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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
過去をただす

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248. 対フロード4

 朝一番最初にやって来たのはエーレアたちだった。


 「朝一でアリファ様に起こされて、これらの食材を運べと命令されたのよ」

 「私たちは寝てたところを起こされたんだけど、これ準備していたアリファ様はもしかしたら寝てないんじゃないかしら」


 そうか、普段はハキかエレク、さもなければケンあたりがアリファ様の仕事を手伝うけれど、今回は作戦上の都合で僕らは敵地に突入する組になっているから、アリファ様には手伝わせるという選択肢はなくて、一人で準備することになっちゃったのか。

 エーレアたちが戻り、僕らが朝食の準備を始めていると、次にミーレナさんがやって来た。

 ミーレナさんも随分と早い。


 「ミーレナさん、随分早く来ていただきましたが、ちゃんと休まれましたか?」ナーリアが尋ねている。


 「ええ、大丈夫よ。 私は昨晩は先に帰らせてもらったし、帰ったら奥の方の仕事は終わっていて、すぐに休めたわ」


 「それなら良いのですけど」


 それからほんのちょっとでアリファ様も来た。

 サーブとレンスがアリファ様に駆け寄った。

 「アリファ様、寝てないですよね」


 「少しは寝たわ」


 「つまりほとんど寝てない」


 僕も声をかける。

 「アリファ様、上がった部屋で、少し寝てください。 まだメリーも寝てますから、少しは休まないと今日後での移動とかが苦しくなっちゃいますよ」


 「大丈夫、それを心配して、アレアとロアが私の防具や武器を持って来たり、持ったりしてくれることになっているから」


 「でも、とにかく出来るだけとりあえずは休んで、幾らかでも寝てください」


 「そう、ありがとう。 それじゃあ、少し甘えて、横にならしてもらうわ」


 竃の前ではミーレナさんとアンが主になって、それをセカンとナーリアが補助して、騎士たちのための朝食を作っている。 食堂の方ではサーブ、レンス、ディフィーがテーブルのセットとかをしているので、それを僕も手伝う。


 そうこうしているうちにメリーが目を覚して、起きてきたようだ。

 「お兄ちゃん、メリーが目が覚めたら、近くでアリファお姉ちゃんが気持ち良さそうに寝てたの。 だからメリー起こさないように、そうっと起きて来たの」


 「そうか、メリーは偉いな。 アリファお姉ちゃんはとても疲れているから、まだ寝かしといてあげたかったんだ。 それに気がついて、そうっと静かに起きて来たメリーは本当に偉いな」

 メリーは僕がそう褒めると、嬉しそうに胸を張った。


 程なく朝食の準備が整うと、それに合わせる様にアレア様とロア様が完全武装をした騎士たちを案内して現れた。 自分たちも武装している上に、アリファ様の装備を持って来た。

 ナーリアが食堂の方に騎士たちを招き入れると、アン、メリー、レンスが最初にお茶を配りだした。


 「アレク、アリファは? 来てるよね。 装備、持って来たから」

 ロア様がそう聞いてきた。


 「今、アリファ様は上がった部屋で寝ています」


 「そうか、それならなるべく寝かせておこう。 アリファはほとんど徹夜だったからな。 私たちが手伝うと言ったのだが、『今回はあなたたちの方がこれから動き回ると思うし、これは私がイクス様から引き継いだ仕事だから任せて』と言って私たちに手伝わせなかったんだ。 同様に人間も手伝わせる訳にいかなかったから、一人で準備してたから寝てないんだ」

 僕は想像したとおりだったなと思った。


 騎士たちの食事は、サーブ、セカン、ディフィーも加わって配ったので、もう全員に配り終わり食事が始まっていた。


 「さ、私たちもこっちで食事をしましょう。 アレア、ロア、まだ可哀想だけどもうアリファを起こして、今一緒に食べないと食べ損なっちゃうから」

 アレア様、ロア様がアリファ様を起こしに行った。


 僕たちはテーブルと上がった部屋の入り口の段差に腰掛けて、朝食をとった。


 「アリファ様、あまり時間がなくてほとんど眠れませんでしたね」


 「ううん、アレク、そんなことは無いわ。 とても気持ち良くよく寝ちゃって、途中でメリーが出て行ったのも知らなかったわ。 短い時間だったのかもしれないけど、体が軽くなった感じよ」


