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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
犠牲の上に

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153. 大鳥の使い道

 大鳥は最低3羽取らないとラーリド様に言われた数の羽ほうきを作れない。

 一羽獲ったらエーレアたちにそれを運んでもらい、自分たちはもう一羽獲って戻れば、あと一日で終わると思ったのだが、エーレアたちに全力で拒否されてしまった。


 「絶対に嫌です。

  もし運んでる途中、集落の中なんかで鳥が目を覚ましたらどうするんですか。

  それ以前に運んでいる時に、また若い子や、小さい子たちが集まってきたらどうするんですか」


 「起きそうになったら、毒霧吐いてまた眠らせれば良いし、鳥を見に集まって来たら、少し見せてやってから家に向かえば良いだろ。

  何も問題ない」


 「問題大有りです。

  経験のない私たちに、この鳥への対処なんて出来ません。

  それに注目を浴びるのにも、私たちは全く慣れていません。

  なぜナーリアたちは平然としていられるのですか、それだけで嫌です。

  それに、家に持って行ったら、即座に血抜きしたりの作業でしょ。

  一回見ただけで同じことやれとか、無理強いも良いところです」


 「鳥は足も羽根も縛っておくし、首も棒を結わえておく。

  ほとんど動きようがないのだから、対処は問題なく出来るだろ。

  注目を浴びるのは慣れだから、早く慣れれば良いと思うぞ。

  作業は、大きさが大きくなっただけで、やる事は小さな鳥と同じじゃないか、何も問題ないじゃん」


 「とにかく、私たちエーレアだけで運ぶのは断固拒否です」

 エーレルの強硬な拒否に他のエーレアたちも同調している。

 うーん、何故だ。


 「アレク、エーレアたちの気持ちも分かるよ。

  もう一日行けば良いじゃない」

 ナーリアがエーレアたちの肩を持った。


 「集落での囲まれ方は凄かったから、確かにちょっと嫌よね。

  それに自分の手柄でない事で騒がれるとしたら尚更だわ」


 ああ、なるほど、確かにそうかもしれない。

 結局、一日一羽で大鳥を獲るのに三日かかってしまった。


 大鳥の肉は、そのままを焼いて食べたり、塩茹でにして食べたりもしたが、多くは二日ほど塩漬けにしたものを、倉庫の中で柿に替えて干して、干し肉にした。

 干し肉にした大鳥の肉は、そのまま食べた時よりも旨味が増していて、僕は美味いと思ったのだが、これは好みで、ナーリア・セカン・ディフィーはそのままの柔らかい方が好きだという。

 サーブとレンスは僕と同じに干し肉派だ。


 大鳥の肝臓の燻製はもっと好みが分かれて、僕だけが好きで、ナーリアたちは食べたがらない。

 ところが、友たちは絶賛だし、イクス様、ラーリア様の多くは、とても喜んで食べる。

 ミーリア様は食べたがらないから、こういうところでイクス様はミーリア様をナーリアたちに近いと思っているんじゃないかと、僕は密かに思ったりしている。


 一番の目的である尾羽は何本かをまとめて整形し、そこに持ち手の木の棒をつけるという簡単な作業なので、セカンとディフィーがどんどん作っていった。

 最初作ろうとしたら、思ったよりも尾羽が汚れていて、仕方ないので泡を付けて洗ってみたら、完全にペタッとなってしまいダメにしてしまったかと思った。

 抜く時にお湯が掛かった時にはそんなにペタッとしていなかったと思うので、泡が問題だったのだろうかと考えた。

 しかし、水気が乾いたら、元のフワッとした姿に戻って安心した。

 また大鳥を獲りに行くのは面倒くさい。


 尾羽で洗っても大丈夫なことが分かったので、今まで集めていた分も含めて大量に集まった胴体などの部分の羽を、入っている袋ごと、泡を付けて、ナーリアとレンスに洗ってもらった。

 ナーリアたちは僕のすることに慣れているので、文句も言わず指示に従って仕事してくれるが、エーレアたちは何をしているのかを凄く尋ねてくる。

 でも尋ねられても、なかなか上手く説明できないんだよな。

 実際に出来上がったものを見て、使ってみなければよく理解できないものって多いよね。


 洗った羽は袋ごと乾かす。

 適当に乾いた感じになったところで、袋の中の羽を揉んだり、叩いたりして動かしてまた乾かすを何度か繰り返していると、元のようなフワフワに戻った。

 布を貰ってきて、セカンに頼んで布を縫い合わせたりして、平べったい袋を作ってもらう。

 その袋に羽を、袋が膨らむけど、羽を押しつぶしてはいないくらいの量入れて、袋を縫い閉じ、袋の中で羽があまり動かないように、袋の中が適度に区分けにされるように縫って貰う。

