皇女様、船を見に行く
(SIDE ミラージュ)
セリカさんからメールが有り、開いて読んでみると、フソウ国からの褒賞でもらった軍艦2隻の内1隻をスクリュー式にして貿易が出来る様に改造したと書いてあった。
スクリューを取り付けた後に海に浮かべての航行、港への接岸等の試験をしたそうだ。
まだ内部の厨房や客室等は手をつけていないそうですが、実際に試験航行が始まって航行している。
物凄く興味が湧いた。見に行きたい。
スタリオンにも話しをしましょう。
「スタリオン、聞いて下さい。貿易船のスクリュー式が出来そうです!!」
「姫様落ち着いて下さい。どう言う事ですか?」
「以前、漁船のスクリュー式を見ましたよね。それを貿易船にも出来ないかをセリカさんに提案していたのですが、褒賞で貰った2隻の内1隻を改造したそうです」
「本当ですか? もしそうなら画期的な事です。出来れば乗ってみたいですね」
「そうよね、領主殿に連絡を取ってみましょう」
ミラージュはその場でカリーナに電話を入れて、改造した船の見学と試験運転に同乗させてほしいと申込んだ。
カリーナからは後日連絡すると言われた。
多分関係者との調整だろう。
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翌日の朝にカリーナから連絡が有り、OKが出て明日鉄道に乗ってそちらに向かうと言って、直ぐにスタリオンにその事を伝えた。
その日は興奮して眠れなかった。
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朝1番の列車に私とスタリオン、侍女1人、護衛2人で乗り、ホーデン領に向った。
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無事ホーデン領領都の駅に着き、一度領事館に行くとコルトと商会のクオン殿がいたので挨拶をさせてもらい、コルトの執務室で休ませてもらいカリーナさんにこちらに着いた事を伝えると、明日見れる事になり桟橋の有る浜に来てほしいと言われた。
コルトが打ち合わせを終わらせて執務室にきてこう言った。
「姉さん急にどうしたの?」
「新しい船を見に来たの。セリカさんからその事を聞いたらじっとして居られなかった」
「アハハハ、姉さんらしいね。僕も港で少し見た位だけど、帆の無い船は見慣れないからまだ違和感が有るよ。クオン殿からは簡単には説明を受けているけど、面白い事になっているそうだよ」
「その面白い事って何なのよ?」
コルトが言うには今まで荷積みや荷卸は人の手で行っていたが、荷馬車サイズのコンテナと言うのを作ってその中に輸出入品を入れて、船にはクレーンと言う物を使って載せると言っていた。
それによって荷積みや荷卸の時間が短縮でき、尚且つ積み重ねて置くので今までよりも量が積めるかもしれないと言って言た。
「そのクレーンと言うのは何なの?」
「重たい荷物を吊って移動指せる魔導具だそうだ。
鉄道の建設に使っているよ。僕もまだ実際には見てないけど、明日分かると思うよ」
「明日を楽しみに待っていれば良いのね」
その日は領事館で食事をして客間に案内されて終わった。
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翌日、浜に行くと領主殿とカリーナさんが来ていて、その時に改造の指揮を取っている魔導具師のリンダ殿を紹介してもらった。説明等はリンダ殿の助手であるユータ殿だった。確か漂流者の方だった様な気がする。
挨拶が終わった後に、先ず今改造中の船の外観から見る事のなった。
座礁の時に修理した時の様に関係者以外が入り込まない為に壁が出来ていて、中が見れない様になっていた。
出入り口の門から入ると改造中の船が有り、マストが全て無くなっていた。見慣れたマストが無いと何か変な感じがする。
外観を見ながら船の後部に行くと羽根の様な物が2つ付いていた。これがスクリューと言われる物と説明を受けた。
「これが回ると海水を押し出して船が進むと言う事ですね」
「そうです。逆転させれば後退もできます」
「えっ後ろにも進めるのですか?」
