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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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101/104

101. 回復

 サーブは手術した次の日の夕遅くやっと意識を取り戻した。


 そしてサーブは死にかけても、やっぱりサーブだった。

 「ああ、アレク、もっと激しくしていいぞ、私はそれが好みだ。

  天国だと構わずに下に挿れてくれるのだな。 周りにバレる心配をする必要もないからな。

  そうだな、だからアレクも何も構わずに放出してくれ。

  痛〜っ!!!」

 サーブは自分から動こうとして、悲鳴をあげた。


 「サーブ、気がついたのか?」

 僕はやれやれという気分で声を掛けた。


 「思い出した。 痛いということは、まだ私は生きているのか?」


 「サーブ、しっかり生きているわよ」

 ナーリアが呆れたというか、良かったというか、微妙な感じで答えた。


 「そうか、私はなんだか何度もアレクに、その、なんて言うか下に出してもらって嬉しく感じていたから、安心して天国にいるのだと思っていたのだが」


 「何回もって、まだ3度で、今4度目を出すところだ」


 「本当にそんなに私は下に出されているのか、って、下に出したらダメだろう」


 「大丈夫なんだって、イクス様が教えてくれた」


 「そうか、それなら。 いや、私だけ何度もはダメだろう」

 いやなんと言うか、気がついた途端、サーブ平常運転だね。


 「あのな、サーブ、言っとくけど、お前まだ結構命の危機なんだぞ」


 「そうなのか?  自分ではよく分からない」


 「だから、とりあえず一度脱皮してくれ。

  それまではお前に優先して出すことに決まっているし、僕も頑張って朝・昼・晩て3回出すから」


 「早く脱皮して、次がつかえてる」

 レンスがそう言った。


 「そうなのか、すまない。

  ところで現実感が戻ってきたら、緊急に頼みたいことができたのだが良いだろうか?

  すまないがトイレに連れて行ってくれ、自分では行けそうにない」

 はぁ、まだ僕、サーブに挿れているのですけど、でもまあ切迫してるのね、仕切り直そう。


 みんなで支えて、サーブをトイレに連れて行った。


 サーブは2日目は動けないまでも調子よく過ごしたが、3日目の朝は熱を出し、患部は腫れあがっていた。

 僕はディフィーに水で絞った布で冷やしてあげていてくれる様に言って、ナーリア・セカンと葬儀に出た。


 葬儀から大急ぎで戻り、患部の様子を診てみて、血管を縛って端を傷口から外に出している糸を引っ張ってみた。

 最悪、また血が吹き出すかもと思ったが、糸は抵抗なくズルズルと抜け、その後から膿が出てきた。

 膿を拭き取り傷薬をつけて布を巻くと、サーブは急に楽になった様で、スヤスヤと眠ってしまった。


 それからはすごい勢いで調子が良くなり、4日目からは治りが遅いレンスに昼だけは出すことにしたが、良くなるテンポは落ちなかった。

 ちなみにレンスは4日目、5日目と昼に出したら、6日目の朝には早くも脱皮し全快した。


 サーブは4日目、5日目に表面を縫った糸だけ抜糸したのだが、それだけは痛がって嫌がったが、食事も普通に自分で取る様になったこともあるのか、どんどん回復し7日目の朝に脱皮した。


 外見的には良く見なければ気がつかないほどにまで傷は回復したのだが、問題は今までと同じ様に動くかどうかだ。

 サーブも恐る恐る傷口辺りの場所を動かしてみる。

 「おおっ、大丈夫だ。 ちゃんと動くぞ」


 「どこか痛い所はないか?」


 「ずっと動かしてなかったせいか、なんとなく違和感はあるが大丈夫だ、これならすぐに慣れる」


 僕は本当にホッとした。

 それにしてもラミアって、傷の治りが本当に早いのね。


 見にきていたイクス様が僕に言う。

 「アレクくん、すごいわね、本当にサーブちゃんを治しちゃった」


 「道具を持っていたことと、ラミアだからですよ。

  あの位置の怪我だと人間だと助かっても足一本失くす所です。

  ラミアだと下からも繋がっているから、血がもう片側から止まらないで回っていたから後遺症にならなかったんだと思います」


 「なんであんな道具持っていたの?」


 「一人で森で暮らしてて、怪我したら必要かもしれないと思って、学校時代に暇な時働いて貯めた金をほとんど全部を出して買っておいたんです。

  まさかこんなことで役に立つとは思わなかったけど」


 「サーブちゃんは運が良かったわね」


 もう一人話に加わってきた。

 「その道具とそれを使うアレクの腕があれば、もう少し助けられたかもしれないな」


 サーブの同程度以下の怪我ということで、ラーリア様はアリオ、ミーレナ、アリファなどを思い浮かべた様だ。


 「それは無理だと思う。

  アリオ様の場合は、その場でアーリア様が剣を抜いてしまって血が噴き出てしまったということだし、ミーレナ様、アリファ様は腕を斬られた傷だから、同じ様にはいかないと思う」

