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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
過去をただす

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205/206

205. 合間の一日

 午前中の訓練は、ミーレオ様たちミーレアが加わることになって、少し様相が変わってきた。

 途中までは今までと同じように訓練が進むのだけど、最後に剣と自分の好きな武器との両方で、ミーレオ様たちが僕らに挑戦してくるのだ。

 僕らにというのには、ミーリア様たちミーリアが含まれないだけで、ナーリアたちもアレア様、アーロア改めロア様、アリファ様なんかも含まれる。 流石にアリファ様は剣だけで戦うということはないので、剣では誰も挑まないが、他は関係なしにミーレオ様たちは挑んでくる。

 でも徐々に実力が分かってきたらしくて、ミーレオ様たちは剣ではキースとデイヴには挑まない、負けが見えているらしい。 そして、セカンとレンスは、刀と両手剣ということで、得意なものと変わらなくなってしまうので、この二人にも挑まない。 そしてもう一人、サーブも剣で挑まれることはない。

 残りが挑まれるのだが、アレア様、ロア様はミーレアの一員ということになるので、この二人も剣ではほとんど挑まれず、結局剣では人間9人とナーリア、ディフィーが挑まれることになった。

 で、戦ってみるのだが、自分でも意外だったのだが、結構楽に捌けてしまうのだ。

 何よりも僕らより剣が軽い、というか力がないので、鍔迫り合いの形に持ち込んだり、剣を弾いてしまえば勝負にならない。 そこまでしなくても、キースやデイヴと立ち会うよりはずっと楽なので、結構余裕があるのだ。

 そしてかなり悔しい思いをしている感じで、ナーリアとディフィーに向かっていく。 ナーリアとディフィーは逃げたいという雰囲気だったのだが、いざ立ち会ってみたら負けない、というより勝ってしまっている。

 二人とも何故勝てているのか分からないという顔をしている。


 それを見ているミーリア様は当然という顔をしているし、ロア様はディフィーにまた言っている。

 「だからディフィー、前にも言ったでしょ。 あなたは私と同じくらいに強くなっているから自信を持ちなさいって。

  薙刀であれだけの動きが出来るようになれば、剣だってそのくらいには使えるわよ。

  大丈夫。 今ではあなたは十分強い。 まだ負けてはあげないけどね」


 うん、最後の一言が実にロア様らしい。


 こんな調子だからそれぞれの武器に持ち替えてからは、相手にならなかった。

 ラーリア様が声を掛けた。

 「ちょっと実力差があって、あまり訓練にならないな。

  少し集団でのハンデ戦にしてみるか。

  アレア、ロア、アリファ、3人でミーレア5人を相手してみろ」


 ミーレアはミーレル様以下の5人が前に出てきた。

 アレア様、ロア様、アリファ様は強かった。

 アリファ様が前に出て、攻撃を引き受ける形をとり、その脇をロア様が守り、相手に少しでも隙が出来れば、そのスピードでアレア様が攻撃してくる。

 手も足も出ないという感じでミーレアの5人が負けた。


 「もうなんなのよ。 アレア、ロアが強いのは、同じ訓練をしているレンスとディフィーが強かったから、なんとなくもっと強いんだろうと思っていたのだけど、アリファはなんなの。 どう攻撃すれば良いのよ」

