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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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25. 相談

 ミーリア様には、「いつでも気軽に相談に来て良い」と言われているけど、上位の、それもミーリア様に会うのは簡単じゃないのではないかと、私はドキドキしながら考えた。


 自分からそんな上位の人にわざわざ会いに行くことなんて、当然だけど初めてのことだ。 

 案の定、区画の入り口には門番のような感じの方二人が、おしゃべりをしながらも周りを見張っていた。

 私は大きく深呼吸をしてから、その二人に声を掛けた。


 「ミーリア様に用事があり、ここに来ました。

  ミーリア様にお会いするには、どうしたら良いでしょうか?

  ミーリア様にはいつでも気軽に来て良いと言われています」


 「お前、名は?」


 「はい、ナーリアです」


 「ああ、あのナーリアか。

  了解した、私が取り継ごう。

  ミーリア様の都合を聞いて、後で私がお前たちの所に伝えよう。

  それを部屋で待つように」


 「はい、わかりました。 それでは失礼します」


 私が部屋に引き返そうとお辞儀をした時、もう一人が声を掛けてきた。

 「一つ教えておこう。

  上位の人と会う時には、基本一人ではなく、二人で会いに来るのだ。

  ミーリア様に会いに来る時は二人で来るように」


 「はい、分かりました。 次は二人で来ます」

 私はもう一度深々とお辞儀をして、自分の部屋へと戻った。


 「ああん、緊張したよう」

 私は部屋に戻って中に入った瞬間に心の中を口に出してしまった。


 「で、どうだった?」

 私がどれほど緊張したかなんて、誰も聞いてくれない。


 「どうって、まだ上位の人の居住区画の入り口にいた人に、ミーリア様への取り継ぎを頼んだだけ。

  ミーリア様の都合が分かったら、この部屋に教えに来てくれるって」


 「そうか、それじゃあまだ本番はこれからだな。 頑張ってくれ」

 サーブが完全に他人事という顔でそう言った。


 私は心の中で黒い笑い顔をしながら、しおらしく言った。

 「あのね、上位の人と会う時って、二人で行かないといけないんだって。

  私、注意されちゃった」


 「二人って、もう一人一緒に行かないと駄目ってこと。」

 「そう。」

 4人の視線が見つめた。


 「え、私なの?」

 嫌そうな声でサーブが言った。


 3人は「当然でしょ。」という顔をし、私はついニマニマしてしまった。


 「でもまあ、ミーリア様も忙しいでしょうから、連絡が来るのは明日か明後日か、もしかするともっと後かもね」

 ディフィーが気楽そうに言った。


 「僕としては早くして欲しいのだけど。」

 「私も緊張が続くのは嫌だな。」


 アレクは少し残念そうというか、期待が外れたという感じで言葉を出したけど、サーブは本当に嫌そうな声で続いた。


 その時、コンコンと扉を叩かれる音が響いた。

 「ひえっ。」

 みんな声にならない声をあげて、びっくりした。


 私は急いで扉を開けに行った。 扉の外にいたのは、さっきの人だ。


 「ミーリア様はすぐに会うそうだ。

  急いで来るように」

 「はい。」


 連絡に来てくれた人は、たったそれだけを告げるともう去っていってしまった。


 「なんなのよ、この早さは。 こんなの聞いてない。」

 サーブがアワアワと狼狽えている。


 「とにかく行くわよ。」

 私はサーブを引っ張って、急いでミーリア様のところに向かった。

 残されたみんなは呆気にとられていたみたい。


 上位の人の居住区画の入り口から、ミーリア様の部屋に案内してもらうと、ミーリア様は部屋の奥正面にクッションに保たれて座って待っていらした。


 「ごくろうさま。 二人は中に入って、そっちのクッションの所に座って構わないわ」


 連れてきてくれた入り口の見張りの人を労い、私たちに指示をした。

