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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
間の日々

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263. 訓練再開、ラーリア様たちも

 その後も友たちの発言というか、やりたいこと、今進める必要があることの提案は続いた。

 ダイクからは道の復旧のために、石を切り出す必要が語られ、ヤーレンからは今までラミアの里では栽培されていなかったが、栽培を勧める作物の話がされ、その種を早急に得る必要が語られた。

 忘れられると困るという感じで、バンジが春からの建築のためには、今からどんどん建築用の木を切り出す必要がある、と語った時は僕らナーリアとバンジのところ以外のラミアの雰囲気が怖かった。

 それに加えてまたしてもレンスが発言し、紙の量産の必要を説くと、ラーリド様・エレク・セカン・ディフィーがそれを強く支持して、アンが時期的に原料の枝の採取を急がないといけないと説明した。


 もうとにかく大急ぎで今からすぐにでも取り掛からねばならないことを、友たちとレンスたちが次々と列挙していったため、ラーリア様たちとミーリア様たち、そしてアレア様・ロア様・アリファ様は平然としていたが、ミーレア以下の起きるのが遅かったグループのメンバーは、人間とナーリアの面々がラーリア様たち・ミーリア様たちを前にして、何のためらいもなく次々と発言すること、またその言葉をラーリア様たち・ミーリア様たちが、みな重要なこととして考えながら真剣に聞いていることに驚いて、あっけにとられていた。


 とりあえず一段落したところで、ラーリア様が言った。

 「この冬ずっと起きていた者にとっては見慣れた光景だが、後から起きた者にとっては驚く光景だったのかも知れんな。

  お前たち、近接戦闘だけでなく、これが今の人間たちとナーリアたちの実力だ。

  冬籠りをしないというアドバンテージはあったにしても、その間どれ程の努力があったかを考えてみよ。

  お前たちも負けてはいられないことだろう」


 ミーレア以下のグループはみんな厳しい顔をしていた。

 ただエーレアたちだけが、「よし、自分たちも頑張れば」という感じの明るい顔をしていた。


 「とはいえ、今の話全てを一気に進めることは出来ません。

  優先順位をつけて、進めていくことになります。

  とりあえず一番優先順位が高いのは、道の復旧ですね」


 「ミーリア、全員が道の完全復旧作業に向かわなくても良いんじゃない。

  さっきのアンの言葉では、これから紙作りをするには、大急ぎで今、原材料となる木の枝を採らねばならないようよ。

  そっちにも少しは人員を割いても良いでしょ」

 ラーリド様は、前にセカンとディフィーに紙作りを命じていたからか、紙を作ることも優先したいようだ。


 「そうね。 紙は私も優先してほしいわ」

 イクス様もラーリド様に賛同したので、


 「分かりました。

  ナーリア、エーレアも含めて、あなたたちは紙の原料採りをしてちょうだい。

  それから紙を作るのに必要な器具なども、アンに聞いたり、図書館で調べれば分かるでしょう。

  原料の採取はもちろんだけど、紙の試作までを命じます」


 これって、道の復旧作業とどちらが楽なんだろう。

 言い出しっぺのレンスにセカン・ディフィーは喜んでいるけど、他は複雑な顔をしている。


 なんだろうか、みんなの視線がラリファ様に集まっている気がする。

 ラリファ様はちょっと困った顔をして、周りをちらっと見まわしたが、仕方ないと決心したような感じで言った。

 「えーと、ミーリア、残りのみんなで道の復旧を急ぐとしても、これからはダイクの言うように、石を切り出して補ったりの作業となったりもする訳だな。

  そうなると、残り全員が一同に作業するというのは、今までの土などを退ける作業とは違って、単純に効率が良いとは言えなくなるのではないかと思うのだ。

  そこで、道の復旧の作業効率を第一に考えつつも、全員が揃って作業しなくても良い時は、別の作業、ま、具体的には木を伐る作業だが、それも並列的にしても良いのではないか」


 ミーリア様はやれやれという顔をしたが、

 「それを並列的に行うことを認めてしまうと、重点がそっちにいってしまうかと心配なのですが、ラリファ様がそうおっしゃるのでしたら、道の復旧作業の都合で手が空いた時には、並列的に木を伐る作業を進めることも認めることにしましょう。