 ミーレク様が癇癪を起こしたような声でそう言った。

 ミーリア様たちは、みんなクスクスと笑っている。


 「どうだ、ミーレオたち、凄いだろう。

  アリファの二つ名をお前たちに教えといてあげよう。

  アリファはな、ここでは鉄壁のアリファ、または不死身のアリファと呼ばれているんだ。

  正直我らミーリアもどうしたらアリファの防御を破れるのか、全く出来る気がしない」

 ミーリオ様が笑いながら主にミーレオ様に向かって言った。


 それを聞いていたミーレン様が叫んだ。

 「ナーリア!!」


 「はい、何でしょうか、ミーレン様」

 ナーリアがびっくりした声で応えた。


 「あなた指揮官でしょ。 どうしたら良いか教えなさい」


 「はい? あの、もし敵としてアリファ様に対したらですか?」


 「決まっているでしょ。 今この状態で他に何があるのよ」


 「すみません、ミーレン様、私たちナーリアでそれを考えたことがあることはあるのですけど、答えは全員同じでした」


 「だから早くそれを教えなさい」


 「はい、逃げます。

  全く勝てる気がしません。 一目散に逃げます。

  アリファ様は装備が重いですから、逃げるだけなら出来ます。

  アリファ様と戦うのは、実際にアリファ様がこの姿で戦っているところを見たことのある私たちは、絶対に嫌です。 拒否します。

  それは自殺行為にしか私には思えません」

 あー、もうダメだこれは、という感じで、ミーレン様が地面に座り込んだ。


 ミーレト様がアリファ様に声を掛けた。

 「アリファ、お前上位に復帰しなさいよ。

  アレアもロアもミーレアに上がったから、お前もミーレアに上がりなさいな。

  人数の問題があるなら、私が降格しても構わないから」


 「そうだな、私でも構わない。

  どうせ私はミーレアが死んで、暫定的にミーレアの指揮をしているだけだからな。

  指揮は、アレアかロアの方が上手いし、ちょうど良いかも知れない。

  私が下がるからアリファが上がれ」


 「こら、お前たち、何人事を自分たちで勝手に決めているんだ」

 「そうよ。 それにアリファは私の代わりに物品係なることが決まっているのだからミーレアにはなれないわ」

 ラーリア様とイクス様が、見かねて口を挟んだ。


 「イクス様、お言葉ですが、こんな最強みたいな奴を物品係にしておくことはないと私は思うのです」


 「あら、私もつい先日まで物品係だったのだけど」

 ミーレオ様は、詰まって沈黙した。

 ミーリオ様がミーレオ様の肩を叩いて、気持ちは分かると慰めている。


 「それでも、これほど実力差を見せつけられては、私はミーレアとして情けなくて」


 「あー、気持ちは凄くよく分かるなぁ。

  私たちも急に起こされたかと思ったら、戦闘訓練に加えられて、愕然としたもんね」


 「そうそう、全くどうしようかと思ったわよ。

  この不死身のアリファなんて、寝ている隙に噛み付いて気絶させておこうかと何度思ったことか。

  アリファさえ立っていなければ、人間が立ち上がって来なくなるかと思って」


 「あー、私もそれ考えた。 人間はアリファを見て立ち上がってくるから、アリファさえどうにかすれば、少しは地獄の訓練が楽になるかと思って」


 「そうそう、それでどうにかアリファを先にダウンさせようとするのだけど、本当にアリファは不死身なのよね。 訓練の時間の間は決してダウンしないのだもの。

  それなら訓練以外の時に気絶させておこうかって考えるよね」


 何だか、ミーリアの下5人が凄まじいぶっちゃけ話を始めてしまった。

 ミーレアの8人がちょっと引いている。


 「あの、それ、本気で考えていたの?」

 ミーレク様が小さい声で尋ねた。


 「本気も本気、めちゃくちゃ本気よ。

  あなたたちは今こうしてまだ喋っている余裕があるけど、私たちは訓練の後、動けなくて、這うようにして温泉に行ってたんだから。

  言っておくけど、私たちというのはミーリアの下5人だけじゃないよ。 全員よ、全員」


 「ミーリア全員・・」


 「違う。 全員って言っているでしょ。 ミーリアだけじゃなくて、人間もナーリアたちも、アレアもロアも、流石に不死身のアリファだって訓練が終われば崩れ落ちて自分では動けなくて毎回引き摺られて行くのよ」


