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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
過去をただす

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196/228

196. 居るのだった

 その日早めにみんながそれぞれの夜を過ごす場所に戻って行った。

 イクス様もラーリア様たちと一緒に戻って行ったので、レンスがホッとした顔をしている。

 アンがどうして良いか分からずに不安そうにしている。


 「とりあえず何か作ってもう少し食べない?

  今日は良く動いたから、何となくまだ食い足りない気がする」


 「そうね、ラーリア様たちの前で、いくら気にせずに食べながらで良いと言われても、食べながら話をしていたから、何だか食べたんだかどうだか、私も分からない様な感じだったから」


 「そうだったな、ナーリアとアレクはラーリア様たちの方に残されてしまっていたんだったな。 それじゃあ、確かに食べた気がしてないだろう」


 僕の言葉にナーリアが賛成して、その言葉にサーブがコメントした。


 「それなら私が米を炊く」


 「セカン、量を間違えるなよ。 アンとメリーの分もあるから3人分だぞ」


 「たまには私も炊いた米も食べたいから、もう少したくさん炊くわ」


 「床下温める火ももう点けて良いのよね。 私がそこをやるわ」

 ディフィーがそう言って、


 「作業場に持っていった、熾火の台に載せた炭火もちゃんと回収しないとダメね。

 サーブ手伝って」

 ナーリアがそう言い、


 「コップとかも片付けないとダメだから、私も作業場の方の片付けを手伝うよ」

 レンスもそっちに加わる様だ。


 「それじゃあ、僕は干した魚でも取ってきて、それを切ったり焼いたりするか」

 僕もそう言うと、アンが言った。

 「あの、私も何かしないと、いえ、何かさせてください」


 「とりあえずメリーについていてやってくれ。 そろそろ一度目を覚ましてもおかしくないんじゃないか。 その時に近くにいなかったら、とても不安になるだろうから、それじゃあ可哀想だ」

 サーブがアンにそう言った。


 僕たちがそれぞれの作業をしていると、サーブが懸念していた通り、メリーが目を覚ました。

 メリーは目を覚まして、一瞬状況が分からず驚いた様だが、近くにアンが居るので安心したのか、すぐに落ち着き段々とちゃんと目が覚めてきた様だ。

 目が完全に覚めると、メリーは興味津々で僕らの周りをあちこちと動き回って、ちょこまかと僕らにちょっかいを掛けてきた。

 ま、子供ってそんなもんだよね。


 アンはそれに困って、どうにかメリーを静かにさせようとしていたので、

 「アン、別に構わないよ。 子供は知らないところに来たらあんなもんだろ。 誰も気にしないから、メリーの好きにさせてやって大丈夫だよ。

  手持ち無沙汰で困っているなら、魚が焼けたから、これをテーブルに運んでくれないかな」


 テーブルにアンとメリーの席も作り、食事を始めた。

 アンはラミアが水に浸しておいただけの米を食べているのに、ちょっと驚いている。

 僕は人間とラミアの食生活の違いについて、簡単にアンに説明してあげる。


 「でも、私たちラミアは人間の食べ物が嫌いな訳じゃないのよ。 いえ、どちらかと言うと、すごく好きかも知れない。 ただ、ラミアにとっては人間の食べ物のほとんどは美味しいけど、エネルギーにはならないのよね。 米も炊いた米は美味しいけど、エネルギーにはならないのよ」

 ディフィーが好意から僕の言葉に付け足して解説しているのだけど、たぶんアンは言っている内容を理解できてないぞ。


 メリーは辺りがもう完全に暗くなってきたからか、お腹も一杯になったからか、またウトウトし始めた。

 アンに、メリーをまた寝かせる様に言った。


 アンとメリーは一段上がった部屋に行った。

 僕たちは自分たちだけになったので、話題を変える。


 「レンスは今日はどうだったの?」 ナーリアが聞いた。


 「緊張した。 ミーリア様の命令が『気付かれない様に』だったから、正直どうしたら良いか分からなくて、アレア様に尋ねて、やり方を教わって実行した」


 「どうやったの?」 セカンが聞いた。


 「気付かれない様に後ろから忍び寄って、片手で口を塞いで、首を斬った。

  初めてのことで緊張して、心臓の音で気付かれないか心配だったけど、何とか上手くいった」


 「ディフィーは?」


 「私は、アーロア様にアリファ様の反対側のサポートを命じられた時は、私には出来るとは思えなかったので、すごく狼狽えたんだけど、ほとんど何も言う暇もなく敵が来ちゃって、そしたらアリファ様が『はい、ディフィー』って言って、敵を突き飛ばして私の方に転ばしてくれたから、反射的にその敵を斬っただけで、考える暇も何もなかったわ」