 僕たちは急いで食事を終えた。 アレア様とロア様はアリファ様の武装を手伝うと、騎士たちの案内に回った。

 僕たちは自分たちの防具をまず着け、それから馬と馬車を用意する。

 ただし今回、僕たちは弓は使用することは無いので、持っていかない。 僕の槍も使うことが想定されていないので持っていかない。

 馬車にそれ以外のみんなの武器や、アリファ様の盾や槍を積み込む。

 とりあえず、僕が騎乗する馬の鞍にはメリーが跨り、僕が引いて行く。

 馬車はアンがとりあえず御者をしているが、少しでも休んでいて欲しくて、アリファ様には乗ってもらった。 アリファ様一人が乗っているのでは、乗るのが申し訳なさそうだったので、ミーレナさんにも乗ってもらった。


————————————————————————


 「アリファ、本当に頑張っているわね」


 「いえ、そんなこと。 私なんてまだまだです。 ミーレナ様こそ、本当に頑張っていらっしゃって、なんでこんなにたくさんのことがお出来になれるのだろうって、私いつも思っています」


 「もう、様付けはやめてってずっと言っているのに。 今でも様付けして私を呼ぶのは、あなたたち3人くらいよ。

  それに、あなただって、前とはすごく変わったわ。 私が出来る様になったことが、もしあなたより多いとしたら、それは同じ片手でも私の方が少し動く部分が多いからだけよ。 でも、そんなこと関係ない。 今ではあなたは、不死身とか鉄壁とかの二つ名で呼ばれる最強の戦士になっているし、こうしてイクス様の後継者としてしっかり仕事しているのだもの。 誇りに思って良いことだわ」


 「そうなのでしょうか。 私、以前が今から思えば駄目過ぎたので、今は少しはちゃんとしようと思っているのですけど、まだまだだと思うことが多くて」


 「あら、以前が駄目ってことは無いんじゃない。 ちゃんとアーリアの役を果たしていたのだから」


 「いえ、とんでもないです。 私はゴブとの戦まで、自分のことしか考えてなかったダメダメで、そのために戦線を崩壊させるという事態を仕出かして、ミーレナ様にまで大怪我を負わしてしまいました。 ミーレナ様はご自身の怪我は自分の責任であって、誰のせいでもないと言ってくださいますが、私は今、身近でナーリアたちや人間たちがラミア全体の為に一生懸命に命がけで動いてくれているのを見て、そしてまた、ラーリア様やイクス様、ミーリア様たちの考えていることも接することが多くなったからか、いくらか理解できるようになったら、自分がどれ程駄目なラミアだったか、日々思い知っている気持ちなのです」


 「何を言ってるの、アリファ。 あなたはナーリアたちにも人間たちにも尊敬されているじゃない。

  私から見ても、近接戦闘訓練にあなたが参加するようになって、訓練の質はずっと上がったわ。 あなたの訓練に対する真剣な気持ちが、人間やナーリアたちに伝わって、訓練を一段階も二段階も上の質にしたのよ。 人間たちがあなたが倒れていない限り、絶対に立ち上がって訓練を続けるのは、あなたに対する絶大な尊敬よ。 そんなあなたが駄目ラミアのはずがないじゃない」


 アリファ様は涙をこぼした。

 「ミーレナ様、私、少しはまともなラミアになれているということでしょうか。 今、私、とても幸せです。 やっといくらか自分を肯定的に見れそうです」


 「そう、アリファは今、幸せを感じているのね。 私も今、最高に幸せよ。 アリファもこの次の冬にはきっと卵を抱えることになるだろうから、そうしたら私と同じように最高の幸せを感じられるわよ。 その為には、私もアリファも出来る限りのことをしましょう。 こうして卵を抱えていると、この卵を守らなきゃ、バンジを少しでも助けなきゃ、そしてもっと大きくラミアの里を守らなくちゃ、という気持ちが以前よりずっと大きくなるの。 そしてその為なら何でも出来ると思える。 アリファも一緒でしょ。 卵はまだだけど、ケンの役に立ちたい、みんなの役に立ちたい、みんなを守りたいと思うでしょ」


 「はい、その思いは日々とても強くなります。 でも私の片手では、ラリファ様のようにケンの炭焼きは手伝えませんし、私はケンにも他の人にもしてもらう事ばかりが多くて、してあげられることが本当に少ないのです」


 「それで今回は一人で頑張っちゃったのね。 誰もそんな風に思ってないわ。 あなたが努力していることはみんな知っているんだし、一人で頑張ることは無いのよ。 あなたを手伝うことを、みんな喜びこそすれ、嫌がることはないわ。 例えばあなたの武器や防具の手入れを、サーブとレンスは喜んでしているじゃない」


