表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/104

15. 初めての外出

 外に出ても、まだ出入り口付近は他のラミアたちがたくさんいる。

 みんな露骨ではないけど、チラチラとこちらを見ているのが分かる。

 ま、当然そうなるよね、と理解しているのだが、その視線を受けるのは辛い。

 大急ぎで今日の採取場所に向かう様だ。


 結構な移動速度でかなりの距離を進んだ。


 「近くで木ノ実なんかの採取と言ってたけど、かなり離れたみたいだけど、良いの?」


 「そうね、この辺で」

 僕の問いにナーリアが最もらしく答えてくれたのだが。


 「近くでって、あの視線は耐えられないでしょ」とサーブ。

 「無理、無理」とセカン。

 「想像はしてたけど、ここまでとは」とディフィー。

 「もう疲れた」と突っ伏したレンス。


 「「「「「「はぁ〜〜〜っ」」」」」


 「気を取直して、仕事するよ」

 サーブが全員に気合を入れる。

 「そうね、幸いここは木ノ実がたくさんあるみたいだし。

  これで収穫が少なかったら余計何言われるか分からないし、頑張ろう」

 ナーリアの言葉はなんか力を入れてるのか抜いてるのか。


 ラミアたちは僕を中心にして音もなく離れていくと、周りの木にスルスルと登っていった。


 ラミアって動く時、こんな森の中なのに音を出さないんだ、と改めて気がついて、ちょっとあっけに取られていると、ディフィーに怒られた。


 「アレク、ちょっと何ぼけっとしているの。 あなたの目の前にも木があるでしょ」


 目の前の木を見上げてみると、確かに木ノ実が生っている、でも結構高い位置だ。 木を登って、あれを採るということだよな。

 木登りはあまり得意ではないが、しない訳にはいかないから、一生懸命登り実を採った。

 ただでさえ得意でないのに、袋が邪魔で動きにくい。


 やってみて分かったのだが、僕は収穫の戦力にはならなかった。

 ラミアは尻尾を上手く木の幹に巻きつけ、素早く登っていくし、尻尾は力が強いらしく、尻尾だけで体を支えられて、人間と同じ部分は自由に動かせる。 収穫スピードが全く違う。

 その上、慣れない僕はこの木ノ実の熟れ具合が分からず、収穫時期前のまでもいでしまうという体たらくだった。

 ラミアたちにため息を吐かれても仕方ない。


 このままじゃ、このナーリアたちにも「役立たず」と言われかねないぞ、とちょっと焦って対策を考える。

 袋を持って木に登るのはかなり邪魔だ。 袋を持たずに登れば、もっと楽に収穫できる気がする。

 一本の木から収穫できる熟れた実の数は限られているから、なるべく移動と木登りがスムーズになる方が良いはずだ。


 「あのさ、僕は登って採るのは遅過ぎるから、みんなが速く採れるようにサポートに徹するよ」


 「えっ、何がしたいの?」セカンが反応してくれた。


 「うん、セカン、それじゃ袋を僕に貸して。 袋なしで登って、実を採ったら僕に投げてよ。 それを受け取って、僕が袋に入れる」


 「それ意味ある?」


 「いいから、一回試してみようよ」


 試した結果は、思った以上に好評だった。

 尻尾で体を支えたら、袋がないから体をどっちに傾けようが捻ろうが問題ないし、もちろん袋が引っかかることもない。

 採った実は下に居る僕に投げてしまうから、両手ともいつでもフリー。

 これは僕も予想していなかったのだけど、セカンは近い隣の木に飛び移る芸当まで見せてくれた。


 「うん、これ良い。 袋持ってないから全然楽だし、スピードが上がる」


 セカンは気に入ったようだ。

 それを見ていた他のラミアたちも袋を置いて、木に登りだした。


 「ほら、アレク、こっちだ」

 「私も」

 「ほら、急いで」


 5方向から実が投げられる。 忙しいなんてもんじゃない。

 いくら僕が急いでも、投げるのを待っている状態になっている。


 「ちょっと待った。 いくらなんでも下一人は無理だよ。

  誰かもう一人下をやってくれたら、丁度よく回るんじゃないかな」


 ラミアたちは顔を見合わせた。


「じゃ、お願いね」

「最適」

「ん。」

「えっ、私?」


 当たり前のように、その役はナーリアに振られた。


 「木に登るのも、実を採るのも一番遅いでしょ」


 やれやれ、という感じでディフィーがとどめを刺した。


 「後で私が交代してあげるよ」

 サーブが慰めた。


 そこから木ノ実の採取はとても効率よく進んだ。

 一度収穫を納めに集落に戻り、日が真上に登る頃にはもう一度納めに戻ることが出来た。


 本来なら、これが一日のノルマとのことで、採取物の管理をする係りのラミアに「今日はよほど上手くたくさん実っている場所に当たったのね」と言われていた。

 ナーリアたちは笑ってお茶を濁し、「もう少し頑張ります」と3度目の採取に向かった。


 「一日のノルマが終わったのなら、頑張らなくても良いんじゃない」と僕が言ったら


 「今から部屋に篭ったら変に思われるでしょ。 かといって、みんなの視線を受けるのは嫌」


 うん、なるほど。


 僕らはゆっくり昼食の時間を取った。

 僕だけは採りたてのよく熟れた実を食べたのだが、ラミアたちは今朝食べれずに残した種を食べて証拠隠滅をしていた。

 僕は三食木ノ実と果物ばかりの食事にもう飽きてきて、近くにあるそのまま食べれる草とかも口に入れた。

 ついでに見つけた、擦り傷・切り傷に効く薬草を摘んだりもした。

 ラミアたちは、そういう僕の動きには無頓着のようだ。 見てない訳ではないけど。


 午後も簡単に収穫を済まし、割と早めに集落に戻った。

 ちょっとしたことで効率って上がるよね。 なんで今までこういう分業をしてこなかったのだろう、とふと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