 私たちは扉から中に入ったところで頭を下げ、指示の通りクッションのところにぎこちなく座った。

 扉をどうしようかと思ったが、連れて来てくれた人が閉めて出て行ってくれた。


 「さて、わざわざ訪ねて来ての相談とは、何かあったのかしら?」


 「はい、お手間を取らしてしまって、すみません。

  実は私たちの所にいる人間が、『獣の肉を食べたい』と言い出しました」


 「えーと、それは食べるものが足りてないということなのかしら?」


 「いえ、本人は『十分食べている』と言っています」

 「私たちが用意する以外も本人が自分でラミアが食べないモノなども採って食べているので、量的には不足はないと思います」

 サーブも、私の言葉に自分から言葉を足してくれた。


 「それでは何で人間は『獣の肉を食べたい』と言うの?」


 「人間が言うには、人間は獣の肉も食べないと、栄養の足りない部分が出来て体が弱くなってしまう、とのことです」

 「それと私が感じましたのは、彼は人間社会で獣を獲ることを仕事にしようとしていたので、獣を獲りたいのかもしれません」


 「なるほど。 そういうことだったら、人間に獣を獲ることを許可しても良いかという事なの?

  ああ、そういうこと、確かに獣を獲るためには、その為の何かしらの道具が必要でしょうからね。

  そして、その道具は武器になるかも知れないわね」


 私だけじゃなくてサーブも、あっ、という顔をした。 そんなこと、全く考えても、いや、気づいてもいなかった。


 ミーリア様は、そんな私たちを見て、言葉を続けた。

 「何なの、この事は考えてなかったの。

  獲るにも道具は必要だろうし、獲った後の作業にも刃物が必要でしょ」


 「はい、おっしゃる通りです。 私たちはその点を全く忘れていました」


 「という事は、もっと他にも何か問題があるという事ね? この事を忘れてしまうような」


 「はい、人間は獲った獣の肉を食べる為に、火を使わせてくれ、と言い出したのです」


 ミーリア様の顔は明らかに急激に曇った。

 「ラミアにとって火の使用は禁忌なのは当たり前のことだが分かっているのよね」


 「はい、もちろんです」

 「私もラミアが火に弱いことを説明して、火の使用は難しいと人間に言いました」


 「ちょっと待って。 あなたは人間に、『火はラミアの弱点だ』と教えてやったの?」


 サーブは急に真っ青な顔になり俯いて、震える声で答えた。

 「すみません。何も考えず教えてしまいました」


 しばしの沈黙の後、

 「とりあえず今はその点については責めない。

  続きを話して」


 サーブが完全沈黙してしまったので、私が話を続けるしかない。

 「人間はそれを聞いて、離れた場所から見ててくれとか、煙突というものをつけた竃というものを作れば火の粉は防げるとか、何とか火が使えないかと交渉してきました。

  それだけどうしても獣の肉を食べることは人間にとって必要なのだ、と言っています。

  それで困ってこうして相談に来ました」


 ミーリア様はしばらく沈黙して考えている様だったが、急に立ち上がると、

 「ちょっとここで待っていなさい」

 と言い、部屋から出て行ってしまった。


 沈黙の時間が流れていった。 たいした時間ではなかったのだろうが、サーブにとっては特に長かっただろう。

 扉を開けて入ってきたミーリア様は宣言する様に私たち二人に告げた。


 「明日、ラーリア様がこの件などにつき直接話を聞くそうよ。

  あなたたちは明日は仕事に行かないで、全員部屋で待っている様に。

  こちらから迎えを差し向けるわ。

  今日はもう部屋に戻って良いわよ」


 私たちは立ち上がって頭を下げると、そそくさとミーリア様の部屋から出た。


 ナーリアとサーブをミーリア様の部屋に案内したラミアは、立ち去る二人が余りに意気消沈していたので、何があったのだろうかと考えた。

 もちろんそれをミーリア様に聞いてみることなんてできない。


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