 ミーレアの8人が、現実感がないという感じで、ぽけっとしてる。


 「何、その地獄絵図」


 「だから、私たちは起きてから、私たち以外は起きる前から、そういう時を経験してきたの。

  正直に言えば、あなたたちが人間やナーリアたちに敵わないなんて、当然すぎる程当然なのよ。

  あなたたちはそこまでの時間を経験してないでしょ。

  でも大丈夫。 あなたたちも同じように経験させようと、ラーリア様たちがとても良い笑顔をしているから」


 ミーレアの8人はギギギという感じで、周りで訓練を見ているラーリア様たちを見て、その後で自分たちの顔を見合わせて、乾いた笑いをその顔に浮かべた。


 「さて、これでミーレアたちも全員が自分たちの実力を思い知って、訓練に一生懸命に取り組む気持ちになったことだろう。

  今日はほんの準備体操程度だったが、明日からはまた、いつもの調子に戻して訓練を行うことにしよう。

  ミーレアは明日からは人間たちを見習うと良いぞ。 人間たちはアリファが倒れていない限り、何度でも立ち上がるからな。 まずはそれだけでも真似をしろ。

  ま、一番難しいかも知れないがな」


 今日の訓練は大したことはしていないので、僕たちは温泉には入らず、大急ぎで食事だけして、午後は大鳥を獲りに行った。

 僕は馬に乗り、僕の鞍の前にはメリーが乗っている。

 ナーリアたちは馬車の中に居る。 御者はもちろんアンだ。


 今回はもう一台の馬車と、他の馬も居る。

 馬にはデイヴとキースに加え、ハキとヤーレンが乗っている。

 馬車の中にはボブとダイクとアレア様、ロア様、アリファ様が乗っていて、ギュートが御者をしている。

 そして馬車の後ろにも綱で馬が4頭引かれていた。 つまり馬を全部連れてきているのだ。


 「草原に行くのだからな。 馬の運動になるし、少しは食べられる草があるだろう」

 ギュートはそう言って、馬を全頭連れてきた理由を話した。


 ギュートの目下1番の心配は馬の飼料が足りないことなのだ。

 そしてギュートは自分の馬車に乗っているボブとダイクに言った。


「お前らにも馬に乗れるようになってもらうぞ。

 今日は大鳥を獲るのが目的だけど、明日からは馬も特訓だ」


 「おい、ギュート、俺とダイクもということか」


 「お前たち二人だけじゃない、エレクも、ケンも、バンジもだ。

  全員、ちゃんと馬に乗れるようになってもらうぞ」


 ボブがやれやれという顔をしているのが見えた。

 それにしても蹄鉄も作るボブが馬に乗れなかったのは、僕はちょっと意外だった。


 大鳥は僕らが1羽、ボブたちとアレア様たちの組が1羽の2羽獲った。

 アレア様たちは大鳥の狩は初めてだったので、ちょっと面白がっていたが、そんな大したことなく、平然とこなしていた。

 獲ろう思えば今回ももっと取れたが、必要ないので、必要な2羽だけだ。 本当なら1羽でも良いかも知れない。


 狩は簡単に終わり、馬に運動させたり、ほんのいくらかある青い草を食べさせる。

 ちょっと試しに大鳥を馬で追ってみたが、大鳥の逃げ足の方が速かった。

 走る速度は変わらないか、もしかすると馬の方が速いのだが、大鳥の方が小回りが利くというか方向転換が素早いので、上手く追えないのだ。

 大人数で追い込む形にすれば、もっと一網打尽に大鳥を確保できるかも知れないけど、そんなことする必要もない。 今の獲り方で十分だ。


 アーリア様とアーリル様の防具用として持って行く大鳥の革は1羽分で十分だし、大鳥1羽の羽毛で布団が楽に2枚はできる。

 僕らが必要なのはアンの分の布団1枚分、あと3枚布団ができることになる。

 アーリア様とアーリル様の洞穴に、布団を持っていけばと考えはしたのだが、布団となると二人とも受け取らないだろうということになり、羽毛の残りはちょうど良いのでアレア様とロア様とアリファ様の分ということになった。


 防具作りに関して、ボブとダイクがセカンに作り方の指導の為に、アーリア様とアーリル様の所に一緒に行ってくれないかと頼んでいた。

 セカンは快諾したようだ。


 ギュートは大鳥がいる草原の草をちょっと期待していたみたいだが、馬の食糧問題は解決しなかったようだ。 表情が冴えない。


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