  道の復旧に関しては、ミーレオ、お前が中心となって精一杯早く全てが復旧するように仕事を進めろ。

  木を伐る時は、バンジの指示に従え。

  もう一度みんなに言うが、道の復旧を最速で進めるのが第一だ。

  木を伐ることが、その妨げになるようなことは許さない」


 「鉄鉱石に関しては、レンス、採石できる場所にボブを連れて行って、もう一度確認するように。

  アスファルトや鉄鉱石を売るにしても、道の復旧が終わらねばどうにもならないから、そっちはそれからの話になるが、先に話を通しておく必要があるだろう。

  ハキ、すぐに私はまた領主館に向かうが、その時お前も同行して、実家で話を通しておいてくれ」


 ミーリア様の今までの話をまとめた上での指示に、みんなちょっと緊張した感じで頷いた。


 「ラーリア様、今のところこんな感じで良いと思うのですが、どうでしょうか」


 「そうだな、ミーリア、こんなところで良いだろう。

  ただし、1つ言及し忘れていることがある。

  これは全員で例外は認めない。

  午前中は戦闘訓練だ、これからはラーリアも出る」


 その翌日、朝食が終わるとすぐという感じで、ミーリア様とアレア様、そしてハキが領主の館へと飛んで行った。

 ラーリア様が僕たちの家にいるので、それに連なってミーリア様・アレア様・ロア様も結局僕たちの家に居たので、ハキが来るまで待っていた形だ。

 僕は僕の防寒具が必要かと思って用意して待っていたのだが、ハキはキースに防寒具を借りて来ていた。

 ラミア2人と人間1人を運ばねばならないので、ハーピーは5人ともやって来た。

 ハキが飛ぶのが初めてだったが、大丈夫なようだった。


 ミーリア様たちが飛び立った後、ラーリア様たちは全体会議での宣言通り、戦闘訓練に参加した。

 ラーリア様たちは訓練場になっている奥への入り口の広場に子供たちも連れて来て、そこで子供たちを順番にあやしながら、戦闘訓練をするつもりだったみたいだが、前日とは違い日は出ていたのだが風があったので、仕方なしに子供におっぱいをあげてから、順番に当たったサポート担当に子供を預けて参加した。

 ただ、もう子供が体がある程度大きくなり気候もかなり暖かくなって来たし、屋内では常に抱いている必要は無くなって来たので、子供2人に1人の担当の形に訓練の時はしたようだ。

