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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
犠牲の上に

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151. 反対側

 ミーレア様たちとエーレアたちは集落に戻り、僕たちは点線の図書館側がどうなっているのかを、これから調べに行こうとしている。

 イクス様はもちろんそのつもりでここに来たのだろうから良いが、ミーリア様はどうするのだろうか。


 「ミーリア様、私たちはこれから出掛けてしまいますが、ミーリア様はどうされますか?

  ここで自由に休まれていても構わないのですが。」

 ナーリアが尋ねると

 「私も話は聞いたわ。 だから私も一緒に行くわ」


 図書館に行くには、ラーリア様たちと人間の為の集合住宅の前を通るので、ミーレナさんも僕たちと一緒に向かっている。


 「私、本当に衝撃を受けました。

  エーレアたちと私は最近近くにいて、何かと話したりする機会も多かったのですが、あの娘たちが、あの様な事を考えていたとは思ってもいませんでした」

 ミーレナさんがミーリア様に向かって話している。


 「本当に、私もあの言葉には感嘆しちゃったわ。

  エーレアは私がナーリアたちの下で学ぶ機会をくれたから、と言っていたけど、私はただまだ訓練についていけない彼女たちに、とりあえずナーリアたちの技術や知識が1つでも2つでも覚えられれば良いと思っただけなのよ。

  それだけだったのに、とんでもない成長をしたと、私は思うわ」


 「はい、私もそう思います」


 僕たちはみんな2人の話を歩きながら聞いていた。


 「あなたたちもうかうかしていると、追いつかれ、追い越されちゃうよ。

  頑張らないとね」


 イクス様が僕たちにそう言ったのだが、その言葉にはどことなく母親クサさがある気がした。

 敏感なレンスがその言葉に反発した。


 「そんな事ない。

  元々、私たちはエーレアの前を走ったりしてない。

  だから、追いつかれるも、追い越されるもない」


 親子喧嘩の様なレンスの口調なのに、それを聞いたセカンが自分たちのこととして話を始めた。


 「私たちにはアレクがいたから、たまたま人間の知識を早く知っただけ。

  他の姉妹たちより前を歩いているとは思えない」


 「確かにそれは言えてるな。

  現に農作業のことなら、ヤーレンにずっとくっ付いて学んでいるヤーレアたちの方がもう私たちより詳しそうだし、ターリアたちはケンに付き合って森に入っているから、炭にする木のことは詳しくなったと思うな。

  ワーリアたちはどうだろう?」


 サーブも加わってそう言ったら、ディフィーが弁護した。

 「ワーリアたちは、ヤーレアやターリアがそれぞれに特化しちゃったから、それ以外の事を全部色々手伝っている。

  もしかしたら、一番色々やっているのはワーリアたちかもしれない」


 「便利屋? サーブには絶対できない」

 レンスがそう言った途端、ナーリアたちは爆笑している。

 サーブ、一緒に笑っていて良いところか、そこは。


 「でもさ、イクス様の言う通り、私たちも色々頑張らないとみんなに置いて行かれちゃうよ。

  やっぱり私たちも頑張ろ」


 「それは、そうだな」 「そこは同意」 「ま、仕方ないわ」 「ん」


 ナーリアがリーダーらしくまとめたが、姉妹グループについての話題は収まらず、だんだん細かくなっていく。


 年長者3人はそんなナーリアたちの事を黙って見ていた。


 「こうやって聞いていると、エーレアとここにいるナーリアたちに限らず、この姉妹たちの成長の早さにびっくりするわ。

  私も認識を改めないといけない」


 「そうですね。 私も彼女たちの近くに居ることが多かったので、こういうものだと普通に思っちゃっていたけど、改めて考えてみると、物凄い早さで彼女たちは知識を吸収して、それを自分の物としているんですね」


