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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
過去をただす

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180/260

180. プレゼント

 そんな訓練の日々、僕には気になることがあった。

 ナーリアたちは訓練の時に、普段から慣れる為に僕の作った防具をフル装備して訓練を受けている。

 そうすると、まともな防具を着けていないで訓練をしているアレア様とアーロア様が目に入ってしまったのだ。

 思い返してみれば、アレア様とアーロア様がまともな防具を着けているのを見たことがない。

 ゴブとの戦の時も本当に簡単な革のモノを着ていた程度だった。

 僕は軽さを重視しているのかな、とも思ったのだが、ミーリア様に聞いてみた。


 「ミーレア以上じゃないと、まともな防具は持っていないのよ。

  鉄製の防具はラミアには作れなかったし、革製の防具もその技術を持つラミアがハーピーとの戦いで多くが亡くなってしまって、この前の戦いの時には、ミーレアまでの数を揃えるだけでもギリギリだったの。

  あとは、やっぱり偵察や巡回を主な任務としているアーレアやアーロアは重さは嫌がるから、そこもあるとは思うけど」


 そういえば、ミーレナさんがアレア様に防具を譲ろうとしたのだが、体型に全く合わないからと断られた、という話をしていたなぁ。

 僕は2人と一緒に訓練しているレンスとディフィーにも相談した。


 「私もそれは気になっていた」

 「そうなのよね。 アレア様やアーロア様より私たちの方が装備が良いのって、なんだかすごく居心地が悪い気がするのよ」


 「それじゃあ、やっぱり2人の防具も僕が作ることにするよ」


 「ん、お願い。 そうしてくれたら私も嬉しい」


 「防具に合わせて、弓も作った方が良くない。

  そっちは私が一緒に作るわ。 レンスも手伝って」


 「ん、そしたら矢も合わせたのが必要になるし」


 こうしてアレア様とアーロア様の装備を作ることになった。


 アレア様とアーロア様に2人の装備を作りたいと言うと、2人ともすごく喜んだ。

 自分たちも欲しいと思っていたし、作り方を教わりたいとずっと思っていたのだが、それを僕たちに言い出すタイミングがなくて、少し悶々としていたらしい。

 2人はなるべく自分の手で作りたいとのことだったのだが、さすがに自分で自分の体の型を作ることは出来ないし、型作りは経験がないと難しく時間がかかるので、型作りだけは見学だけで、僕が行うことにした。

 僕が型作りで、アレア様とアーロア様と一緒している間、ナーリアたちはラーリア様に呼ばれて、奥に行っていた。

 何をしているのかは、ボブたちには秘密だから、情報漏洩を恐れて僕にも秘密なのだという。

 ラーリア様たちはもう訓練で激しい立会いをする訳には行かなくなったので、何か他のストレス発散を考えているのだろう。


 そんな時、割とミーリア様たちは僕たちの家の方に居る。

 もう手慣れたもので、勝手に的を取り出してきて、弓の練習をしたりしている。

 時々アレア様とアーロア様に自分で作った弓を自慢しているが、それは2人も今、弓を作っているからだろう。

 2人もそれに合わせて、弓が出来上がった暁には、「ぜひ勝負したい」なんて楽しそうに言っている。

 型に合わせた防具をセカンにも手伝ってもらって、2人に教えながら作ったり、弓もディフィーと一緒に教えて作ったり、僕もアレア様とアーロア様とにその間に随分親しみが増した。

 そんな防具つくりの中でアレア様とアーロア様がとても喜んだのは、大鳥の革を使って作ったことだ。

 鉄で作ると重くなってしまう物が、強度的にもまあ問題がないレベルで、ずっと軽く重さが問題にならないということに、2人は驚いていた。


 僕はそんな2人の装備作りが、僕が直接何かしなければならないことから離れてから、手が空いたのを良いことに、もう1つ考えていた装備を作り始めた。

 何を考えていたかというと、兜というか、ヘルメットだ。

 ゴブとの戦いの時に、一番多い怪我は、ゴブの投石による怪我だった。

 体や腕はもうほぼ防具に覆われたけど、頭はまだ無防御だ。

 それをなんとかしたいと思ったのだ。

 あまり難しいことは考えたくないので、少し大きめの頭の型を作り、すっぽり覆う形にして、前には庇をつけた。

 庇の重さで前に傾かない様に後ろや横にも、動きを妨げない様に紐で結んで首や耳の辺りを隠す覆いもつけた。

 工夫したのはその内部で、体や腕の部分の様に直接では、当たった時に怪我にならなくとも脳震盪を起こしてしまうので、今まで使い道のなかった大鳥の羽の部分を束ねて糸で纏めたものをクッションとして、縁の部分と、頭のてっぺんの部分にはドーナツ状にして取り付けた。

 またこれは羽根の量を少し増減することによって、同じ大きさのモノを誰でも使える様にもした。

 これで頭も防具に覆われることになった。

 このヘルメットはナーリアたちの分とアレア様アーロア様で7つ作れば良いと思ったのだけど、最初に出来上がったのを見たミーリア様に「私たちの分もお願いね」と言われてしまい、もう5個作ることになった。