 それに次の授乳の時の都合を考えて、子供は僕らの家に集められている。

 ちなみにイクス様も参加するとのことで、訓練には参加しないアンとメリーがティッティアとシャイナを家で見ている。


 「我々ラーリアはちょっとブランクがあるから、まだ本気の訓練という訳にはいかないが、気合を入れて訓練を行うように。

  ああ、ナーリアも少しブランクがあるな、あまり無理はするな。

  ま、すぐに始めよう。 我々は次の授乳までの間だからな」


 ラーリア様はラーリアは「本気の訓練とはいかないが」と言っていたが、剣の素振りから始まった訓練が進んでいくと、どんどん激しいものになっていった。

 最後の得意武器による実戦形式の訓練になると、僕たちは無理のない訓練という特別扱いで、ラーリア様たちとミーレナさんとに訓練の相手をさせられていた。


 「サーブ、一本調子でなくなったのは長足の進歩だが、戦場は一対一の戦いとは限らないぞ。

  意識が目の前の相手に行き過ぎて、周りへの警戒が希薄になりすぎだぞ。

  ラーリベ、サーブに見え見えの隙ができたら、軽く石打で突いてやってくれ」


 ただでさえラーリア様と対峙して、一杯一杯のサーブは何度もラーリベ様に突かれている。


 「サーブ、戦場だったら、もう何度死んだかな。

  ラーリベ、役割を代わろう」


  ラーリベ様の得物は僕ら人間が使っているよりほんの少し小さめな大身槍だ。

しかしサーブやラーリア様の使うハルバートより攻撃範囲が少し広い。


 サーブはラーリア様に尻尾の方を叩かれた。

 「サーブ、相手の攻撃範囲が広いのを意識し過ぎて体が伸び切っている」


 それでもサーブはラーリベ様に油断をしていなかったはずなのだが、ラーリベ様の攻撃をまともに受けてしまった。

 「サーブ、すぐ修正しないと、もう一回攻撃するよ」

 ラーリベ様がサーブに、そう重圧をかけた。


 「相手の間合いで戦おうとするな、自分の間合いに引き込むことを考えろ。

  間合いはセカンの居合だけの問題じゃないぞ。

  まずはもっと色々に対処できるように、尻尾に余裕をもたせろ」

 ラーリア様にそう言われても、サーブはもうほとんどパニックだ。


 レンスはというと、イクス様とラーリド様の2人がかりで攻められている。

 「レンス、あなたの双剣は私と同じでスピードと手数で相手の隙をついたり、圧倒しようとする。

  ラーリドの双剣はそれとは違い、どちらかというと双剣というより二刀流という感じの、一対一では攻防一体、多対一では全方位攻撃を目指した技。

  あなたはそのどちらも使えるようになりなさい」


 「イクス様はどちらもこなせると思いますが、私はイクス様やあなたほどのスピードはない。

  でも今のレンスは、スピードに頼り過ぎで、まだまだ双剣であることを活かせていないわ。

  今日はいないけどアレアもスピードタイプだったから仕方ないのかもしれないけど、これからは双剣の利点を生かした技をみっちり教えるわよ」


 レンスはイクス様と戦ってはスピードで押し切ることができずに叩き伏せられ、ラーリド様にはスピードを殺されて、次の手を出せずに叩き伏せられている。

 双剣使いの上位はイクス様とラーリド様なのだが、2人とも卵を抱えて口だけでの指導だったので、まだまだ教えられていないことが多いみたいだった。


 ディフィーとロア様はラリト様に2人で打ち掛かっているのだが、2人とも良いように叩き伏せられた。

 「ディフィーは小柄でも扱える武器ということで薙刀を選んだけど、もう体格も良くなったし、そのハンデを補うためだけでないことを覚えるべきね。

  ロアはもっと問題よ。 あなたは最初から体格に問題がないのに薙刀を選んだのだし、剣もちゃんと扱えていたのだから、もっと戦い方に創意工夫をしていなければならないはずだわ。

  それがなんでディフィーと同じことしかできないの。

  2人で訓練していたからといっても、それはあなたの怠慢よ」


 ロア様は地面に正座(?)させられて、ラリト様に怒られている。

 ディフィーはどうしようかと迷ったみたいだが、ロア様の隣に同様に座って、神妙な顔をしている。

 ロア様は普段は飄々とした感じで、氷のミーリア様の前に出る時以外は、あまり何を感じているのか判らないようなところがあるのだが、今回ラリト様に怒られているのは骨身に沁みている感じだ。


 セカンはというと、ミーレナさんと例の如く、居合の練習をしている。

 で、ミーレナさんが軽くセカンと立ち合ってみた。

 僕は両手が使えるセカンが絶対的に有利だろうと思ったのだが、結果はミーレナさんの勝ちだった。

 抜き打ちのタイミングは一緒で、そのスピードも優劣つけ難かったのだが、セカンはミーレナさんの首を狙いにいったのだが、ミーレナさんは最初からそのセカンの刀を打ち落としにいった。

 二撃目を打つために、セカンが一瞬体を引こうとした時、ミーレナさんはその動きに合わせて体を寄せ、セカンが気づいた時にはミーレナさんの左手についていた棒のギミックがセカンを殴り倒すところだった。

 ミーレナさんがセカンに当てないために、左手を引いたから、セカンには当たらなかったが、完敗だった。

 「あらっ、初撃がダメだった時には、セカンからも何かしらの二撃目が来ると思ったのだけど」


 僕はというと、早々にラーリナ様に伸されていた。

 といってもラーリナ様が特別何かをした訳でもない。

 ラーリナ様も槍を使うのだが、僕がいくら攻撃しても、一歩たりとも動かなかった。

 かわされ、弾かれ、いなされ、とにかく僕の攻撃全てを防がれる。

 そうして僕の息が上がったところを、足を払われたり、胸を石付きで突かれたりで、僕は何度も転がされたのだ。

 「そう簡単に相手に自分の攻撃が通らなかった時に、ムキになって攻撃するだけじゃダメよ。

  それじゃあ、体力をすり減らすだけでしょ」


 もう1人完膚なきまでに叩き伏せられた人間がいる、キースだ。

 キースはラーリン様に呼ばれて、その相手をしたのだが、あのキースが全く手も足も出なかった。

 ラーリン様は前に剣でデイヴに負けているのだが、剣は不得意で、その実力は全く発揮できなかっただけらしい。

 キースはラーリン様に言われて一番得意な武器として剣を選び、ラーリン様は棒を選んだ。


 「あんな棒、反則だろう。

  どうしたら良いのか、全く反応できずに、一方的にやられた」


 ラーリン様の棒は、三節棍というらしいが、棒がラーリン様の動かすギミックで、一本の棒になったり、三本を鎖でつないだ形になったりと、姿を変えるのだ。

 戦っている最中にそれが変わり、尚且つ変則的に尻尾も襲ってくる。


 はあ、やっぱりラーリア様たちはバケモノ揃いだった。


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