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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
過去をただす

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192/232

192. 女と子供を連れて

 僕たちがアンとメリーの父親を作った墓に埋葬し、仲間のところに戻ると、商人とその護衛は、道から森に少し入ったところに一人づつ穴を掘り埋葬されていた。

 今は野盗もどきを埋めるための大きな穴を道の反対側に掘っているところだった。

 その穴掘りはミーリア様たちが担当している。


 友たちが何をしているのかというと、デイヴとキースは盗賊の持っていた武器などを詳しく見て何か話している。

 最後にミーリア様に馬鹿なことを言って怒りをかった男の、外して鞘ごと投げて来た剣が何か問題があるみたいだ、それと他にも2-3本の剣を別に分けて、他は鍛治の材料とするのか、ボブに渡している。

 野盗の身につけていた防具は僕から見ても見るべきものはない気がしたのだが、デイヴとキースもそれらは簡単に確認しただけで、そのままにされた。


 もちろん金属は回収されている。

 ボブは、ダイクとケンに手伝ってもらって、剣その他の金属を荷造りしている。


 ハキとヤーレンはギュートの指示で、馬をとりあえず馬車から外して、少し離れた場所に纏めて世話をしている。

 馬は野盗の襲撃のとばっちりで怪我するだけでなく、自らもパニックになり怪我したりもしている。

 商人の馬はラミアに慣れていないからか、ラミアの誰かが近づくと興奮してしまうので、人間がラミアから離して世話しているのだ。

 僕はハキとヤーレンに指示しているのを見て、初めてギュートが馬の世話の知識が深いだろうことを知った。

 ハキの家は雑貨屋だから荷車は使い慣れているから、もちろん馬も扱える。

 ヤーレンは農家の出身だから、もちろん馬も使役している。

 その馬に慣れているはずの二人に指示していて、二人もそれに従っているのだから、ギュートの方がより詳しいということだろう。


 バンジはエレクに手伝わせて、襲撃の混乱で壊れてしまった馬車の応急修理をしている。

 商人の乗ってきた馬車もここにそのまま放置しておく訳にはいかない。


 野盗を穴に放り込むのはミーリア様たち任せにする訳にもいかず、僕たちもその作業に参加した。

 その作業をする間、アンとメリーは少し離れた位置で休んでいてもらった。 こんな作業をまだ幼いメリーに見せたくはない。


 その作業が終わった時、エレオンが舞い降りて来た。

 「ラーリア様たちに今回の結果は知らせて来ました」


 「ありがとう。 私たちはこの後洞窟の方に行ってから戻るのだが、ハーピーの3人はもう戻ってくれ。

  すまないが、また何者かが現れたらすぐに知らせてほしい」


 「了解しました。 それでは」

 ミーリア様に報告を終えて戻ろうとするエレオンに声を掛けた。


 「エレオン、協力ありがとうな。 アライムとハライトにも宜しく伝えてくれ」


 「ああ、アレク、それじゃあ、またな。 後片付け、頑張ってくれ」


 ふと気がつくとアーロア様が近くに居た。

 アリファ様はミーリア様たちに混ざって穴を掘ったりの作業をしていたのだが、アーロア様とアレア様の姿は見えなかったから、僕はどうしたのかと思っていたのだ。


 「アレクは気づいてなかったかな。 ディフィーは気づいていたようだけど。

  戦っていた時、近くにアーリアとアーリルも来ていたのよ。

  戦いに参加するかどうか迷っていたみたいだけど、あなたたちが完勝したから、森の中で見ているだけで留まっていたみたい。