 全員分のヘルメットが出来てから、僕はヘルメットを渡すことにした。

 一人一人の型から作る防具とは違い、ヘルメットはそこまで面倒ではないからというのもあるけど、なんとなく一緒に渡さないとダメな気がしたのだ。

 僕はナーリアたちに、一度に全員に渡すからと伝えておいたので、数が揃ってくると、「いつ渡してくれるの?」と催促される様になった。

 そして、とうとう明日渡すという話になった。


 次の日、僕は訓練に使っている奥の共同住宅に近い広場まで、どういう訳かアレア様とアーロア様に手伝ってもらって、ヘルメットを運んで行った。

 ナーリアたちは早くにラーリア様たちに呼ばれてしまって、先に出てしまったのだ。 それで連絡が行って、アレア様とアーロア様が手伝いに来てくれたのだった。

 広場にはもう友たちとミーリア様たちは集まっていた。


 「今日は何故か知らないけど、ナーリアたちが来たかと思ったら、僕らはみんなラーリア様たちに先に広場に行けと追い出されちゃったんだよ」

とエレクが説明してくれた。


 キースは僕が持ってきたヘルメットを手に取ってみて、

 「随分と工夫したんだな」

と感心していた。


 すぐにラーリア様たちも来て、その後ろでナーリアたちが何故か荷車を押して来た。


 「おーい、みんな、もうミーリア様たちが自分の分を手に取りたくてうずうずしているから、早く来てくれ」

 僕がそう声をかけるとナーリアたちもすぐにやって来て、僕はヘルメットを配った。 僕はヘルメットをそれぞれの頭に合わせる調整法を教える。

 みんなは縁の部分の大鳥の羽根の量を調整して、自分の頭に合わせると、被った頭を手で叩いたりしてみて、調子を確かめている。


 「うん、これならかぶっていても重くないし、普通に動けそうだ。」


 サーブがそう言うと、ディフィーが

 「それにこれなら少なくとも石は防げそうだし、当たっても余程じゃなくちゃ昏倒したりしないと思う」

と言った。


 「ああ、それを目指したんだ」

 僕はその評価に安心した。



 「それじゃあ、今度はこっちの番」

 「アレク、それにボブたちもこっちに来て」


 セカンとナーリアに呼ばれて、僕たちは彼女たちが引いて来た台車の方に向かう。

 レンスが台車の上のものを隠していた筵を取ると、防具が出て来た。

 「みんなの分の防具だよ」

 そこには僕たちのための新しい防具があった。


 「アレクは私たちの防具は一生懸命に作っていたのに、自分の分は作っていなかった。

  ボブたちも、弓を作ったり、鍛治をして武器は作っているのに、自分たちの防具は後回しだった。

  だからラーリア様たちと私たちで、人間たちの防具は作った」

 セカンが説明してくれた。


 僕たちはみなそれぞれの防具を着けてみた。 ぴったりだった。


 「どうだ、みんな体に合ってるいるか?

  それぞれの型を作ったから、大丈夫だと思うが」

 ラーリア様がそう言った。


 「それにしても型を作るのが、あんなにも大変だとは思わなかったわ。

  セカンに教わりながら作ったのだけど、途中で挫折しそうだったわ」


 ラーリル様がそう言うと、ダイクが

 「ラーリル様、そうなのですか。 ぴったりです、嬉しいです」

とラーリル様に言った。


 「そ、それなら良かったわ。 頑張った甲斐があったわ」

 ラーリル様はちょっと顔を赤らめて、横を向いてそう答えた。

 あれ、ちょっと可愛らしい。


 「人間は私の見ているところ、訓練ですぐに体型が変わる。

  基本的なところは変わらないのだけど、筋肉の量とかがどんどん変わって来て、調整が必要になってくると思う。

  ラミアのと違って、その辺は調整しやすい形にしたつもり」


 うん、確かにラミア用に作ったモノとは、構造が少し違っていた。


 セカンの説明は続く、

 「特にデイヴのは、他の人のとは作りが違っていて苦労した。

  ラリオ様が絶対にデイヴの腹を引っ込めてみせると強調するから、腹回りも今より絞ることができる様に、最初から工夫してある」


 デイヴが焦った調子でラリオ様に聞いている。

 「ラリオ様、まさか食事制限をするとかいう話ではないですよね」


 「デイヴ、食事制限はしないから安心しろ」


 「はぁ、良かった。 食事制限されるのかと思って生きた心地がしなかったです」


 「食事制限をしたら、今している訓練でせっかく筋肉がついているのに、それを妨げることになるからな。 だから食事制限はしない。

  でも、腹を引っ込めるための運動は私の見ている前で、きっちりと行って貰うから覚悟しておく様に。

  私だって、子供に父親を探すように言う時に、『お腹が出っ張っているからすぐに遠くからでも分かるでしょ』とは言いたくないからな」


 このラリオ様の言葉には、みんな大爆笑だった。

 1人デイヴだけは、大変なことになったと青い顔をしていたが。


 それにしても僕の防具は素晴らしい出来だった。

 それぞれのパーツの材料の質から、作る工程までとても気を使って丁寧に作られているのが分かる。

 「みんな、ありがとう。 すごく嬉しいよ」

 僕はナーリアたちにそうお礼を言った。


 「たまには私たちの方からアレクに何かしなくちゃね」

 「そうだぞ、私たちはアレクに何かして貰うばっかりだったからな」

 「私の今出来る全ての技術を使って作った」

 「私たちもアレクの役に立ちたい」


 最後にナーリアが言った。

 「私たちの気持ちを目一杯込めて作ったんだから」


 「「「「ナーリア、それは言わなくてもいい!!」」」」

 大非難だった。


 イクス様がすごく御機嫌だった。

 「あー、やっとこれで狭さからも、臭さからも解放されるわ」


 ボブたちに秘密にするために、作っている最中はずっとイクス様の部屋に隠されていたらしい。

 最近、妙にイクス様が夕食を僕たちの家で一緒に取り、帰るの面倒だからと言って泊まっていくことが多かった訳だ。

 それにレンスが文句をつけなかったのは、僕はレンスがイクス様の卵を心配してのことだと思っていたのだけど、理由は違っていた様だ。


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