 「この姉妹たちだけじゃないわよ。

  この娘たちの下の、若い子たちと呼んでいる世代は、もっとどんどん素早く変わっていくわ。

  どうであれ、それに追いついて行かなければと思っているおばさんは大変よ」


 あれ、珍しくイクス様が自分のことをおばさん扱いしたぞ。


 「そうですね」「本当に」


 ミーリア様とミーレナさんがイクス様の言葉に同意したら

 「何言ってるの。あなたたちは私より、まだ随分若いでしょ。

  私より、この子たちの方が歳が近いじゃない」


 「いえ、イクス様。 確かにミーレナはそうですけど、私は丁度真ん中です」

 ミーリア様、変に細かいぞ、それは問題じゃないだろ。


 「アレク、あなた何しれっと年長者に混ざって傍観しているのよ。

  あなたもこっち側の当事者なんだからね」


 「いや、今のガールズトークの渦の中に入っていけないだろ。」

 ナーリアに責められた。


 「今のはガールズトークという程ではなかったと思うが」


 「そうよ、まともな話題だったじゃない」


 「いや、あのマシンガントークと笑いの渦には入れないって」


 共同住宅の前に着くと、ラーリア様たちは今日は休みではないのか、一生懸命に働いていた。

 だからもちろん友たちも働いている。


 「ハキ、今日は休みじゃないのか?」

 僕は近くにいたハキに聞いた。


 「本来は休みのはずなんだけどね。

  なんかラーリア様たち、壁を白く塗れるとなったらテンション上がっちゃって、もう今日から準備を始めましょうということになってしまった」


 「そうか、ご苦労さん」

 僕は急いで手を振って離れた。 巻き込まれたくない。


 「みんな、ちょっとここで待っててね」


 そう言うと、イクス様とミーリア様は離れて行き、ラーリア様を見つけて話をしている。

 きっと今日の事を話しているのだろう。


 ミーレナさんも僕らから離れ、自分の家へと向かい、ラーリナ様と話している。

 ミーレナさんたちの家の前には、何枚もの紙もどきを貼った窓枠が干してある。

 もしかして、それミーレナさんが作ったのか。

 ナーリアたちも見て驚いていた。


 「やっぱり、ミーレナさんはすごいよ」

 あまり他人の事を批評しないレンスが、そう呟いた。


 点線の図書館側は、すぐに見つかった。

 何故なら、見つけようとして向かった先には、僕たちを導くように、もう少し葉が赤や黄色に色づいた樹が両側に植わった道があったのだ。

 もちろんきちんとした道が見える訳ではないのだが、反対側の埋まった道を見た僕たちには、そこに道があるのは一目瞭然だった。

 サーブが少し尻尾で掘ってみたら、すぐに道が出てきた。

 でもそんな事をする必要はない、だってきちんと等間隔で同じ樹が整然と植えられていたら、誰も迷いようがない。

 僕はその整然と植わった樹を見て、少しニンマリしたのだけど、まだ黙っていた。


 「でも、ここ、なんか綺麗だよね」

 ナーリアがそう言った。


 「あと一週間もしたらもっと綺麗になるぞここは」


 「えっ、どういうこと」


 「もうすぐ全部紅葉して赤や黄色に染まるんじゃないかな、この道は」


 「そうかぁ、綺麗だろうね」

 ナーリアは想像しているようだ。


 「ナーリア、もう一つ良いことを教えてやるよ。

  今お前が立っているのは何の上だ?」


 「何のって、普通に土の上だよ。 ちょっと柔らかい感じの土だけど」


 「それがお前らが前にヤーレンにないのって聞いた腐葉土だよ。

  道の上に枯葉が積もって、それが腐葉土になったんだな」


 「えっ、これ腐葉土なの?」


 「そうだよ、ヤーレンに聞くまでもなかったな。

  こんな近くにこんなに良い腐葉土があった。

  それにこの道を整備するために、道の上に積もっている土を退けなければならないから、一石二鳥だよ」


 「つまりトンネルへの道の整備をしながら、退かした土を図書館前の花壇に入れれば良いということ?」


 「そういうこと。 すごく良い花壇の土になると思うぞ」

 いつの間にかレンスも真剣な顔をして僕の言うことを聞いていた。


 トンネルの穴はこちら側の方が大きく、明白に分かる状態だった。


 「確かに小さいですけどトンネルですね。

  反対側まで続いているとすると、この図書館と家はとても簡単に行き来ができますね。

  どうして忘れられてしまっていたのでしょうか?」


 「あの家に住んでいるなら、このトンネルは意味があるのでしょうけど、集落から図書館に来るには普通に来る方が楽だわ。

  何十年もあの家は手入れされるだけで使われてはいなかったから、その間に忘れられてしまったのね」

 ミーリア様とイクス様が話していた。


 「それでこのトンネルどうする?

  このままにしておく、それとも復活させる?」

 イクス様が僕たちにそう言った。


 「「もちろん、復活させます」」

 セカンとディフィーが揃って意気込んで言った。


 「まあ、そうなるわよね。

  とりあえずこちら側から作業してみましょう。

  向こう側は入口のところに土が崩れて入ったみたいだけど、こっち側は枯葉が積もっただけみたいだから。

  まだ、中がどうなっているか分からないから、慎重に進めてね」


 とりあえずどのように作業を進めるかは後で考えることにして、僕はトンネルの入り口の左右にあるかなり立派な樹も気になっていた。


 「ディフィー、セカン、この樹何の樹だか分かる?」


 「この樹が何か問題なの。 何か意味があるの」

 ディフィーが素っ気ない。


 「えっ、トンネルの入り口にわざわざ植えてあるんだぜ。

  これ、自然に出てきた物じゃ絶対ないよ」


 「そう言われてみればそう。

  確かに何か意味があると考える方が自然」

 セカンがちょっと興味を持った。


 「この樹さ、桜じゃないかと思うんだよね」


 「桜って何? 私知らない」


 「前に図書館を描いた絵を見たじゃん。

  その時、花に囲まれていて、背景がピンクだったのを覚えてないかな」


 「確かにそうだった。 ちょっと幻想的な感じの絵だった」

 図書館を描いた絵という言葉で、ナーリアとレンスも興味を持ったみたいで近づいてきた。


 「うん、そのピンク色って、この樹を見て思ったのだけど、桜の花の風景なんじゃないかなって」


 「アレク、この樹、花が咲くの?」

 ナーリアが割り込んできた。


 「うん、もし僕が思っている通り、この樹が桜なら、春にはピンクの花が一斉に咲くはずなんだ。

  昔、大火の前にはこの森でもたくさん咲いていたらしい。

  もっと小さい樹だけど、僕は町で見たことがある。

  それは他所からわざわざ持ってきた物だったのだけど、その樹の説明にそんなことが書いてあった」


 「後で図書館で調べる。

  きっと桜のことも詳しく分かる本がある」

 セカンがそういうと、レンスも

 「私も調べたい」と言った。


「ラミアの独り言」ep.12 まだ出来る ep.13 下位の時から の2話は、この頃の裏話です。

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