 「ディフィーはそう言っているが、私の目から見ても素晴らしい斬撃だったな。

  アーロア様が『ディフィーは私と同じ様に出来る』と言っていたが、私は正しい評価なのかも知れないと思ったぞ」


 「そんなことはないわ。 それはアーロア様が私を励ましてくれた言葉よ。 私とアーロア様では全然違うわ」


 「でも、アーロア様はラーリア様に、『ディフィーは、自信を持てば、私と同等』って言ってたぞ」


 「ほら、私の評価と変わらないじゃないか。 ディフィーは自己評価がいつでも低過ぎるんだ。 もっと自信を持って良いと私は思うぞ」


 サーブの言葉に僕も口を出した。 ディフィーにはもっと自信を持ってもらいたいなあ。


 「セカンはもう何て言って良いのか、言うことないわよね。

  またなんか速くなったよね。 私なんてもう良く見えなかったわよ」

 ナーリアの言葉にセカンが言う。


 「そんなことない、やっぱり焦って、ちゃんとした間合いでは斬れなかった。

  今回は役に立てたけど、こんな腕じゃ次はダメかも知れないと、冷や汗が出た」


 セカンが、たぶんミーレナさんもだと思うけど、どんな高みを目指しているのか、もう全然想像できない。


 「それにしてもセカン、改めて礼を言うよ。 助けてくれて、ありがとう」


 「アレク、私ももう一度言う。 最後まで油断したら駄目。 本当に危ない」


 「うん、今回は骨身に沁みたよ」


 「サーブ、アレクはどうだったの?

  私は突入して行くところまでしか見てないのだけど」


 「私だって、そんなに見てないさ。 私が追いかけたのは随分後だったろ。

  でも、いくらか見た感じとしては、たぶん私では相手できない。

  アレクだけじゃないけど、人間はみんな、もう私より強いと思う。

  たぶん本気でやったら、ミーリア様たちよりも強いんじゃないか、流石にラーリア様たちに勝てるかというと、ちょっと微妙だけど、それだって可能性がない訳じゃないと私は思った」


 「何それ、それって凄いんじゃない」


 「ああ、凄いぞ、ディフィー。

  技術ではもうミーリア様たちに引けを取らないし、それに加えて、男だからな、力では私たちは叶わない。

  それであの長い槍を使って戦われたら、私にはもう無理だよ」


 「アレク、ミーリア様もサーブと同じ様なこと言ってたけど、自覚ある?」


 「ナーリア、そんな自覚ある訳ないだろ、訓練では僕は毎日ミーリア様たちに叩き伏せられているのだし、今回だって、無我夢中で全然自分が強い自信なんてある訳ないよ」


 「でも、お前らみんな無傷で完勝だったじゃないか」

 サーブにそう言われて、あ、確かに、と思った。


 「でも、それを言うなら、もっと上の人がいる気が僕はする。

  アリファ様はどうだったの」


 「アリファ様は別格よ。

  私たちが何か言えるレベルじゃないわ。

  本当に鉄壁よ、全く敵が手も足も出なかったわ。 アリファ様がいる限り、その後ろは絶対に安全な気がする」

 ナーリアの言葉にセカン、ディフィー、そしてサーブも賛成した。


 「自分で提案した戦い方だけど、とにかくアリファ様は強い、硬い。

  戦うとしたら、私には攻略の糸口もつかめない。 私なら逃げる。 唯一重いからスピードがないから、私なら逃げ切れる」


 「私も逃げるな。 あのアリファ様に有効打を入れられる想像が全くできないからな」


 「私なら、見た瞬間に逃げるわよ、敵だとしたら」


 実際にアリファ様が戦う姿を見た4人は、アリファ様は完全に別格扱いにしている。

 僕もちょっと驚いたが、レンスも目を丸くして聞いていた。


 「でも、今回一番緊張したのはナーリアじゃない。 もの凄い汗かいてたよね」

 ディフィーがそう言うと、セカンとサーブも頷いている。 僕もナーリアが攻撃の命令を出す前に、身体中汗びっしょりだったのには気が付いていた。


 「うん、最初は緊張して手とか顔とかに汗をかいていたんだけど、それから色々と自分の命令がダメな想像をしちゃったら、今度は背中からどっから冷や汗がどっと出ちゃって、もう訳がわからない感じで汗かいた」


