109. 風呂
その日の作業を終え、もう仕方ない、僕たちはイクス様に報告しに行った。
何故かボブたちもみんなついてくる。
「お前ら何ゾロゾロついてくるんだよ?」
「だって、お前、これからイクス様に報告に行くのだろ?」
「まあな、完全に俺たちのミスだからな、報告しない訳にはいかない」
「俺たちも、完全に忘れてて、誰も気がつかなかった。
完全に同罪だから、お前たちだけに責任を取らせる訳にはいかない。
俺たちも一緒に怒られる時は怒られる」
全くこいつらは、逃げとけば良いのに。
でもなんだか胸がホカホカした。
ナーリアたちを見ると、彼女たちもみんなニコニコしている。
「やっぱり、そうなったのね」
「やっぱりって、イクス様、こうなることを予想されていたのですか?」
ナーリアが代表して報告すると、イクス様はニコニコ笑ってそう言った。
「まあね、火の使用を許した時点で、ある程度予想はついたわ。
でも、なんでナーリアちゃんたちだけでなく、人間ちゃんたちも神妙な顔をして後ろにいるの?」
「すいません、イクス様。
俺たちも全くナーリアたちが火を使うのが違和感なくて、全然気がつかなかったんです。
同罪なので、一緒に来ました」
ボブが答えた。
「そっか、人間にとっては火を使うのは普通過ぎて、違和感を感じることはないものね、仕方ないわ。
で、作業は終わったの?」
「いえ、まだ終わりません、1/3くらい残っています。」
僕はイクス様に答えた。
「そう、それじゃあ、明日の昼食は串焼きにしてね。
熾火を並べて、その場で焼いて食べましょう。
私も参加するわ」
「了解です。
それで僕たちへの罰は?」
「別にそんなのないわ。
予想していた事態だしね」
僕たちはみんな、安心したが拍子抜けもした。
家におしゃべりをしながら帰る。
「なんだか今回もイクス様の掌の上で踊らされた感じだな」
「絶対にあれはこの事態を予想していた」
セカンがそう答えた。
「きっと今頃、ラーリア様たちと一緒に大笑いしている」
レンスがふくれっ面をしてそう言った。
「きっとこれも今後のことを考えてのことよね」
ナーリアが信頼しているという感じで言った。
「絶対、これからの布石として考えていた行動よ、これは。
明日の串焼きも、きっと何かさせる気だわ」
ディフィーがなんだか陰謀を暴いてやるという感じで続く。
「まあ、上の人が何を考えていようと良いじゃないか。
怒られなかったのだから、めでたしめでたしだよ」
うーん、サーブらしい。
家に戻り、気分転換に延び延びになっていた風呂を試してみることにした。
二つに分かれた小さい方に水を溜め、下の焚口に火を点けて、水を温める。
煙は今回は床下に通じる方は閉めて、普通に煙突から出す形だ。
ある程度温まったら、小さい方からお湯を大きい方に移し、小さい方にはまた水を加える。
何度かそうやってお湯を大きい方に移していくと、大きい方に入って浸かれる程度の量になった。
「よし、順番に入ってみよう」
大きい方といっても、さすがに全員一緒に入れる訳がなく、二人づつがせいぜいの大きさだ。
「今回は初めてだからまずは僕が火の係をするよ。
まずはナーリアとサーブの二人かな」
「良いの私からで?」
「私も後で構わないのだが?」
「ナーリアは一応リーダーだし、サーブは病み上がりだから優先だ」
「それなら、レンスが先じゃない?」
「私は使ったことがあるから、後でいい」
「ということで、早く二人とも入れ」
「それじゃ、サーブ、二人で最初に入ろう」
ナーリアとサーブは着ていた服を脱ぎ、即座に風呂に入ろうとする。
「違う。 先にお湯を桶に汲んで、それで体を洗ってから入る。
そうでないと、お湯がすぐに汚れちゃう」
レンスから風呂の入り方の指導が入った。
「なるほど、言われてみればそうだな。
そうしないと後から入る者は汚れたお湯に入ることになるな」
サーブが妙に納得して、体を洗い始めた。
ナーリアも考えなしの行動にバツが悪そうな感じで体を洗っている。
僕は体を流すために使ったお湯の量を、大きい方に足してやったり、大きい方のお湯の温度を適温に保つ様にしてあげている。
ナーリアとサーブは体を洗い終わり、湯船に入る。
「うわぁ、何なんだこれは。 すごく気持ちがいいぞ」
「うん、体が温まるし、半分水に浮いてる気分だし、最高」
サーブとナーリアがウットリとした表情をしている。
それを見ているセカンとディフィーに声をかける。
「ほら、次の順番の二人も、脱いで体を洗えよ」
二人とも即座に行動を始め、脱いで体を洗い始める。
「セカンもディフィーも、そんな急がないであげてやれよ。
入っている二人が恨めしそうな顔をしているぞ」
「確かに。 見ていて、興味が優ってちょっと逸った」
「あれだけ気持ち良さそうなんだもの、早く体験したいと思ってしまうのは仕方ないわ」
それからはちょっとゆっくりな感じで、体を洗っていたのだが、そんなに時間もかからずに終わってしまった。
