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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
間の日々

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264. 予期せぬ訪問者

 ミーリア様とアレア様は、前回と同じように3日後に戻ってきた。

 それは想定通りのことで、何も驚くようなことではないのだが、とても驚く出来事があった。


 僕らはそろそろ戻ってくるかなと思って、ミーリア様たちに着いた時にすぐ出せるようにとお茶の準備などをしていた。

 空を来ると、特にラミアは尻尾の下側は覆うものがないので冷えるからね。

 そんな感じで、まあのんびりと待っていたのだが、思っていた通りに空を飛んでくるのが見えた。

 ラミアが2人と人間が1人、ハーピーに吊り下げられて飛んでくるのが見え始めた。

 空だからかディフィーではなく、屋外にいたサーブが珍しく一番最初に見つけて、家の中に声を掛けた。

 僕たちが出迎えに外に出ると、ラーリア様とイクス様もミーリア様を即座に労うためだろう、外に出てきた。

 ハーピーが空を飛んでくる速度は、急いでいなくても地上を来るのとは違い、最短距離で来ることもあるかと思うが、とても速い。

 僕たちが外に出ると、すぐに到着した。


 「ミーリア、予定通りに戻ったな」

 「ミーリア、ご苦労様」

 ラーリア様とイクス様がミーリア様に声を掛けた。


 「わざわざ出迎えていただいて、ありがとうございます」


 「すぐに体を温められるようにお茶が用意してあるぞ、中でゆっくり今回の・・・」


 「あの、ラーリア様、その前に」


 ミーリア様がラーリア様の言葉を途中で遮って何かを言うなんて、これも珍しい事だ。

 ミーリア様はラーリア様の言葉を遮ると、後ろを振り返り、ちょっと紹介するような感じで言った。

 「アルフレッド殿が、私たちが戻ってくるのに同行して来られました」


 一緒に飛んで来た人間は、ミーリア様が領主の館に行くのに同行したハキではなくて、アルフさんだった。


 とりあえずアルフさんにも中に入ってもらって、お茶を飲むことにした。

 まあ当然なのだが、初めてハーピーと空を飛んだアルフさんは、まだ足に力が入らないような状態だった。

 とりあえず僕とサーブで両側から肩を貸して、家の中に入ってもらい、テーブルのところの椅子に座らせた。

 お茶がみんなに配られたが、アルフさんの横にはアンが付き添って、声を掛けている。


 「アルフ様、空を飛んだのは初めてですか?」


 「アン、様はやめてくれ。

  ああ、初めてだ。 情けない姿を見せちゃったな」


 「初めてで、この長距離を飛ばれたのでは、仕方ないです。 ちっとも情けない姿ではないです。

  私も初めて飛んだ時には、もっとずっと短い距離だったのに、腰が抜けたようになって、しばらく動けませんでした」


 「そうか、それなら私がこんなでも恥ずかしくないのかな」


 「私だけでなく、アレクやデイヴやキースも初めての時は腰が抜けたみたいになったと言ってましたし、普通です」


 一段上がった部屋からメリーも音が気になったのだろう、子供から離れて出てきた。

 今は子供たちはセカンとディフィーが見ている。


 「アルフお兄ちゃん、いらっしゃい。

  メリーたちのお家に会いに来てくれたの」

 メリーはアルフさんを見ると駆け寄って、そう言って話し出した。


 「ああ、ちょっと会わなかったからな。

  メリーがどうしているかなと思って見に来たぞ」

 アルフさんがメリーに話を合わせた。


 「メリーはね、赤ちゃんが生まれたから大忙しだったの。

  赤ちゃん、とっても可愛いんだよ。

  アルフお兄ちゃんも、見てみて」


 「そうか、メリーはお姉ちゃんになって忙しかったんだな。

  もう少し後で、お兄ちゃんもゆっくり赤ちゃんに会ってみたいな。

  その時はメリーが赤ちゃんにお兄ちゃんを紹介してくれ」


 「うん、分かった。 メリーにお任せ」


 家の入り口の扉が少し乱暴に開けられた音がしたと思ったら、デイヴが中に駆け込んで来た。

 アルフさんが1人で来たことが分かった時点で、レンスがデイヴに知らせに走ったのだ。


 「兄貴、1人で飛んで来るなんて、何か重大なことが起こったのか?!」


 デイヴが、ラーリア様、イクス様、ミーリア様が居るのに、挨拶もせずにアルフさんにほとんど怒鳴るような調子で尋ねた。


 そうだよなぁ、僕らは一緒に帰ってきたミーリア様とアレア様に少しも慌てた様子がないので、なんとなくのんびり構えていたが、普通アルフさんが1人で飛んで来たなら、重大なことが急に発生したと疑うよな。

 デイヴの言葉の調子があまりに強いので、ハーピーの女性2人は驚いてビクッとするし、男連中はニヤニヤと笑いそうだ。


 「デイヴィッド、落ち着け。

  お前が焦るような重大なことは何も起こっていないから」


 空を飛んで来た影響から少し脱して、普段の調子に戻り出していたアルフさんは、血相を変えて飛び込んで来たデイヴに、ちょっと嬉しいような、ちょっとからかうような調子でそう言った。

 「まあ、お前が焦るようなことを助けるためにやってきたという面もあるのだけどな」


 アルフさんのその言葉に、ミーリア様とアレア様が苦笑いを顔に浮かべた。


 「デイヴ、うるさい!!

