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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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26. 戻ってきた部屋

 部屋に戻ってきた二人は暗い雰囲気を纏っていた。

 サーブなど今にも床に沈み込んでしまいそうだ。


 「どうしたの? 何かあった?」

 ディフィーが声を掛けた。


 「うん、明日もう一度ラーリア様と一緒に話を聞くから、部屋で待っているように、ってことになった」


 「え、二人はここで呼び出しを待つってこと。」


 僅かに躊躇ったような間の後で、ナーリアが答える。

 「んーん、全員」


 「全員なの?」

 話の流れで、ディフィーがそのまま訊ねたけど、セカンとレンスもしっかりと聞き耳を立てているのが分かる。


 「うん」

 今度は即座に反応した。 重い雰囲気は醸し出しているけど。


 「で、もう一人の落ち込み方が激しい気がするのだけど。」

 ディフィーは、ナーリアの言ったことは、理由はわからないが納得するしかないと割り切ったみたいだ。

 そして、2人が戻って来た最初から気になっていることを、口にしたのだ。


 「うん、アレクにラミアは火に弱いって言っちゃったのを、自分でミーリア様に話しちゃって、怒られたというか、怒るの保留になったというか」


 「え、自分で白状しちゃった?

  あれはちょっとやばいかなとは思った、聞いた時」

 セカンが驚いてそういうと、ディフィーとレンスもうなづいた。


 「誰でもうっかりというのはあるじゃん。

  アレクに危険なんてここにいる誰も感じてないでしょ。

  だからつい考えずに出ちゃったんだよ。

  ただまあ、私もまさかミーリア様にそれを話すとは思ってなかったし、止める間もなくて」

 ナーリアはフォローしているのか弁解しているのか。


 「なるほど、それで全員」

 レンスがサーブにトドメを刺したようだ。


 「ごめん、みんな。 アレクもごめん。

  私、しゃべっちゃいけないなんて、全く頭になくて。

  ミーリア様に咎められて初めて気が付いて・・・。」

 サーブの言葉はどんどん小さくなり消え去った。


 「私、こういうポカをするのはナーリアかなって思ってた。」

 「「ウンウン。」」

 セカンの言葉に、ディフィーとレンスも同意した。


 「何よそれ、どういう目で私を見ているのよ。」

 ナーリアは怒っているが、サーブはよりいっそう落ち込んでいく。


 それを見たディフィーが、もう仕方ないと話を変える。

 「毒を食らわば皿までよ。

  アレク、火のことについて教えて。 私、火のことは何も知らない」


 「教えろと言われても、人間にとってはあまりに基本的なこと過ぎるから、何を教えれば良いのかまったく分からない」


 「みんなが聞きたいことどんどん聞いていけば、分かってくるんじゃない」

 ナーリア、建設的だ。


 「人間は誰でも火が使えるの?」

 セカンが最初に訊いてきた。


 「ああ、余程幼い子供でない限り、誰でも使えるぞ。

  人間は物心つくと、まず火の怖さを教えられる。 そしてどうすれば安全に使えるかを覚えこまされる。 それは誰でもだ」


 質問は続く、

 「火のないところで、どうやって火を点けるの?」


 「いくつかやり方はあるけど、一番簡単なのは火打石を使うことかな。

  僕が押収された道具入れの中にも火起こしの道具は入っていたし、僕の友達も全員持っていたはずさ」


 「もっと具体的に教えて」


 「火打石という硬い石を鉄の棒みたいのに打ち付けるんだ。 すると火花が飛ぶ。

  火種草っていう草があるのだけど、それの乾かしたヤツを揉むとフワフワの繊維になって、そこに火花を飛ばす訳。 そうすると本当に小さな火が着くから、それを口で吹いたりして大きくしていき、だんだんと燃やすものを大きくして、火を大きくしていくんだ」


 「全然イメージできない。 何言ってるのか分からない」


 「こういうのは言葉で言っても分からないよなぁ。

  実際に見てみればすぐに分かると思うよ」


 「うーん、それじゃあ火ってどんなことに使うの?」


 「火の用途は本当に多いぞ。 人間から言わせてもらえば、火を使わないラミアにびっくりだ。

  料理に使うのはもちろんだが、灯りにもするし、様々な仕事にも使う」


 「料理にっていうのは、肉を焼いたり?」


 「ああ、肉や魚を焼いたり、煮たり。 穀物や野菜も煮たり色々するしな」


 「魚って川を泳いでいるヤツ? あれも食べるの?」


 「食わないのか。 旨いぞ。 卵持っているヤツだってあるぞ」


 「そうなの?」


 「今は火の話、灯りって?」


 「今この部屋暗いだろ。 ラミアにはそれぞれが見えているのか? 人間にはこれだけ暗くなるとほとんど見えない。 こんな時、人間は小さな火を点けて明るくするんだ」


 「あ、それは便利かもしれない」


 真っ暗闇になっても話は続いた。

 ラミアたちは本当に火について興味津々だったのだろうか。

 それとも落ち込んでいる一人に気を使ってのことだったのだろうか。


 ここに来て、僕が無用の者でないことが分かってから、夜初めて何もなかった。


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