「もう交代なの、うーん残念」
ナーリアがなごり惜しそうにお湯から出た。
「私はまだ浸かっていたいのだが」
サーブが未練がましくなかなか出ない。
「ほら、順番なんだから、早く出てよ」
ディフィーにせっつかれて、渋々お湯から出た。
替わってセカンとディフィーがお湯に浸かる。
「本当だ。 これ最高に気持ちが良い」
「何これ、最高というか、天国よ、これ」
二人ともお湯に浸かって至福を味わっている。
小さい方に少し熱くしたお湯も十分な量作ってある、僕はレンスに声をかける。
「さて、最後は僕たちの番だな。」
僕たちも服を脱ぎ、体を洗おうとする。
「あまり早いと、セカンとディフィーから文句が出そうだから、僕がレンスのことを洗ってやるよ」
「それじゃあ、私はアレクのことを洗ってあげるわ」
僕はまず今日の農作業での汚れをお湯で流して落としてあげて、それからぬか袋で丁寧にレンスを洗ってあげた。
レンスも僕をそうやって洗うと、最後に下半身に手をかけた、もう慣れた、大したことではない。 風呂の中からセカンが「ずるい」と文句を言ったけど。
交替して入った風呂は確かに気持ちが良かった。
みんなの出たがらない気持ちが良く分かった。
僕は満足した気分で、レンスの胸を揉みながら話をする。 ちょっと軽いさっきのお返し。
「レンスは小さい時に、イクス様と一緒に入っていたのかな?」
「私はまだ本当に小さかったから、父親も一緒に三人で入った。
人間の足はラミアの尻尾ほど長くないから、私はいつも父親の足の間に体を入れて、父親にもたれ掛かる様にしていた」
「そうなのか。 じゃあ、昔を思い出して、その格好をしてみる?」
レンスはちょっと嬉しそうな顔をして、一旦体を離すと、僕の足の間に体を入れてきた。
僕は保たれかかってきたレンスを後ろから抱きしめる。
「昔と違って、ちょっと狭いかも」
「そうだな、さすがにちょっと無理があるかな。
胸は触りやすくて、良い態勢だけどな」
「うん、私も父親の時は感じなかった違和感をお尻の辺りに感じる」
「それはさっき、レンスが僕の下半身をふざけて刺激したせいで、僕の責任じゃない。 ま、お返しに胸を揉んでたから、そのせいもあるけど」
「ここでする? 次の順番私だから。
でも、今、思い出してみると、たまに私だけ寝ていて、親二人が風呂に入ってることがあった。
それはきっとこういうことだったんだ」
「そうかも知れないね。
イクス様とレンスの父親は仲が良かったんだな」
「うん、母親が父親に甘々だった」
イクス様が人間の男に甘えている姿というのは、ちょっと想像できないな。
きっとまだ僕自身が若いからだろうと思う。
「アレク、レンス、いつまで入っているの?
ご飯できたよ。 冷めちゃうよ。」
ナーリアが呼びに来た。
ナーリアとサーブは一番先に出たので夕食の準備をしていてくれたらしい。
夕食を終えると、サーブはもう一度風呂に入った。
「もう冷めてきているんじゃないか」
「大丈夫だ、まだ十分暖かい」
本当に風呂が気に入ったんだな。
レンスは風呂で中途半端になってしまったので、食後すぐに迫ってきた。
積極的に自分から僕を下に招き入れて、精を得ようと動いている。
イクス様に体型が変化することはないと聞いてから、夜はみんな躊躇いなく下で得ようとする。
僕は下から手を伸ばして、風呂の続きでレンスの胸を揉んでやった。
レンスは急激に上り詰めたのか、体をビクビクさせ始めた。
たまらず僕は出してしまった。
レンスは出されて、中で僕のがビクンビクン動くのを味わったかと思うと、意識を手放して伸びてしまった。
「レンスが簡単に参っちゃうなんて珍しいわね。
アレク風呂で何してたの?」
ディフィーが聞いてきた。
「いや、昔話というか、レンスの子供の頃の話を聞いただけだよ」
「ふーん、ちょっと昔のことを思い出して感傷的になったのかな」
僕たちはレンスを横にどけて寝る体勢を作ろうとして気がついた。
サーブがいない。
風呂に見に行くと、もう水になっているのに浸かって眠っている。
「サーブ、起きろ。 風呂で寝るな」
「ああ、アレク。 うわっ、冷たいぞ」
「当たり前だ、何やっているんだよ、まったく。 早く出ろ」
「あれっ、体が冷え切って、上手く動かせなくて出れないぞ」
全く何をやっているんだか、引っ張り出そうとしたのだが、ラミアは尻尾が長いから上手くいかない。
仕方なしに、ナーリアとセカンとディフィーも呼んで、四人で引っ張り出す。
「全くもう、何やっているのよ、本当に」
ナーリアがマジ怒りでサーブを叱っている。
「すまない、あまりの気持ち良さに、気付かず寝てしまった様だ。」
本当にサーブは人騒がせだ。
次の朝、使った薪の量に、みんなで愕然とした。
「やっぱり風呂は、特別な時だけにしましょう。
それにしても本気で柴刈りをもっとするよ」
ナーリアが宣言した。
「ラミアの独り言」ep.6 搦め手 が、この頃の話です。
余裕があったら、そちらもどうぞ。