 「ま、初めての指揮みたいなもんだもんね。 仕方ないのかな、私にはよくわからないけど」


 「うん、一番最初にゴブを弓て射った時が初めてなのかも知れないけど、あの時は上手くいかなかったら逃げようとしていたから、そんなに感じなかったのだけど、今回は人数も多いし、逃げる訳にはいかない状況だし、直接の近接戦闘をする命令だったし、こんなに指揮するのが大変なことだとは思ってなかったと言うか、実際に自分でしてみたら、本当に想像以上だったと言うか」

 ナーリアの声はだんだん小さくなってしまった。


 サーブがちょっと気分を変える様に言った。

 「今日は疲れたし、もう寝よう。

  で、今日は順番は無しにして。 ナーリアに譲ってやろう」


 「そうね、今日はそのくらいのご褒美はナーリアにあって良いと思うわ」

 ディフィーが賛成し、セカンとレンスも同意した。


 「えーと、実は僕もやっぱり緊張したからか、興奮したからか、一回で終わりにできそうにないのだけど」


 「それなら、次は1人で戦ったレンスだな」

 今夜はサーブが差配している様だ。


 「アレク、手や口も総動員して。 私も今夜は我慢できそうにない」

 セカンがそう言うと、ディフィーも

 「それを言うなら私も」と言った。


 「みんな、ずるいぞ。 私は今日は全然役に立っていないから、ちょっと遠慮していたのに。 私だって我慢できないんだ」

 ナーリアはもういそいそと一段上の部屋に行こうとしている。


 「あ、忘れてた!!」

 部屋に上がったナーリアが声をあげた。


 「はい。 何か用事があるのですか?」

 中からアンの声がした。 そうだった、アンとメリーも居るのだった。


 僕たちは気分が盛り上がってきていて、その存在をすっかり忘れてしまっていた。

 とは言っても、もう僕たちが止まるのは無理な状態だ。

 僕もここから何もしないのは無理だ。


 「アン、ラミアが男の精を得ようとするのは知っているよね。

  それからラミアは基本裸で生活する種族なんだ。

  それで、今日は色々あったから、興奮しちゃっていて、それはラミアに限らず僕もなんだけど、もう止まらないんだ。

  ごめん、見なかったこと、聞かなかったことにして」


 「アン、ごめんなさい。 ラミアも普段ならこんな場合我慢するんだけど、今日は私たち我慢できないの」

 そう言うとナーリアはおもむろに着ていた服を脱ぎ、僕に抱きついてキスしてきた。


 そこからは初めてゴブを殺した夜と同じ様に、いやそれ以上にみんな乱れてしまった。 やはり戦いのために緊張が極限まで高まっていたのだろう、その反動なのかもしれない。


 しばらくして、やっと騒ぎが収まったと思ったら、まったく予期してなかったのだが、アンが声をかけてきた。

 「あの、アレクさん、まだ起きてますか?」


 僕は流石に冷静になったらアンが気になって、まだ眠れないでいた。

 僕はアンが声を掛けてくる状況が思いつかなかったので、何か突発的なことが起こったのかと思って、上半身を起こしてアンに尋ねた。

 「何か、問題が起こったの?」


 僕の少し切迫した感じの声にびっくりして、アンが慌てて言った。

 「いえ、そんなことはないのですけど・・・」


 僕はちょっとホッとして、それなら何だろうと思った。


 アンはとても躊躇っていた感じだが、意を決した様に

 「あの、私も裸になったら、混ざっても良いですか。

  私もみんなと同い年なんです。 私も我慢できないんです」


 アンは僕の返答を聞かずに、服を脱いだ、そして僕に抱きついて来た。

 僕はその前にセカンとディフィーが目を覚ましていて、アンのために場所を開けているのに気がついていた。


 アンは僕に抱きつくと

 「私、まだしたことないから、本当にはできないんです。

  アレクさんも、流石にもうできないですよね。

  でも抱きついていても良いですか」


 そう言って、僕の体に回した腕に力を込めて、抱きついていると思ったら、急に声を上げて泣き出した。

 僕はアンの髪を撫でてあげることしかできなかった。

 ナーリアたちももうみんな気がついていて、静かにその姿を見ていた。


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