 セカンが反論した。


 「それに、アレクはサーブの手術を終えた時に、もう精根尽きて倒れてしまっていた」

 レンスが続けた。


 「そうね、あれ以上何かを期待するのは無理だったわね」

 イクス様も同調した。


 「すまない、無い物ねだりをしてしまった」

 ラーリア様が謝ってくれたが、僕自身がもし自分がすぐに手当て出来れば助けてあげることができたのではないだろうか、手が動かすことが出来る様に治療できたのではないかと、無理だった可能性を考えてしまう。


 「それはそうとして」

 もう一人ここに居る、ミーリア様だ。

 ミーリア様は戦いが終わってからは、どういう訳か前よりもずっとちょくちょくとこの家に来て、滞在している。


 「あなたたち、私に報告してないことがあるわよね」


 レンスとサーブが二人してここで急に脱皮したことで、今回は誤魔化せなかった。

 前回の脱皮から日があまり経っていないのと、あまりに都合の良すぎる脱皮だから隠しようもない。


 「ミーリア、そう目くじらを立てなくても良いだろう。

  薄々わかっていたことではあるしな」


 「ラーリア様、わかっていたのですか?」


 「ミーリア、ごめんなさい、私は知っていたわ」


 「ミーリア、お前も、前からここに来ていたのだから、匂いや雰囲気で察しはつくだろう。

  それにそんなに怖い顔をすると、ここでも恐れられて居られなくなるぞ」


 「えっ、なんですか、恐れられて居られなくなるって」

 僕は話題を変えようと、ラーリア様の言葉に食いついた。


 「いや、ミーリアはな、上位ラミアや、お前たちと同世代の娘らに、完全に恐れられて、今、居場所がここしかないのだよ」


 「ラーリア様、その言い方はちょっと」


 「本当のことだろう。

  怖かったぞ、本当に。 私でもちょっと引いたな。

  他のラーリアもみんな、ミーリアは怒らせない様にしよう、と話していたぞ。

  他のミーリアたちも、みんなお前より一歩下がる様になっているじゃないか」


 ミーリア様、完全に凹んでる。


 「何で、みんなそんなにミーリア様を怖がっているのですか?」

 ミーリア様はここでは不器用キャラが定着していて、厳しくはあるが怖いという存在には見えない。


 「お前たちが戦場を去った後にな、冷たい声で全体に命令しおった、『生きていようが、死んでいようが、全てのゴブの首を落とせ』とな」


 「あ、それ、私も命令したことあります」


 「そうよね、ナーリア。 必要なら仕方なくそういう命令だってするわよね。

  それで私は怖がられているのよ。

  そういう理不尽な目に私たちはあっているのよ」

 ミーリア様は急に友を得た様に活気付いた。


 「あの、ミーリア様、私はその、別に恐れられてはいないのですけど」

 その場に居たものはミーリア様を除いて、全員吹き出した。


 「そう言えば、今思い出したのですが、イクス様がレンスを何か違う言い方で咄嗟に呼んだ様な気がするのですが?」

 あら、何かしらという感じでイクス様はトボけられた。

 レンスは下を向いている。


 あっさりとラーリア様がばらした。

 「ん、マピとでも呼んだか?」


 「あ、それです。 確かにそう呼んでいました」


 「小さい頃の愛称だからな、咄嗟に出ちゃったのだろう」


 「小さい頃の愛称って、イクス様やラーリア様はレンスのことをそんな小さい時から知っているのですか?」


 「たったこれだけしかいない集落だ。 知っていても何もおかしいことはないだろ。

  それに、レンスはイクス様の娘だからな、よーく知っているよ」


 え、娘、イクス様の・・・・。


 「なんだ知らなかったのか。 レンスはイクス様の娘だぞ」


 そう言われてみれば、レンスはイクス様に遠慮がない様な。

 考えたこともなかった。


 「あれっ、今更ですが、なんであの時イクス様がいたのですか?」


 「そりゃ、お前たちを護衛してたからに決まっているじゃないか。

  お前が捕まった時だって、イクス様は護衛していたぞ。

  そうでなければ、経験のない若いラミアをあのような場で、上の者もいないで自由にさせる訳ないじゃないか」


 「捕まった時もっていうことは、捕まった時、僕がナーリアたちに噛み付かれていないということは?」


 「もちろん知っていたぞ。 私もミーリアもだがな」


 今までの世界が崩れました。

 完全にこの3人の掌の上だったのですね。


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