「えぇ、接岸や沖で船を並べる時に使用しますが長時間の使用はしない方がいいです。
スクリューを見ていただいたので桟橋に有る船に乗っていただき、実際に海に出て試験航行致します」
ユータ殿からの説明の後に桟橋の方へ移動を始めた。
◆
桟橋の階段を昇り、甲板に入るとマストは無くなって甲板に大きな穴が空いていた。
「何故甲板に穴が空いているのですか?」
「此処は積荷を載せる所で、コンテナと言う物を使って積み重ねて搭載していく予定です」
「コンテナと言うのはどう言う物ですか?」
「今は冷凍と冷蔵しか有りませんが、荷馬車のサイズぴったりに作られている箱で、鉄道の貨車にもそのまま荷物を出さずに積める様になっています。
それを船にも応用されたと言う事ですね」
「それを見る事は可能ですか?」
「御領主様の許可が有れば可能だと思いますけど」
「領主殿どうですか?」
「構いません。リンダ、工房にあるか?」
「はい、お嬢様に頼まれた切り変え式が1台あります」
「有りますので船の後に工房の方にお願いします」
「ありがとうございます」
「それでは艦橋の方にお願いします」
ユータがそう言って全員で艦橋に向った。
◆
艦橋に入るとミラージュは今までと作りが違うので驚いていた。
「艦長、出港をお願いします」
艦長は直ぐに命令を出す。
「出港準備」
艦長が言うと別の人間が金属の筒に向って「出港準備」と言っていた。
少しすると金属の筒から「出港準備完了」と聞こえてきた。
その声を聞き艦長が出港の命令を出す。
「両舷前進微速、赤黒無し、150°ヨーソロー、出港」
復唱されて船は動き出した。その時にまた金属の筒にも言っていた。
「あのう、あの金属の筒は何ですか?」
ミラージュがユータに聞いた。
「あれは伝声管と言って離れた所と会話が出来る様になっていますので、艦長からの指示や連絡、何かあった場合の報告が出来る様になっています」
「そうなのですか。便利ですね。それと先程の出港の合図はどう言う意味が有るのですか?」
「先程の合図はと言うと
○両舷前進微速 2本のスクリューでゆっくり前進。
○赤黒無し 赤は後退、黒は前進ですが無しの場合
はそのまま前進。
○150° 北が0°で150°の方向に動かす。
○ヨーソロー 了解もしくは問題無し。言う人によっ
て変わる。
この様な感じですね」
「北の0°とはどうやって分かるのですか?」
「こちらに有る羅針盤でわかります。針の先が赤い方が常に北を向いています」
「これは凄いです。これが有れば航行がわかり易いです。これは売っているのですか?」
「いえ、作ったばかりのもので、まだ売ってはいません」
「量産は可能ですか?」
「工房長どうしますか?」
ユータがリンダに話しを振ったが、代わりにクオンが話しを始めた。
「皇女様、まだ作ったばかりなので一度話を持ち帰らせてください。皇女様の希望数量等も出来ればお聞きしたいのですが」
ミラージュとクオンが話しを始めたが直ぐに終わった。
「後日返答させていただきます」
「よろしくね」
◆
艦橋での話が終わった後は船内を案内され、スクリューが回るモーター部分や改装中の客室や厨房等を案内されて、最後にコンテナを置く床に来ると、コンテナが動かない様にする治具が付いていました。
多少の質問をしてから甲板まであがり開口部を1周して艦橋に戻るのですが、あまり横揺れがしないのと体感的には帆船よりも速度が出ている様です。
何か秘密が有るのでしょうか?
◆
艦橋に戻り先程感じたと事を聞くと、横揺れがあまりしないのはスタビライザーと言うのを付けていて、速度は帆船よりも速度は出ているそうで、モーターの今の出力は50%程と言っており、荷を積めばもう少し出力を上げるそうです。
これでは帆船での随行は出来ませんね。置いてけぼりになりそうです。
◆
本日の試験航行は港には入らずそのまま桟橋に戻ります。
桟橋に接岸する時に後ろ向きに動いているのにはびっくりしてしまいました。
先程説明されましたが、実際にその様に動くと驚きますよね。
◆
一通り船の説明と体験搭乗を終えて、接岸後に下船をしてから魔導具工房に行きます。
今度はどんな驚きが有るのでしょうか。楽しみです。
ご覧いただきありがとうございます。