  あんたが大声を出すから、赤ん坊が驚いて泣き出しちゃったじゃない」

 ディフィーが部屋の奥から出てきて、デイヴを怒った。

 メリーがその言葉を聞いてすぐに部屋の奥に向かって行った。


 「イクス様、そういえばそろそろお乳の時間ですね」


 「そうね、ラーリア、とりあえずお乳をあげてきましょう」


 「ということで、アルフレッド殿、ちょっと先に赤ん坊にお乳をやってくるので、少し待っていてほしい」


 「はい、私は全く構いませんので、ゆっくり赤ん坊にお乳をあげてください」


 ラーリア様とイクス様が奥の部屋に向かおうとしたら、入り口の扉が乱打されて、言葉と共に1人駆け込んで来た。

 「失礼して、中に入らせていただきます、アレオです。

  アルフレッド殿が1人で急に来られたということで、心配されたラリオ様に、大急ぎで様子を見て来いと命令されました。

  奥の共同住宅では、ラリオ様とラーリン様を中心に即応体制をどうするか話がされています。

  ミーリア以下も、いつでも対応できるように待機しているようにと、上位全体に伝達がされました」


 どうやら大ごとになっているようだ。

 焦ったようにミーリア様が命令した。

 「何も緊急事態は起こっていない。 心配するようなことはない。

  平時に戻すように。

  ロア、アレオと一緒に行って、騒ぎを収めてきて。

  それからアレオ、ラリオ様に『アルフレッド殿が泊まれる場所を用意して欲しい』と私からの伝言を伝えて。

  2人とも即座に動いて」


 アルフさんが、とても申し訳なさそうな顔をしている。


 「兄貴、結局ここに来た用事は一体何なんだよ。

  何事かと思って、ラミアの里は大騒ぎになっているぞ」


 「すまん。

  確かに俺が1人で何の前触れもなく急に来たら、何か緊急事態かと思うよな。

  考え足らずだった。

  みなさん、申し訳ない」


 「いえ、私もすぐに対処をするべきでした。

  アルフレッド殿が謝ることではありません」


 ミーリア様がそう言うとレンスが

 「私がまだ事情が分からないうちに、デイヴを呼びに行ったことが、こんな事態を生じさせてしまいました。

  すみませんでした」

と謝った。


 それを聞いたミーリア様は

 「私もレンスが奥に向かうその場に居て、それを良しとしたのです。

  レンスの行動に問題はありません。

  レンスが責任を感じる必要はありません」

と即座に言った。


 もうなんか混沌としているなぁ、と思った時、いち早く泣いている赤ん坊のところに戻って行ったメリーが、何故か青い顔をして大急ぎだが音を立てないようにしてやってきた。


 「みんな、とにかく静かにして。

  あのね、センお姉ちゃんが本気で怒っているの。

  『うるさくて泣き出した赤ん坊が、おっぱい飲んでやっと泣き止んでもうすぐ寝そうなのに、また何を騒いでいるの』って。

  あのね、本当に怒っていて、静かにできないならどうしてやろうかって、怖い顔しているの。

  今、ラーリアおばちゃんが、『セカン、本気でどうやって罰を与えようか考えなくて良いから』って、センお姉ちゃんを止めているのだけど、ディーお姉ちゃんが『いいえ、騒ぐ者たちには罰を与えるべきです』って言い出しちゃって。

  それで、イクス母様が、『メリー、とにかくこれ以上2人を怒らせないように、みんなを静かにさせて来て』って。

  だから、静かにしなくちゃダメなの。

  なんかよく分からないけど、センお姉ちゃんが本当に怒ると、メリーなんだかとっても怖いの」


 「あ、俺たち、そろそろ暗くなるから、今日は帰るわ」

 「私も、みんなと一緒に今日は帰るわ」

 アライムの言葉に珍しくモエギシュウメが同調して、ハーピーが一番に逃げ出した。


 「メリー、またな」

 ハライトがメリーにだけ声をかけて、大急ぎで出て行った。


 「兄貴、とりあえず緊急事態という訳ではないのだな」

 「ああ、そんなことはない」


 「それじゃあ、兄貴は俺と一緒に行こう。

  ミーリア様、話をするのは明日でも構いませんよね」

 「ええ、それで構わないわ」


 「デイヴィッド、でも今挨拶もしないでここから立ち去ったら、ラーリア様とイクス様に無礼じゃないか?」


 「大丈夫だ、ラーリア様とイクス様も分かってくれる。

  兄貴、考えても見ろよ。 あのセカンとディフィーが俺たちに罰を与えようと本気で考えようとしているんだぞ。

  俺は正直どんなことになるか考えたくもないぞ。

  それにここは今、人が一杯で兄貴が泊まる余裕はないから、どうせ寝るためには移動しなくちゃならない。

  ラリオ様が寝る場所は考えておいてくれてるだろうし、晩飯もここでなくて奥でもミーレナさんに言えば兄貴の分くらい作ってくれるし、とにかく避難だ」

 デイヴがアルフさんを引っ張るようにして出て行った。


 デイヴとアルフさんが出て行ってすぐに、それと入れ替わるように、静かにボブとロア様が家に入って来た。


 ボブが小声で僕に聞いてきた。

 「今、すぐそこでデイヴとアルフさんと行き合ったんだけど、デイヴが

  『とにかく、静かに家に入れよ。 静かにだぞ、絶対大声を出したりするなよ。 

   子供が寝かけているところだから、静かにしないと怒られるぞ』

  と、ものすごく真剣に言われたんだが、何かあったのか?」


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