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聖女無双  作者: 水無月 黒
第二章 ドラゴンゾンビ

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ドラゴンゾンビ対策会議4

・2026年4月25日 誤字修正

 誤字報告ありがとうございました。

 「調査の結果、ドラゴンゾンビが出現する可能性の高い場所を三ヶ所まで絞り込むことができたヨ。」

 アッカーマン教授は地図を広げながら調査結果の報告を始めた。

 「まずはA地点。こいつが本命サ。聖竜が落っこちた地下大空洞に繋がると思われる縦穴があるのサ。」

 アッカーマン教授は地図に印をつけながら説明する。

 「ここにドラゴンゾンビが出現する場合、地面に大穴が開くだろうネ。戦闘中に落ちないように注意しナ。地面が下に陥没してから出て来るか、下から地面を吹き飛ばして出て来るかはドラゴンゾンビ次第だネ。」

 「次はB地点。入口の塞がった洞窟が奥で地下大空洞に繋がっているらしい場所サ。瘴気と微量の毒が漏れ出ているからまず間違いないネ。」

 アッカーマン教授は別の地点に印をつける。

 「最後はC地点。ここも入り口の塞がった洞窟だネ。こっちは毒が出ていないから完全に繋がってはいないかもしれないけど、ドラゴンゾンビが暴れたらすぐに開通するだろうから油断はできないヨ。」

 地図に三ヵ所目の印をつける。

 「結構離れているんだな。」

 優太の言うように、この三地点はそこそこ距離が離れている。

 「この辺りは洞窟の多い場所で、地下にはたくさんの地下洞窟が縦横に走っているのである。その多くが地下大空洞に繋がっていると考えられ、正直何処から出てきてもおかしくないのである。」

 地下洞窟や地下大空洞の存在は以前から知られていた。しかし、地下のことだけにその正確な構造は把握しきれていなかった。だから、賢者ラウルがいくら過去の資料を調べても可能性を絞り切れなかったのであった。

 「この三ヶ所以外から出てくる可能性はあるのでしょうか?」

 アルベルト王子が質問する。作成を立てる立場としては非常に重要なことであった。

 「可能性は否定しきれないネ。聖竜の大きさで抜けられそうな穴はこの三ヶ所だけだったけど、中位のドラゴン並のパワーがあればどこにでも大穴が開くだろうサ。」

 相手の能力が不明のため、最悪を考え出すと際限が無かった。聖竜と同じパワーを想定するだけで出現場所の完全な特定は不可能になるのだ。

 「一応、あの辺り一帯に観測機器を設置しておいたから、岩盤ぶち抜くような派手な真似をすれば出てくる前に察知できるだろうサ。ただ、一日前に察知できるか五分前になるかは相手次第だネ。」

 今回現地調査は三回行われ、ドラゴンゾンビの出現候補地以外にも観測機器を設置していた。通信用のマジックアイテムを組み込み遠隔でデータを取得できるという高価で最新の機器を、使い捨て覚悟で大量に設置するという大盤振る舞いである。アッカーマン教授は世界の危機を理由にかなりの予算を分捕っていた。

 「後、注意すべき点は、出てきた穴にまた入って地下を移動したり、空を飛ばれたりすると簡易封屍結界では止められないことだネ。対策は考えておくべきだろうネ。」

 全方位上空から地下までを球形に覆う『死者の谷』の『封屍結界(アンデッドシール)』と異なり、簡易封屍結界では上空二十メートル程度までしか届かないし地下もは範囲外だった。地下を進むアンデッドと空を飛ぶアンデッドには相性が悪かった。


 アッカーマン教授達の調査報告を元に、アルベルト王子とエルマギカ及びエルフィロソフィアの軍の参謀が協議して作戦が立てられた。

 「まず、出現が予想される三ヶ所には予め簡易封屍結界を張る準備をしておき、ドラゴンゾンビの出現と共に簡易封屍結界を起動します。そして簡易封屍結界の囲いの中にドラゴンゾンビを誘い込んだのち、その背後にも簡易封屍結界を張り、出てきた穴に戻れないようにします。」