  それで私はミーリア様に許可をもらって、二人にも今回の事態の説明をして来たのよ。 それからもう大丈夫だから自分たちの洞穴に戻って、って言ってきたわ。

  アリファの勇姿に、二人とも涙していたわ。

  それからアレアは報告に走ったわ」


 アーロア様は、横に来たアリファ様にも途中から聞かせるように話した。

 アリファ様は視線を森の方向に移動して、少し動かなかった。

 アリファ様も、もしかしたらアーリア様とアーリル様が近くに来ていたことに気がついていたのかもしれないと僕は思った。


 「これから洞窟を検めに行きます。

  ハーピーの監視で人間がいないことはわかっていますが、そのままにしておく訳にはいかない。

  馬がラミアに慣れていないから、人間は馬車で後ろを来なさい」


 僕は馬を興奮させないために、ナーリアたちと別れて、アン、メリーと彼女たちの父親の馬車に乗った。

 僕も自慢ではないが馬を扱うことが出来るが、慣れているアンに御者を任せる。

 一度集められていた馬たちから、アンの父親の馬車の馬二頭は、アンを見るとすぐに寄って来た。 とても馴れているようだった。

 隊商の馬車は全部で5台、どれも二頭立となっているけど、一頭でも引ける様になっている馬車だ。

 馬の一頭に何か問題が起きても、もう一頭でどうにかなるという安全策なのだろうが、とても贅沢でもある。

 護衛も連れていたし、かなり羽振りの良い商人たちであったのだろうと思う。


 「尻尾のお姉ちゃんたちは、なんで一緒じゃないの?」


 「尻尾のお姉ちゃんたちを馬は見たことがなかったから、近くに居ると馬が怖いのかと思ってドキドキしちゃうんだよ。 それだから、尻尾のお姉ちゃんたちは先を歩いている。」


 「尻尾のお姉ちゃんたち、怖くないのにね。 馬も早く分かるようになればいいのにね」


 「そうだね、すぐ馬も怖くないって分かると思うよ。」

 僕はメリーとそんなおしゃべりをしていた。


 大きな洞窟だった。 その存在は僕も前から知っていたけど、実際に目にするのは初めてだった。

 道からもその洞窟は目立っていた。 馬車もそのまま中に入れられる大きさなのだから目立つのは当然だ。

 ラミアの集落は、元々洞窟があったのかもしれないが、今ではラミアの手で作られた洞窟という感じだが、この洞窟はそんな規模ではなく、天然のとても大きな洞窟だ。


 洞窟の中をほんの少し調べただけで、僕たちはちょっとびっくりした。

 洞窟の中には馬が5頭飼われていたし、食料や飼料などもかなりの量が持ち込まれていて、生活雑貨も散らばっている、武器の予備もある。


 「なんだここは、完全に拠点作りを始めたって感じだな」

 ボブがそう言ったが、全く同感だ。


 とにかく、この洞窟にある物資もこのままにしてはおけない。

 さて、どうしたらと思っていたら、ミーリア様が

 「早急にここの物も運びださないといけないけど、馬車も含めて今日即座に動かすことはできないわ。

  とりあえず今日は一旦戻って、明日以降にと考えていたけど、馬の問題があるわね。 今日即座には馬と馬車を森の中には入れられない。

  さて、どうしたものかしら?」


 ミーリア様は気になることを言った。 即座には入れられないということは、即座でなければ入れられるということか。 確かにラミアの道は馬車でも通れる。


 「あの、ミーリア様、馬車もラミアの里の中に入れるのですか?」


 「もちろん入れるわよ。 アレクは昔は人間も奥に住んでいたことをもう知っているのだから、驚くことはないでしょ。 当たり前よ」


 「でも、人間の道につながっている道を僕は知らないのですけど」


 「それは、わざわざ人間をラミアの里に招待してあげる必要は今までなかったから、隠してあるのよ。 それにアレクは、ラミアも人間の商人と取引が今までもあったことを知っているでしょ。 そのためには道がつながっている必要があるのは理解できるでしょ。