 縫って貰う時、僕自身は、凄く大変な作業になると感じて、セカンに申し訳なく思ったのだが、セカンは器用に尻尾も利用して、あっさりと縫い上げてしまった。


 出来上がった袋を早速まずはセカンに試して貰う。

 「セカン、普通に寝転んでみて」


 僕はセカンに、一段高くなった毛皮が敷いてある、快適だと評判のいつもの部屋に寝て貰う。

 その上に僕は作った袋をかけてあげる。

 「少し、そのままにしていてみて」


 セカンはすぐに作った目的を理解した。

 「うん、とても暖かい。 冬のための備えなのね、これは」


 ナーリアたちも次々と代わりばんこに試してみている。


 「うん、掛け布団というのだけど、冬ごもりしないで過ごすには、寝る時には必要だと思うんだよ。

  寝てると体温下がるから、なるべく暖かさを逃さないようにね」


 エーレアたちも試してから言った。

 「確かに、こんなの口で説明されても分からない。

  実際に出来たものを体験してみれば、なるほどと思うけど、全く見たことも考えたこともないものだから、無理だわ」


 「だからナーリアたちはアレクを信頼して、何も言わずに指示に従っていた訳ね」

 エーレルの言葉を、エレドが継いだ。


 「私たちはもう何度もこんなことしているから、慣れているというか、諦めているのよ。

  出来てみないと分からないって分かっているから」

 ディフィーがそう言った。

 褒められているのか、貶されているか、どっちだか分からない。


 あと残ったのは、骨と皮と足だ。

 骨は試しに煮てみたら、鹿や猪よりあっさりとしたスープが出来た。

 食べるというか、飲むには良いけど、どうもそれ以外のことには使えそうにない。

 とは言っても以前はただ捨てていた骨なのだが、ヤーレンの厳命で骨は焼いて砕いて畑に撒かれることに最近はなっている。

 足は鉈で小さくして煮込むと、思った通り良い糊が出来た。


 問題は皮だ。

 どうしようかと思っているうちに乾いたのだが、柔らかいのだと思っていたのだが、とんでもなかった。

 乾いたらカチンカチンに硬くなって、ナイフの刃も通らない感じになった。

 僕は思い違いをしていたのかも知れない。

 大鳥に矢が効かないのは、膨らました羽で矢の勢いが弱まるからだと思っていたのだが、それだけではなく大鳥の皮は強いのかも知れない。

 僕は思いついたことがあるので、硬くなった皮を倉庫に大事にしまっておいた。

 今は冬越しの支度に忙しいから、冬になったら、この皮を使おうと思ったのだ。


 そうこうしていると、昼過ぎにラーリア様とボブが揃ってやって来た。


 「ラーリア様、ボブも一緒に来るのは珍しいですね」

 ナーリアが挨拶する。


 ラーリア様とボブが揃ってやって来るのは、かなり珍しい。

 ラーリア様も忙しいのだが、ボブも鍛冶場の修復は中心者で、それだけでなく友たちのリーダーとして、何かあると中心になって活動しなければならない。

 そんな訳でそれぞれには来るのだが、揃ってというのはまずない。


 僕はボブに手を上げて挨拶して言った。

 「今日はなんか特別なのか、揃ってやって来るなんて」


 「ああ、作業の依頼に来たのだけどな、実はな・・」


 「ボブ、私に言わせてくれ。

  ナーリアたち、聞いてくれ。

  やっと我らの家がほぼ完成したのだ。

  それで、バンジから床を作って良いという許可が出たのだ」


 「床を作るって、ウチにある藁床ですか?」


 「もちろんだ」


 ミーレナさんが毎日来ているから、進捗状況を聞いてはいたのだが、ここ数日大鳥のことで手一杯で、奥に入ることがなかったので、実際には見ていなかったから、もうそんなに進んだのかと、ちょっと驚いた。


 「それで明日は一気に床を、作ってしまおうと思う。

  ターリア、ワーリア、ヤーレアにはもう藁を集落から運ぶことを頼んである。

  エーレアはそれに加わってくれ、ナーリアは奥への運び込みと、実際の床作りを我々に教えながら手伝ってくれ」


 「分かりました。 明日は朝から奥に向かいます」


 「あ、そうそう、ミーレナからの伝言だ。

  明日は朝から奥での作業になるので、昼食はミーレナが中心になって用意する、とのことだ」


 ラーリア様はちょっとウキウキ気分なのかな、という感じである。

 ラーリア様は立場上なのだろうが、あまり気分を表面に出さないようにしているのだが、実は結構いつでもバレバレではあるのだが、今日はストレートに気持ちが態度に出ている。


 「アレク、ちょっといいか」


 「ん、ボブ、あらたまってなんだ?」


 「掛け布団を作ったと、ミーレナ様に聞いた。 見せてくれ」


 「見せるのは良いけど、お前、まだミーレナ様って言っているのか」


 「俺、今、ミーレナ様って言ったか。 癖になっちゃってて、なかなかミーレナさんて言えないんだよ。

  ミーレナさんには、『いまだに様付けしてくるのは、ボブだけよ。 早く直してね』と言われてるんだけどな」


 「ま、仕方ないけど、早く直せよ。 ミーレナさん、様付けされるの嫌みたいだから」


 「うん、それも分かっているんだけどな」


 掛け布団を見て、少しだけ試してみたボブは聞いてきた。

 「俺たちも何か掛ける物が必要だと思っていたのだけど、毛皮でどうにかしようかと考えていたんだ。

  でも、この方が良さそうだな」


 「そうだな、多分こっちの方が暖かいと思うな」


 「で、大鳥は獲るのが大変なのか? どのくらいの量が必要なんだ?」


 「大鳥は最初はどうやったら獲れるんだか分からなくて悩んだけど、獲り方を考え付いたら意外と簡単だった。

  ラミアと協力すれば割と簡単に獲れるぞ。

  量は俺たちのは三羽で5枚の掛け布団が作れたけど、以前に集めていた羽もあったから、もう少し必要かもしれない。

  ま、問題は縫ったりの作業だな。

  ここにはスーパー器用なセカンが居たから楽勝だったけど」


 僕はボブに大鳥の獲り方を教え、網は取りに来てくれと言っておいた。

 さて、ラーリア様たちの中に縫い物が得意な人はいるのだろうか。

 流石に僕はそこまでは知らないんだよなぁ。

 でもセカンに匹敵する器用さの方は居ないと思う。


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