからな」


 ラーリアたちは、外で運動させるとしても、その元気が人間に今あるのかとか、先に日光に当たる時間が足りない可能性もあるのではなど、ガヤガヤと議論している。


 「あの、発言させていただいても構いませんでしょうか?」

 補助の一人が手を挙げて発言の許可を求めた。


 「いいぞ、何でも話してみろ」


 補助の一人はきちんと立ち上がると、上ずった声で発言を始めた。

 「はい、私はあの人間とナーリアたちの会話で、以前に一つと今日一つ、今の話に関連するかも知れない話を聞きました」


 ラーリアたちもこの発言に興味を持ったみたいで、議論をやめ、注目した。

 「詳しく話してくれ。」


 補助の一人は注目されより一層緊張し、震える声で話を続けた。

 「ナーリアたちが前に森の斜面を歩いていた時、一人が人間に『これ、掘れるんじゃない。 これでしょ、あの精がつくっていう蔦の根っこ』と言ったことがあり、それを聞いて人間は嬉しそうにその太くなった根を採って行きました。

  もう一つは今日なのですが、火の使用に対して渋るナーリアたちに栄養面から必要を人間が説いていたのですが、またナーリアの一人が『そのことは精を出すのに影響するか?』と問うたのです。 そしてそれに対して人間は『確実に影響するぞ』と答えたのです。 ナーリアたちはその答えを聞いて、ミーリア様への相談を決意した様でした」


 それを聞いてラーリアたちは沈黙し、それぞれに考え込まれている様だった。

 ミーリア様は「何、その話、私は聞いてない。」と一瞬アーレアを睨んだ。

 アーレアは「いえ、私も初耳です。」と手を小さく振り、ミーリア様に合図した。


 それらを見ていた話をした補助の一人は、自分が何かやらかしたかと思い、顔が青くなり、冷や汗が流れるのを感じた。

 あとの二人の補助も、この雰囲気はやばいと、体を石の様に小さく固めていた。

静寂の空間を緊張感と、重量感が支配している。


 ラーリア様はしばらく俯いて考えていたが、今後の行動を決めた様で、唐突にアーレアと補助の三人に言った。

 「重要な報告だった。他に何か話すべき重要なことはないか?

  思いつかねば、アーレアたちはこの場を先に立ち去って良し。

  明日はナーリアたちは外に出さないし、今後ちょっと日程が変則的になるかも知れないが、これからも監視をしっかりと頼むぞ。

  ご苦労だった。

  他の者は話を続ける。」


 アーレアと補助の三人は部屋から締め出された。


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