13. 問題発生、いくら何でも早すぎるんじゃ
朝、目が覚めると、すでにエネルギー採取の態勢になられていた。
「今日からはいつもの仕事をしなければならない。
昨日みたいに触って遊んでいる暇はないから、早く出してくれ。」
僕が目覚めたことが分かると、即座にサーブにそう言われた。
「んー、もう、せっかちなんだから。 『おはよう』くらい言ってから、用件を話したら。
アレク、おはよう。 こういう風に名前を呼べはいいのかしら?」
ナーリアがサーブをたしなめながら、僕に朝の挨拶をしてくれた。
「ナーリア、おはよう。 うん、そうやって名前を呼んでくれると、とても嬉しいよ」
他のラミアたちも、ナーリアに倣って挨拶してくれたのだが、慣れないのか気恥ずかしいのか、名前は呼んでくれなかった。
一人、エネルギー採取の態勢まま挨拶をしてきたから、「モゴモゴ」と声にならなかったけど。
そんなたいせい態勢で刺激を与えられたまま、他のラミアたちと普通に挨拶とかの会話をするって、今の僕には途轍もない高等技術なんだけど。
意識が下半身に集中しちゃうのは、しょうがないと思うのだけど。
「ディフィー、出る」
「ん、出して」と、良く聞き取れなかったけど、言われた気がするから躊躇いなく放出する。 ああ、気持ち良い。
ディフィーはやはり同じ様に尻尾までピクピクさせたかと思うと、
「本当だ。 これを得られるなら、どんなことしても秘密にする。」と言った。
「でしょ、あなたも理解した?」セカンがそれにツッコミ、
「うん、わかる」レンスが同意した。
サーブだけがまだなので、話に加われないとちょっと寂しそうだ。
「それでアレク、体は大丈夫? 動ける?」
ナーリアが心配そうに僕に訊ねてくる。
「今は意識を失う感じじゃないな。 大丈夫か?」
サーブも重ねて訊いてくるし、後の三人も僕を注視してる。
「えっ、何? とっても快調な気分だけど、何か問題があった?」
僕は訳がわからず、放出した気持ち良さの余韻がまだ体に残っていて頭が回らず、とっさにそう答えた。
「昨日の晩、出した後にすぐに意識をなくした。 ちょっとびっくりした」
レンスがそう言った。
「口移しの水を飲んで出すと、気持ちが悪く動けなくなると言っていたからな。
もしかして人間は精を出すと動けなくなるのか?」
サーブも言葉を継いだ。
昨晩、放出した後、即座に眠りに落ちてしまったことが、ラミアたちは気掛かりになった様だ。
もしかしたら、心配してくれたのかもしれない気がして、ちょっと嬉しい。
「昨晩は疲れていてというか、気が抜けてというか、ついすぐに眠っちゃただけだよ。
なんの問題もない。 元気に動けるよ」
「なら良かったわ。
動けなかったら、ここに置いていく為に一人残して四人で仕事に行くのも怪しまれるだろうから、人目につかない様に担いで連れ出さないといけないかもしれないって話してたの」
僕が目が覚める前に、そんなことが話されていたのか。
でも、それを避ける為に、朝は精を受けないという選択肢はないのね。
「ふう、早速問題発生かと思ったけど、回避できたみたいね」
やれやれという顔でセカンが呟いた。
それから前日の様にトイレに行った後、朝食となった。
ここで異変が起きた。
サーブを除き、他のラミアたちが朝食をほとんど食べない。
「今、体にエネルギーが満ちているから、食べたくない」
ディフィーがそう言った。
「ん、食事は必要ない」レンスが続けた。
「私もまだいらないかな」セカン
「ごめんなさい、実は私も食欲はあまりないかな」ナーリアも申し訳なさそうに。
「何よ、私しか食べないって。
私たちが食事を摂らなかったら、それって、絶対怪しまれるよ。
無理でも食べなさい」
サーブは怒った様に、拗ねた様に、そう宣言した。
結局、僕も一生懸命食べたのだがあまり貢献できず、種を取り出して、カス(僕にとってはこっちが食べ物)を前日とあまり変わりない量作った。
種は後で食べるとのことだ。
ラミアの社会では、食べ物を粗末にすることのタブーは、人間よりもとても強いみたいだ。
人間に食べさせているからと誤魔化す、と言っているけど、それだけで大丈夫か?
ラミアの社会の食事の管理がどうなっているのかも分からないから、僕には問題の大きさも難しさも分からないのだけど、何だか深刻そうである。
もう、大問題発生か?