 『死者の谷』と異なり『浄化柱』が建てられていないので、簡易封屍結界を何日も張り続けることはできない。なので準備だけを先に行い、ドラゴンゾンビを確認してから簡易封屍結界を張ることになった。

 「この三ヶ所には兵を百名ずつ配置します。ドラゴンゾンビが出現したら、まず魔導士と弓兵による遠距離攻撃で翼を狙います。ドラゴンゾンビの飛行能力を奪い、簡易封屍結界に閉じ込めることができたら、結界の外に出て他の場所の兵が集まるのを待ちます。そして戦力が揃ったところで総攻撃を開始します。」

 最初から全兵力を投入できないため、最初に配備する兵はドラゴンゾンビの足止めを優先していた。

 「勇者様と聖女様にはこの後の観測結果から一番可能性の高いところで待機していただきます。ドラゴンゾンビがどこに現れた場合でも、勇者様と聖女様が到着した時点で総攻撃を開始します。」

 大介と優太が待機する場所に現れた場合、ドラゴンゾンビの移動を封じたら即倒しにかかることになる。

 「三ヶ所の候補地以外から出現した場合、および移動を封じることができなかった場合に備えて、竜峰の周囲に五百名の兵を配置します。こちらの兵には勇者様達が到着するまでの足止めに専念してもらう予定です。」

 以上の八百名の兵士が避毒アミュレットを使用することになった。残り二百個の避毒アミュレットは、優太が祝福した鎧と共に周囲を警戒する兵士に渡されることになる。

 「今回広い範囲に展開することになった兵士への連絡用に、アッカーマン教授より提供された最新の通信具を使用します。」

 通信用のマジックアイテムはそこそこの大きさがあり、通信室等に固定して設置して使用するものであった。しかしこの最新の通信具は小型化され持ち運んで使用できるものになっていた。ただし、その分制約があり、通信相手はアルムの村に設置された親機に固定されていた。

 「地下に潜られた場合は、設置された観測機器を利用してアッカーマン教授に追跡していただきます。空を飛んで逃げられた場合には、周囲の兵にも協力してもらい、行方を追います。ただその場合は被害が大きくなると予想されるため、なるべく早期にドラゴンゾンビの飛行能力を奪う必要があります。」

 ドラゴンゾンビに空を飛ばれると非常に厄介なことになる。その翼を奪うことは優先度が高かった。


 「ところで、でっかいドラゴンと言っても所詮ゾンビなんだろ、優太の力で一撃で終わりじゃないのか?」

 大介が、ふと思いついたことを口に出す。聖女の力はアンデッドに特効、当然ドラゴンゾンビにも良く効くだろう。優太が一撃で倒せれば、勇者の活躍の場はなくなるが、被害も出さずに済むだろう。

 「残念ながら、おそらく無理です。」

 答えたのはアラン神殿長だった。聖女である優太に比べて能力は劣るが、神聖魔法やアンデッドに対する知識の蓄積は神殿長の方がはるかに上である。

 「古くて大きいモンスターは、その身に大量の瘴気を蓄えています。この瘴気が邪魔をするので、瘴気を全て祓うまではアンデッド本体を浄化することはできません。」

 瘴気は聖属性の魔力とは反対の性質を持っている。だから強い瘴気は神聖魔法と相殺してしまい、魔法の効果が弱まってしまうのだ。

 「ドラゴンの巨体と千年前のモンスターと言うことを考えれば、聖女の力をもってしても簡単には浄化できないでしょう。その間、相手も黙って浄化されてはくれません。」

 たったの一体で世界の危機と認定されるモンスターである。やはり一筋縄ではいかなかった。

 「つまり、普通にぶっ倒してから浄化しなければならないわけか。」

 厳しい戦いになりそうであった。


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