  まずは隠してある道を明日にでも開きましょう」


 「それなら、とりあえず僕たち人間が今日はここに泊まりますよ。

  馬がラミアに馴れていないから、ラミアでは世話ができないですから」


 「そうね、馬が一番問題なのよね。

  今、馬を飼育する設備がラミアの里にはないわ。 それを早急にどうにかしないと」


 ギュートが中心になって、とりあえず何人か洞窟に泊まることになった。

 「馬の世話が主だから俺はここに泊まるよ」


 「俺も馬の世話もできるし、隊商の荷物に何があるかを調べたいから残るよ」

 ハキも残るという。


 「俺たち二人は商人が持っていただろう書類の類を探してみたい。

  そのためにこっちに残る。 俺たちも馬の世話はできるしな」

 デイヴとキースも残ることになった。


 僕も残った方が良いかと思って立候補したらエレクに止められた。

 「アレクはダメだよ。

  助けた二人は奥では寝る場所もないから、アレクの家に行くしかない。 それでアレクがいなかったら、困るだろ」


 確かに奥の家は部屋は個人部屋で狭くて、ラーリア様たちと一緒に寝る訳にはいかない。

 冬だからラミアの集落の中というのも無しだ。

 すると確かに僕らの家に来るしか方法がないのだ。


 「それに今は奥は火が使えないから、無理だしな」

 ボブにもそう言われて、僕は戻ることになった。


 「これから僕たちはみんな家というか、本拠地に戻るのだけど、今日はとりあえずついてきてね。

  君たちの馬車は僕の仲間が洞窟で預かっているから安心してね。

  今は馬車が森の中に入っていけないから、歩いて行かないとダメなんだ」


 「はい、わかりました。 私はどうしたら良いのか分からないので、あなたの言われた通りにします」


 「これから戻るのはラミアの里と呼ばれている所で、僕たちを除くとみんなラミアだけど、別に怖くないから驚かないでね」


 「はい、もう大丈夫です。 メアリーは遊んでもらいましたし、一番最初は襲ってきたのはラミアの仲間だったのかと勘違いしちゃって、それでその、すみませんでした」


 「僕も、前はラミアのことを誤解していたから、アンがどんな風に想像したかは何となく理解できるから、気にしないで」


 僕はアンと話をしながら森を歩いた。

 メリーはすぐ前をサーブたちに構われて歩いている。


 「森の中もちゃんと歩けるのか、メリーは偉いな。 でも疲れて大変だったら、お姉ちゃんがおんぶしてやるぞ。 遠慮しなくていいからな」


 「ありがとう、でも大丈夫。 メリー、頑張れる」


 「そうか、本当に偉いな」

 サーブはおんぶしてやれないのが残念そうだ。


 レンスもセカンもメリーを構っている。

 ナーリアとディフィーは、さっきメリーを構ったから、今度は僕とアンの近くにいた。


 「でも私、人間の女の子と友達になるのは初めてだよ」


 「ナーリア、人間の女の子って、それ以外はつい最近ハーピーの女の子と友達になっただけじゃない、私たちは」


 「ハーピーもいるのですか」


 「ハーピーは一緒に住んでいる訳じゃなくて、時々遊びに来るんだ。

  さっき男のハーピーは見なかったかな」


 「見たような気がするのですけど、私、色々なことがあり過ぎて、何だか何もよく覚えていない感じで」


 「そのうちすぐに遊びに来るわ。 そうしたら紹介してあげる」


 「はい、よろしくお願いします」


 「硬いわよ。 同い年なんだから、もっと普通にしゃべって良いのよ」

 「うん、その方が私たちも話し易いわ」


 ナーリアとディフィーの言葉に、アンもポツリポツリとだんだん話すようになってきている。

 同じ人間ということで僕の方が話易いか、女同士ということでナーリアとディフィーの方が話易いか、アンにしてみると微妙なところだろう。

 ラミアに慣れて欲しいのと、今までのラミアに関する知識を打破して欲しいと思って、僕はあえてなるべく無口にしていた。


 「あれっ、綺麗な道に出ちゃったよ。

  これならメリー、普通に歩いていけるよ」

 僕たちはラミアの道に出た。


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