 「ええ、いつも申し訳なく思っているのですけど」


 「別に良いのよ。 二人は『私たちはアリファ様に装備の手入れを任されているんだ』って、エーレアたちに威張ってたりするんだから。 まあ、感謝はするべきだと思うけど。 これは極端な例かもしれないけど、ハキやエレクが物品係の仕事を手伝う時だって、喜んでやっているわ。 大丈夫、あなたは十分に認められて、尊敬されているのだから」


 「ミーレナさん、アリファ様、到着しました」


 「あら、速かったわね。 アリファと話していたから、あっという間に着いちゃた気分だわ。 アン、御者、ご苦労様」


 私は御者をしていて、聞こうとした訳ではないが、ミーレナさんとアリファ様の話を聞いてしまった。 何となくいつでも威風堂々とした感じのアリファ様が、内心ではあんな風に考えていたのだと、ちょっとびっくりした。 そして、アレア様やロア様が時折見せるアリファ様への気配りの意味が、何となく私にも分かった。


—————————————————————————————-


 ラミアの里の前の広場で、全員に向けての作戦計画の説明が終わった。 即座にミーリア様の命令が下される。

 「それでは計画通り、ミーレア、先行して人間の道のところのカモフラージュを撤去せよ。 その他の者はしばし待機」


 ミーレオ様たちが1台の馬車と共に先に出発した。 馬車はカモフラージュを撤去するための機材を載せてあるからなのだが、ミーレアはまだ誰も御者ができないので、ギュートがミーレアと共に先行した。


 僕はちょっとデイヴ、キース、ボブと共に、アルフさん、クラッドさん、ブマーと軽く打ち合わせをして、雑談に移行していた。

 そこにミーリオ様がやってきた。


 「デイヴ、ちょっと良いか。 アルフレッド殿もよろしいでしょうか」


 デイヴとアルフさんがミーリオ様の方に近付くと、ミーリオ様はちょっと声を大きくして

 「ラリオ様、ちょっとこちらにお越しください。 アレオ、ローも来て」

と言った。


 デイヴはちょっとゲッという顔をした。 僕も、「あ、そういうことか」と思った。

 それに気がついたミーリン様も、キースとクラッドさんに対して同じことをしている。 こっちの方が一人多いけど。

 キースも諦め顔だ。


 「アルフレッド殿、忙しくて機会が持てなかったのだが、ちょっと時間が空いたので、デイヴから精を得ている者を全員紹介させていただけないだろうか」


 「はい、それは私としてもぜひお願いしたい事柄です」


 「それでは、まずこちらが今デイヴとの卵を抱えているラリオ様です」


 「おおっ、あなたが私の初めての姪の母になる方なのですね。 デイヴィッドの兄のアルフレッドです」


 「私はラリオです。 ラーリアグループに属しています」


 「ラーリアグループというと」


 ミーリオ様が言葉を引き取って言った。

 「はい、ラリオ様はラミアの里の最上位グループのお一人です。 ラリオ様だけでなく、今、卵を抱えているラミアはほとんどがラーリアグループなんですよ。

  そして、もう二人、アレオにローです」


 「アレオです。 アーレアグループに属してます」


 「ローです。 アーロアグループに属しています」


 「お二人とも、はじめまして。 アルフレッドです」


 「本当はもう一人、先行してしまったミーレアグループの中にミーレオという者がいます。 後ほど、上手く時間があれば、ご紹介したいと思っているのですが」


 「はい、分かりました。 その時間が取れれば嬉しいですね。

  それにしてもデイヴィッド、私はお前が羨ましくなったよ。 母上と父上にはお前が美女に囲まれていたと報告してやろう」


 「兄貴、煽るようなことを言うのはやめてくれ。 それにそんなことを言うと、兄貴にだって大きな影響が出ると思うぞ」


 集まったラミアたちはクスクス笑っている。 デイヴが不審な目を向けるとラリオ様が

 「セカンとディフィーから話は聞いている。 アルフレッド殿はまだ独身ということで、母君から結婚を急かされてしまったという話だろ。

  それからデイヴ、私もみんなもお前がアンの様な人間の妻も持つということには大賛成だから安心してくれ」


 「セカンとディフィーの奴、そんな事までラリオ様たちに話しているのか。 全く何でも話せば良いという訳ではないだろうに」


 デイヴが渋い顔でボヤくから、少し離れて見ていた僕とボブまで笑ってしまった。

 キースも渋い顔をしているから、きっと同様なんだな。


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