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聖女無双  作者: 水無月 黒
第四章 魔王

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魔王の玉座

評価ありがとうございました。


 一同は、魔王城六階に到着した。

 「どうやら、ここが終着点のようだな。」

 眼前の扉を見て優太は言う。

 一目見ただけで、これまでの部屋とは違うと分かる、重厚な扉だった。しかも、

 「お、扉に何か書いてあるぞ。」



 悪の魔王事務所

 業務時間 9:00 ~ 17:00

 魔王は今 『在室中』



 「……。」

 「どこのゲームのパクリだよ!」

 「ま、まあ。魔王がいることは確かなようだから、とりあえず入ろう。」

 一同は、重々しい造りの扉を開け、中へと入って行った。


 そこは大きな部屋だった。

 これまで通ってきた部屋もたいがい大きかった――本来屋外で行う競技ができるほどの大きさだ――が、この部屋はそれ以上に大きい。

 広さだけでなく、高さもあった。さすがにスキージャンプをやった部屋ほどではないが、それでも天井まで十メートル近くあった。

 その大きな部屋の最奥に座す存在。それこそが魔王城の主にして魔族の王、魔王で間違いないだろう。

 一同は、大介と優太を先頭に全員でぞろぞろと部屋の中へと入って行った。一部魔族との勝負に負けてまだ下の階で勝負中の者もいるが、ほとんどの者がここまでやって来ているのでかなりの人数だった。

 大介と優太が部屋の中央に来たところで、不意に照明が落ちて部屋が暗くなった。代わりにスポットライトのように玉座の場所が明るくなる。

 スポットライトを浴びて、魔王が立ち上がった。その手には、王杖とでも言うべきか、背丈ほどもある長い杖を持っていた。

 「よくぞここまで来た、人間たちよ!」

 そして大介達に向かって歩き出した。

 「速い!」

 大介が驚く。ゆっくり歩いているようにしか見えないのに、魔王は凄い勢いでこちらに向かってきていた。

 「いや、床の方が動いているんだ。なるほど、動く歩道か。」

 優太はカラクリを見破った。

 「照明もしっかりと追随しているし、大した技術だネ。」

 その技術、実は過去にエルマギカの技術者が売り込んだものだったりしないか?

 そんなことをこそこそと話しているうちに、魔王が近くまでやって来た。

 見た目は普通の魔族の男と大して差はない。だが、ただ立っているだけで伝わってくる威圧感が、そして隠し切れない膨大な魔力がただものではないと主張していた。

 「歓迎しよう、勇者よ! そして、……なんじゃ、お前は?」

 やや芝居がかった重々しい感じだった魔王の喋り方が、優太を見た瞬間崩れた。驚いて素に戻ったらしい。

 「俺が聖女だ!」

 「な~ぜ~じゃ~」

 天に向かって叫ぶ魔王。

 「なんだか久しぶりだな、このやり取り。」

 「最近は優太のこと知れ渡っているからな。」

 後ろの人々は魔王を温かい眼差しで見ていた。いいのか?

 「毎度毎度ごつい騎士や勇者と戦って、そんな中でかいがいしく勇者をサポートする聖女の姿を見るのがワシの数少ない楽しみだったんだぞ。それを~」

 そんな理由で聖女の参戦を認めていたのだろうか?

 「苦情は女神様にお願いします。」

 優太は容赦なかった。

 「はあ、まあ良い。珍しいものが見れたということにしておこう。女魔族に変な趣味を広められるよりはましじゃろうて。」

 「あ、もう手遅れだったのか。ああいうのは男には口出しし難いからな。」

 「実害がないから特に文句も言えぬし、浮遊島には娯楽が少ないからのぉ。」

 「何の話だよ、おい!」

 なんだか妙なところで聖女と魔王が分かり合っていた。

 なお、今回は聖女による腐教活動は無かったが、代わりにマリエラ王女が同人誌を持ち込んだうえでしっかりと交流しているので色々な意味で手遅れである。


 「さて、それでは始めるとするか。見学する者は下がっておれ、流れ弾に当たっても知らぬぞ。聖女の護衛は……まあ、要らぬじゃろう。聖獣がおるなら、いつでも出して構わぬぞ。」

 やや投げやり気味に戦いの準備を始める魔王。大介と優太を残して他の者は距離を取った。

 「始める前に、これだけは言わせてもらう。」

 だが、そこで優太が割り込んだ。

 「バルス!」

 優太は滅びの呪文を唱えた!

 「「止めんか!!」」

 勇者と魔王の突っ込みが見事にハモった。

 「全く、どいつもこいつも。召喚勇者の三人に二人はそれを言うぞ!」

 どうやら、優太が初めてではなかったらしい。

 「やはり、皆考えることは同じか。」

 初代以降、割と近い世代の日本人が召喚されているのだ。あり得ない話ではなかった。

 「前々回の勇者など、わざわざ青い宝石を用意して、聖女と手に手を取ってやりやがったわい。」

 「おお、ずいぶん本格的だな。」

 「いや、力を入れるべきはそこじゃないだろ。」

 「全く、ワシの目の前でいちゃつきおってからに。」

 「突っ込むところ、そこか?」

 大介は優太と魔王の両方に突っ込んで忙しかった。

 「今度から、『魔王城は天空の城ではありません』とでも書いておくかのぉ。」

 「いや、『風雲!魔王城』だけでお腹いっぱいだから。」

 なんだかグダグダになりつつも、世界の運命をかけた魔王との戦いが始まるのであった。


ようやく登場しました、魔王様。

いよいよ世界の命運をかけた戦いが始まります。グタグタに見えても真面目に戦います。


魔族とのスポコン展開をもう少し真面目に書くのも良いかと思ったのですが、長くなりすぎて魔王様の出番がかすみそうなので止めておきました。

それから、「魔族は本領を発揮すると平気で自分の命を捨てて破壊活動を行う。このため、魔族は個の生死にこだわらない無個性な性質をしている。」という設定にして、魔族には名前を出さないようにしていました。しかし、最初の100m走のように内面を書くと結構個性が出てしまいます。この辺りは曖昧なままにしておきたかったので残りの試合では魔族選手側の内心には触れないでおきました。

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