長距離航行試験をしようⅢ
ホーデン領の港を無事出港して、昨夜は流星群を堪能した。前世でもその様な沢山の流星は見た事がなかった。きっと良いことがあるだろう。
船の方も今の所不具合等は無く順調なのでこのまま皇都の港に入れれば良いよね。
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出港から4日目、朝から大雨で風もとても強く海も荒ていて、揺れはありますけど帆船の時よりは揺れが少ないです。
ユータさんは「スタビライザーがあるので横揺れは多少マシになっている」と言っていたが「もっと荒れたら変わんないですよ」とも言っていた。
この雨が通り過ぎる迄は我慢ですね。
部屋に戻る途中で皇女様と会ったので食堂に行き、お茶を飲む事にしました。
「この船は揺れが少ないですね。やっぱりスタビ何とかと言うのが効いているのですね。以前座礁した時と同じ位の天気なのに物凄く安心感があります。
それにこの様な風が吹いていても前に進めるのは船乗りとしては嬉しいですね。あの時は何処に行くのか不安でしたから」
皇女様は揺れの少なさに感心している。
「制御不能になると混乱しますからね。でもこの船でも同じ事は有ると思いますよ。スクリューが止まれば同じですから」
「そうなのですけど今までに比べれば遥かに安心感はあります」
「そう言っていただけるのは嬉しいですね」
「話は変わりますけどホーデン領に行くときに使った[ゲート]の使用条件を教えて下さい」
「スキルに[空間魔法]が有る事と使う本人が行った事のある所しか行けない事です。
後は行く場所のイメージを出来るだけ細密にする事だけなのですが魔力量によって移動出来る距離も変わって来ます。[空間魔法]が有るとマジックバッグを作る事が出来ます」
「以前いただいたバッグですよね。その後に留学生の荷物を運ぶのに数個購入しています」
「私が皇女様にお渡ししたのは[時間停止]を付与したものですけど。それとマジックバッグを作れる事を絶対に秘密にしておいて下さい。
希少性の為に犯罪等に巻き込まれる場合があります」
「わかりました。十分に気をつけます」
皇女様との話が終わって部屋に戻ると、お母さんとサツキさんが船の揺れでダウンしていたので揺れが収まる迄は看病をしていました。
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昨日の大雨は夕方には通り抜け夜には荒れた海も穏やかになっていました。
お母さんとサツキさんも落ち着いて、今は寝ています。
朝食の後は甲板でゆっくりとしているとスマホからアラームが鳴りました。
スマホを取り出すと[サーチ]に反応があり、前方に1隻の船が表示された。悪意はないようだ。
この事を皇女様と船長に伝えて、話しをするとフソウ国からの貿易船かもしれないと言っていたので進路はそのままで様子を見る事にした。
3時間程航行していると船が見えて来たのだが、どうやらマストが折れている様だ。
きっと昨日の強風にやられたのかもしれない。
段々と近づいて行くと船から手を振っている人と、光信号をこちらに送っているのが確認できたので空荷の船をマストが倒れていない方に横付けする様にして停止をさせる事にして、コンテナを乗せている方は近くで待機となりました。
光信号を使うので、フソウ国の船なのかな?
私と皇女様は[バーニア]で空荷の船の方に行き、横付けする迄待機しました。
いきなり相手の船に行くのは危ないですから。
船を横付けをするとマストの折れた船の乗員が3人こちらにやって来て「助けて下さい。怪我人が多数いて我が国の姫様も怪我を負ってしまったのです」
「怪我人を甲板に集めて貰うことは出来ますか?」
私が尋ねると「直ぐに集めます」と言って船内の方に向って行った。
暫くすると怪我人が全員集められた。
「これで全員です」
私と皇女様、皇女様の護衛は乗り移ってから怪我人の様子を見て見ると、20人程いて結構な大怪我をしている。
「[ヒール]で行けるかな? 初級ポーションも数がないからやってみようかな?」
「大丈夫なのですか?」
「んーー多分。いっぺんにやってみますよ」
皇女様と話しをしてから魔法を発動させます。
「痛いの痛いの飛んでけ〜[エリアヒール]」
発動させると怪我をした人達の怪我の部分が光、見る見る内に治って行きます。
5分程すると全員の怪我は治った様です。
皇女様は何故か肩を震わせて笑いを堪えています。
「皇女様、どうかしましたか?」
「いえ、セリカさんが魔法を使うときの掛け声が面白くて」
「あぁ最初に子供を治療する時にこう言ったら、それから言わないと発動しないのですよ。なんででしょうね?」
「でも治ったから良しとしましょう。それに・・・あれ? あの子は東隣の二姫じゃないですか」
「お知り合いですか?」
「フソウ国の東隣のティクッポアン共和国の二姫のフィエロですね。何度か会った事はあります。確かセリカさんよりも2つ下だった様な気がします。行って見ましょうか」
皇女様に連れられて二姫さんの所に行きましたが、まだ目を覚ましていませんでした。
他の意識があった方々は怪我が治った事が不思議で混乱をしていました。
「あれ? 治っているぞ」
「なんでだ?」
とても驚いている。
少しすると二姫さんが目を覚ましました。
「んん、あれ? 此処は? 甲板に何故いるの? なんで怪我が治っているの?」
「気がついた様ですね二姫殿」
二姫さんは混乱していたが、直ぐに皇女様に気がついた。
「フソウ国のミラージュ殿。どうして貴方が此処に?」
「先ずは落ち着いて下さい。丁度私の乗った船が近くを航行していて、この船を見つけたのです。そして助けを求められたので助けに来ました」
「そうですか、ありがとうございます。それでどうして私達の怪我が治っているのですか?」
皇女様は私達が乗っていた船を横付けしてから今現在の事までを話した。
「そうですか、貴方が治したくれたのですね。ありがとう」
「いえ、皇女様には海は助け合いだと聞いていましたから。それから私はエンジプト王国のセリカ・ホーデンと言います」
「セリカさんは私の友人なのです。それでこれからどうしますか? 私達はフソウ国に向かう途中ですけど」
二姫さんは少し考えた後にこう言った。
「出来れば乗せていただければありがたいのですが、この船はもう駄目ですね。マストが折れてどうにもなりません」
「セリカさんどうですか? 船の持ち主はセリカさんですから」
「空荷の方に乗っていただきましょう。フソウ国迄行けば陸路で帰れるのですよね?」
「それが国境は2000〜2500級の山脈が連なっていて、陸路だと第3国を通り物凄く遠回りになるのですよ。
船で行った方が早いですね」
「そうですか、それなら積み降ろしをしてから二姫様の国を回ってから帰りましょうか」
「宜しいのですか?」
二姫さんは私の言った事に驚いている。
「乗りかかった船ですからね。船だけに」
「セリカさん面白い事を言いますね」
皇女様が肩を震わせて笑いを堪えている。
「取り敢えずはこの船から持ち出せる物を家の船に乗せて、全員乗り移ったらこの船は沈めましょう。
このままだと他の船にも迷惑がかかりますから」
「そうですね、その方が良いですね。二姫殿どうですか?」
皇女様が二姫さんに言いました。
「はい、それでお願いします」
話が決まったので移動を開始しました。
まぁ何とかなるでしょう。
怪我人も全員直ったし良しとしておこう。
もう何もないと良いな。
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